ダイヤモンド・オンライン 津本朋子記者のPV稼ぎ記事に引っかかったw

 糖質制限について関心を持っている人間を惹きつけるタイトルに騙されて開いてしまった。「糖質制限は有効なのか、それとも危ないダイエット法なのか?データを基に、正しい評価をしてみよう」とある。

 稲島氏の発言は納得できるものが多いが、編集方針が偏っているために記事全体がクズに堕してしまっている。残念だ。

 一般に肯定的に捉えられている手法を批判的に扱っているようなタイトル:第一に、冒頭で「編集部 先月、糖質制限ダイエットの第一人者として知られる作家・桐山秀樹氏が心不全で急死されました。62歳とは、まだ若いですよね。そもそも、糖質制限ダイエットを巡っては、医者のあいだでも賛否両論が繰り広げられてきました。これ、本当に大丈夫な方法なんでしょうか?」と書いているのが既にミスリードを誘っている。しかも、疑問形にして自分は何も言っていないかのように振る舞う狡猾さだ。

 桐山という人が糖質制限ダイエットをされていたことと62歳で亡くなったことは事実でも、糖質制限ダイエットと心不全との因果関係があるのかは分かっていないだろう。それが確認されていないのに、「糖質制限ダイエットをしたから62歳で死んだ人がいるけど、糖質制限は大丈夫?」と言うのは問題のすり替えでしか無い。

 また、リバウンドの捉え方もおかしい。スタートの体重から減った値で安定するなら効果はあったということだろう。最初の一番下がった状態で止められないからといって、やる前よりは効果があったと言える。記事中のグラフでは低炭水化物ダイエットが他に比べて下回っている。つまり一番効果が高いということだ。
 

津本記者は赤の線を見、自分は緑の線を見た。
津本記者は赤の線を見、自分は緑の線を見た。
 津本記者は「体重は確かに減る、と。でも、こんなにリバウンドしちゃうなんて、体に悪そうじゃないですか?しかも、ご飯やパン、麺類などを食べないって、一種の苦行ですよね。なのにリバウンドするだなんて、なんだかがっかりです。」と言っているが、「身体に悪そう」というのも「一種の苦行」というのも「がっかりも」個人の偏見にすぎない。しかも、ここに上げられている三つの方法全てがリバウンドしている。他の二つの方法にはがっかりしないのはどういうことだろう。それに、がっかりしなくても、リバウンド後もダイエット前より下がっている。リバウンドを恐れて何もしないならスタート地点のままだ。ピザ食ってろ!

 単に、PVを稼ぐために一般的に良いとされていることに疑問を呈してみるという、よく iPad や iPhone をネタに書かれるゴミ記事の低炭水化物ダイエット版だ。津本朋子さんは記名記事でこんなものを書かされてお気の毒でした。(記事の演出かも知れないが、「水も飲み過ぎたら危険」と聞かされて驚いているくらいだから本気で書いたのかもしれないが・・・)

 ただ、記事を最後まで読めば、「糖質制限はやり過ぎなければ効果がある」ということは分かるので、正しい評価はできていると言えなくはない(この程度に曖昧な感じだ)。それらは全て稲島医師のおかげだ。

 とりあえず、自分は低糖質な食生活で快調だし辛くもなんともない。

糖質制限は本当に危険なのか!? ダイヤモンド・オンライン
論文を読むのが日課という「めんどくさいお医者さん」、東京大学病院の地域医療連携部にいる循環器専門医・稲島司氏。世に流布する「健康的なイメージ」と、科学的「効果が証明されたもの」を区別する方法を提案している。
中年男性に大人気のダイエット

糖質制限は本当に有効なのか?
糖質制限は有効なのか、それとも危ないダイエット法なのか?データを基に、正しい評価をしてみよう

編集部 先月、糖質制限ダイエットの第一人者として知られる作家・桐山秀樹氏が心不全で急死されました。62歳とは、まだ若いですよね。そもそも、糖質制限ダイエットを巡っては、医者のあいだでも賛否両論が繰り広げられてきました。これ、本当に大丈夫な方法なんでしょうか?

稲島 確かに、糖質制限の賛成派と反対派の議論はあちこちで見かけますよね。でも、糖質制限の効果とリスクを巡る議論は、2000年代にある程度の結論が出ているんですよ。

編集部 え、そうなんですか!

20160305_graph

稲島 はい。図はよく引用される臨床試験です。数あるダイエット食事法の中で代表的なものを3つ挙げて、中等度肥満の被験者322人を調査したものです。脂肪分全体を減らす昔ながらの「低脂肪」ダイエット、そして「地中海食」は、大ざっぱに言って野菜や果物、豆類、オリーブオイル、魚介類などを多く摂取する食事です。そして、黄色で描かれたラインが糖質制限。3種類とも体重が減っていますが、その効果は地中海食と糖質制限で持続していますね。とくに開始後4~5ヵ月までは、糖質制限で体重が最も減少しています。

編集部 本当だ…。あれ、でもその後、体重が増えてませんか?

稲島 そうなんです。これは俗にいう「リバウンド」と言って良いと思います。ほぼ全ての食事療法である程度のリバウンドはありますが。

編集部 体重は確かに減る、と。でも、こんなにリバウンドしちゃうなんて、体に悪そうじゃないですか?しかも、ご飯やパン、麺類などを食べないって、一種の苦行ですよね。なのにリバウンドするだなんて、なんだかがっかりです。

稲島 確かに、厳密に糖質を摂取しないとなると、制限が大きいですね。臨床家からすると、こうしたデータはドロップアウトした人が含まれていないことが、ちょっと不満なんです。糖質制限の場合、「続けるのが辛い」という理由で止めてしまう人がほかの食事療法より多いようです。そこは、デメリットと言えますね。

編集部 しかも、アンチの人たちは「死亡率が上がる」と主張していますよね…。これが一番怖いかも。

稲島 ええ。それも既に、データで証明されています。

編集部 そんなキッパリ…。じゃあやっぱり、糖質制限は止めておいた方がいいいですね。今日の取材はこれで終わり!

稲島 いえいえ、そう安直に結論付けないでください。メリットとデメリットを冷静に分析してみましょう。

やりすぎると死亡率は上がるが
ほどほどはオススメ

稲島 下の表が、糖質制限のメリットとデメリットをまとめたものです。といっても、僕が勝手に結論づけたわけじゃないですよ。2000年代にさまざまな医学雑誌に投稿された論文をベースに作ってみました。

編集部 なるほど。確かに、肉や油、酒を摂ってもいいってのは、空腹に耐えなくてすむから、勇気づけられる人が多いですよね。糖尿病にも良い、と。でもやっぱり、死亡率が上がるってのが気になる…。

稲島 よく読んでください(苦笑)。死亡率が上がるのは「やりすぎた」場合です。なぜだかは分からないのですが、人体に対する介入というのは統計的に「Jカーブ」を描くんです。どういうことかと言うと、ビタミンでも何でも栄養素を摂取すると、最初は健康リスクが下がるんですが、摂りすぎると逆にリスクが上がってしまう。「もっと摂りましょう」と盛んに言われているカルシウムでさえ、大量に摂取すると、死亡リスクが上がるという調査結果もあります。

編集部 本当だ。じゃあ、糖質制限も適度なら健康にも良くて体重も減ると?

稲島 そういうことです。特に糖尿病の人や、予備軍、いわゆるメタボの人には、糖尿病のタイプや他に併存する病気によりますが、適度な糖質制限は、一般的にはオススメです。
 ご飯やパン、麺類などの糖質は、分解されて血糖値を上げますが、細胞に取り込まれて使われます。糖尿病は血糖が細胞に取り込まれる機能が下がる病気です。すると、エネルギー源である糖を細胞が活用できないから、食べても食べても元気がでない。糖尿病が進むと逆に痩せる所以です。しかも血中にある、消費されずに余った糖が、血管を傷つけてしまいます。

編集部 中年以降で糖尿病の人って本当に多いですよね。

稲島 日本人のようなモンゴリアンは、「耐糖能」といって、身体がブドウ糖を処理する能力が、アングロサクソンなどに比べると低いと言われています。だから、西洋人ほど日本人は太れませんよね。まあ、元々の食べる量がだいぶ違うからというのもありますが、日本人の多くはあそこまで太る前に、糖質を処理できなくなって糖尿病を発症し、逆に痩せて行くからなんです。
 別の言い方をすると、アングロサクソンは飽食に強くて、逆にモンゴリアンは飢餓に強いということになる。

編集部 へえ~。確かにアメリカ映画を見ていると、バケツみたいなカップを抱えてアイスクリームを食べているシーンなんかを見ますが、日本人であんなことする人いないですよね。要は、できない体質なんですね。
稲島 そうです。しかも、糖尿病はある程度、病気が進行すると、細胞が糖を取り込む能力も、インスリンを出す能力も、完全には元に戻らなくなるんです。だから、そうなる前、できれば糖尿病予備軍の段階で、軽い糖質制限をすることは、オススメなんです。

医学の「常識」も移り変わる
ケトン体を巡る議論の進展

稲島 もう1つ、糖質制限を巡る議論で良く出ていたのが「ケトン体」です。3大栄養素と呼ばれるのは「タンパク質」「脂質」「糖質」。これらがエネルギーに変わります。一番、簡単にエネルギーにできるのが糖質。その糖質を制限すると、条件によりますが次に消費されるのは脂質なんです。脂質が燃やされて、エネルギーに変わるんですね。だから、糖質制限はダイエットに向いていると言われます。そして、脂質が分解された際に出るのが「ケトン体」と呼ばれる物質です。
 このケトン体はかつて、「身体に悪い」と考えられていましたが、その後「別にさほど悪くもない」、さらに後年、「身体に良い」と言われれるようになりました。

編集部 悪いと言われたものが、実は良かっただなんて。医学を頭から信じるのも、なんか怖いような…。

稲島 そうですね。でも、「○○健康法」なんて、何の論拠もないものがもてはやされるのは、もっと怖いと思いませんか?たとえば、体内でケトン体に変換されるココナッツオイルを飲んで痩せる、というようなダイエット法も流行っていましたが、ココナッツオイルを飲んで痩せた、ということを証明した臨床データはほとんどないんです。

編集部 確かに。医者は何か仮説があれば、大人数の被験者を募って、しっかり検証して結論を出すという姿勢はありますものね。いずれにしても、どんな情報もただ鵜呑みにするのは良くないですね。

稲島 話を戻すと、糖質制限が昔から体重減少に役立つことは、臨床的に分かっていたんです。そしてケトン体悪者説が否定されたことで、晴れて理論的にも身体に良いという裏付けができた。そうして糖質制限は市民権を得て行ったのです。

編集部 ということは、やりすぎない限りにおいては、糖質制限は体重も減るし、身体にも良いダイエット方法だという考え方が、やっぱり正しいんですね。

稲島 フェアな視点を持つ医者たちは、そのように結論付けていると思います。だいたい、何だってやりすぎ、摂りすぎはダメなんです。水だって、飲みすぎたら人間は死んでしまうんですよ。

編集部 え?

稲島 といっても1日に20リットルとかです。腎臓の濾過機能を超えてナトリウム濃度が下がる「水中毒」と呼ばれるものです。ちょっと水を飲みすぎたかなという量では起こりませんので、心臓や腎臓に問題なければ心配いりません。脅かしてすいません。

編集部 でも、確かに水を大量に飲むと死ぬ、ということが起こりうるんですね。ウソみたいな話ですね…。

糖質制限をやっていい人
控えた方がいい人

編集部 腎臓病の人は確か、低タンパク食にしますよね。こういう人が糖質制限すると、「糖質もダメ、タンパク質もダメ」となって、食べるものがほとんどなくなってしまいます。

稲島 もちろん、健康な人や、糖尿病気味の人には適度な糖質制限はオススメだけど、簡単にしない方がいい人もたくさんいますよ。おっしゃるような腎臓病の人や、アレルギーのある人など、何らかの病気を抱えている人は、きちんと医者に相談をしてから始めるべきです。

編集部 もう1つ、素朴な疑問が…。最初の3つのダイエットの比較チャートを見てみると、唯一、地中海食だけはあまりリバウンドしてないですよね。あれはなんでなんでしょう?
稲島 地中海食はルール自体ややこしく見えますが、やりすぎになりにくいダイエット法です。野菜や果物、オリーブオイルやナッツ、魚介類を多めに食べて、少量のワインもOKですからね。日本ではメジャーじゃない食材もあるから、その点はデメリットと言えますが、一方で日本人にもなじみやすい食事方法とは言えるでしょう。だって野菜と果物、魚中心、ですからね。

編集部 じゃあ、糖質制限もゆるやかならOKだけど、先生の一番のオススメは地中海食なんですか?

稲島 ほかの食事療法と比べて極論になりにくいのと、個人的に好きな食材が多いというのが正直なところです。臨床試験などで証明されていない方法をオススメするのはルール違反かもしれないですが、地中海食や和食をベースに糖質を控えめにするというのが、僕は妥当ではないかと思います。

編集部 どのダイエット法が良いかダメか、ではなくて、やりすぎがダメ。今日はこのことを肝に銘じて帰ります。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です