リスクマネジメントってwww

 自分がよく知っている会社でもリスクマネジメントは行なっている。BCPとかCSRとかSOXとか、アメリカの投資家や活動家の求めに対して世界的な企業が対応するのを真似して日本でも義務化されるので仕方なく取り組んでいる。日本企業の大半がこのスタンスだろう。形式だけ取り入れて中味は従来のままというのは日本人の得意とする所で、これらへの対応も見事に換骨奪胎されて、本来の目的を全く達成できていない。東芝やオリンパスの犯罪でも明白だ。

 とはいうものの、形式だけでもやらなければペナルティを受けるし、メンツだけは気にする日本企業なので、形だけ取り繕うとする。そこで、大企業がやった先進事例を真似して取り組むが、本質が分かってないから小手先の「できること」でお茶を濁す結果となって笑えるリスク対策が並ぶことになる。

 顕著なのは、求められているのは経営レベルでのリスク対策なのに、達成可能な目標レベルのものにしてしまうことだ。例えば、円高対策として為替予約やオプションを挙げたりする。円転は取引後の話であって、売上計上時の為替が円高になることのリスクに全く対応していない。経営や株主が知りたいのは、円高になって売上が目減りする時の対策が打たれているかどうかだ。為替が100円/$以上になって売上が大幅に減っていても、売上時と円転時の為替レートが一緒なら円転では問題がない事になってしまう。

 外部環境への対策として、市場調査や社内教育を挙げるというのもある。市場調査や社内教育は環境を理解して対策をするために必要ではあるが、リスクそのものへの対策ではない。それは常時やっておくべきことであり、火の手が上がっているときにはひとまず置いておくことだ。火の手が上がっている時にどうするか書かずにマニュアル作っていても間に合わない。

 プロ野球の監督が、開幕前にオーナーから今期の戦い方を聞かれて、「走りこみと筋力トレーニングを徹底させます」と言っているのと一緒だ。そんなことはシーズン前にやっとけという話だ。

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