提灯記事にいちゃもんをつけるのもなんだが、興味があることなのでクリップ。「第3世代携帯のメリットとは?」
ドコモ、KDDI、ボーダフォン共に、3G携帯のメリットとして確実にいえるのは、メールの高機能化と安価なパケット代だ。
メールで強化されたポイントの1つは、やりとりできるファイルサイズが大きくなったこと
キャリア 送信可能ファイル容量 受信可能ファイル容量 受信可能文字数 ドコモ・FOMA 100Kバイト 約10Kバイト 5千文字 KDDI・CDMA 1X 100Kバイト 約100Kバイト 5千文字 KDDI・1X WIN 150Kバイト 約150Kバイト 5千文字 ボーダフォン・VGS 200Kバイト 約200Kバイト 1万文字 あるサイズの画像を撮るのに、どのくらいのカメラ画素数が必要なのか、また撮影した写真の容量はどのくらいなのかの目安を表にした。容量はカシオ製の「A5403CA」で確認した。シャープ製端末のように画質を選べる機種では、画質によって容量が変わるので注意したい。
いったい何Kバイト添付できれば、どのくらいのサイズの静止画を送れるのか。代表的な例で見てみよう。
画像の大きさ カメラ画素数 容量 160×120・QQVGA 10万画素 8Kバイト 320×240・QVGA 10万画素 27Kバイト 640×480・VGA 31万画素 55Kバイト 1280×960・SXGA 130万画素 1600×1200・UXGA 200万画素 262Kバイト こう見ると、FOMAやauのCDMA 1Xでは送受信できる限界は31万画素相当のVGAサイズなのが分かる。メガピクセルカメラで撮影した写真を送るには、1X WINかVGSでないといけない(もちろん画質を落として100Kバイト以下にできる機種もある)。
3G携帯以前の機種──例えばボーダフォンの2.5世代端末などは送受信が12Kバイトだから、そのままではQVGAの画像も送れない。3Gならではのメリットが分かると思う。
ただし、FOMAの受信が10Kバイトなのには注意が必要だ(4月6日の記事参照)。メガピクセルどころか、VGA画像のやりとりも難しい。
よくわかる表だが、ツッコミどころがおかしい。「3G携帯以前の機種──例えばボーダフォンの2.5世代端末などは送受信が12Kバイトだから、そのままではQVGAの画像も送れない。3Gならではのメリットが分かると思う。」のなら、受信10KのFOMAは3Gのメリットどころか悪くなっている。
FOMAに遠慮しているのかもしれないが、「FOMAの10KBではVGA画像のやりとりも難しい」というのもおかしい。これでは、「VGAは難しいのかあ、それ以下は大丈夫なんだ」という誤った印象を与えてしまう。実際には、vodaの2.5Gを貶めるところに書いてあるように「送受信が12Kバイトだから、そのままではQVGAの画像も送れない」のだ。FOMAはvodaの2.5G以下のファイル受信能力しかないという情報をごまかしているような書きかただ。
ここで使われているファイル容量にも問題がある。ケータイデジカメで作ったファイルを使っているが、デジカメで作った画像でなければ意味がないと思う。せっかくの高画素数化が通信インフラの仕様ために、本来の力を出し切れずにいる可能性があるからだ。100万画素にするより、インフラを強化し低圧縮にするほうがユーザーとして美しい画像を楽しめるかもしれないのにと思うから。
記事とは外れるが、メモリカードのある機種なら、容量を気にしないモード(rawデータやTIFFとまでは言わないが)があってもいいと思う。VGAで300KB、UXGAで800KBというデジカメの低圧縮モードと同程度の画質だ。現在の圧縮率では、光学系を奢ろうがCCDを大型化しようがオートフォーカスを付けようが、いつまでたっても「ケータイだから・・・」から脱却できない。
もちろん、これは、ケータイデジカメをデジカメ代わりにしたいという俺のような人間だけの要望であって、全てのケータイにそのようなデジカメを付けろといっているのではない。100万画素で高画質を謳ったり、デジカメの性能をアピールしている機種がこのような高圧縮・低画質モードしかない(少なくとも、俺の見たことのあるケータイの写真は圧縮しすぎだった)という現状に対しての文句だ。「はなせりゃええやん」な人には関係ない。
メールについてもそうだが、キャリア間の仕様の違いと3Gの特徴とがごちゃ混ぜに論じられていて、「各社が3G端末を投入してきたが、そのメリットとデメリットを把握した上で端末を選択」する参考にはならない。以下に挙げた文に事実誤認はないと思う。一つ一つは納得できる事実だ。しかし、「第3世代携帯のメリットとは?」という文脈には沿っていない。
ドコモのiモードメールは機能は貧弱だが、送信/受信のスピードが非常に速いという利点がある。ドコモのメールが専用方式なのに対して、au端末はIMAP4に準拠したPCに近いやり方でメールを送受信しているからだ。
3G携帯の2つ目の大きなメリットはパケット料金だ。KDDIだけは従来からパケット料金を変えていないが、FOMAやVGSは従来の3分の2に価格を下げている。
FOMAが出始めの頃に盛んに言われた問題点──待受時間の短さは、昨今の3G携帯ではほぼ払拭されたと考えていい。FOMAの900iシリーズはいずれも400時間以上。505iなどとほとんど変わらないと考えていい。一方、当初は問題にならなかったau端末では、待受時間がシビアになってきた。200時間を切る端末がけっこうあるからだ。
エリアの狭さも、着実に改善が進んでいる。特にFOMAで不評だった地下も次々とエリア化されており(3月5日の記事参照)、都心部であれば大きな不満は感じない。ただし山間部などでは、まだまだエリアは狭い。その意味では、第2世代サービスのcdmaOneの電波も使えるKDDIのCDMA 1Xのエリアの広さはピカイチだ。
素人考えだが、どこのキャリアも、3G端末には大きな投資をしていてPDCの儲けをつぎ込んでいる真っ最中だろう。3G化によるコストダウン効果が現れるのはPDCを廃止してからになるんじゃないだろうか。それまでは、どこも通信料の事実上の値下げにつながるサービスはしたくないというのが本音だと思う。だから、今出てきている値引サービスについて、3Gだからというのは意味がないとも思う。「3G普及(機種変更需要喚起)のためにキャリア各社が打ち出したサービスは多分に広告効果を狙ったものに過ぎず、大半の人が恩恵を受けるような価格にはなっていない」と感じているが・・・
蛇足:
この記事に限ったことではないが、どこのサービスも並べて比較することが難しい。サービスごとの速度についてはどこにも情報が見当たらない。3Gサービスになると通信速度が上がると散々コマーシャルしているが、そのメリットを享受できる機種・サービスは非常に限られているはずだ。
仕様や性能を正しく消費者に伝えないキャリアの姿勢に腹が立つ。俺は、vodaの2G端末からauの3Gに移行したわけだが、速度的な恩恵など何一つ受けたことはない。