ビジネスモデル戦争はここにも:モバイルアプリは本当に金の卵か?

 Apple や Google が宣伝するほどアプリの売上は上がらないということは事実だろう。ゲームなどはドハマリした一部のユーザへの搾取によって成り立っているというのは昨今のコンプガチャ問題が示しているとおりだ。しかし、モバイルアプリの売上はユーザが支払う金額だけではないだろう。広告の表示やクリックによる直接的な課金や、次サイトへ導くための誘導などは、ユーザが直接支払う金額には計上されない。

 それとは別に、下の記事には興味深い数字が載っている。平均が $14/月、中央値が $7.5/月もある点だ。自分は比較的アプリを買うほうだと思うが、平均はもちろんメジアンの 600円/月にいくかどうかといったところだ。本当にこれだけの金額がアプリの売上につながっているとしたら十分金の卵を生む鶏といえるのではないか。今、増え続けているスマートフォンユーザが平均をどんどん下げるとは思うが・・・

 後一つ疑問がある。この記事は開発者がモバイル・プラットフォームへ移行することへ危機感をあおる内容といえるが、じゃあ従来の PC プラットフォームにいれば安泰なのか?モバイルへの移行は従来プラットフォームの減少を意味する。否応なくモバイルに移行するしか無いのではないか。

 更に、モバイルユーザの 70% がアプリを買わないというが、PCはどうなんだ?買ったパソコンをそのまま使っていたりプリインストール以外には増設機器のおまけや年賀状ソフトくらいしか買ったことがないユーザは多いのではないか。しかも、PCの場合は一本のソフトを家族で使うPCに入れたら家族で使いまわすだろう。そう考えれば、実際にユーザの平均をとれば月間 $7.5/月もの収入を PC 向けアプリの開発者は受け取っていなかったはずだ。

アプリの売上でいくか、広告で行くか、プラグインで行くか悩むところだろう。ユーザとしては広告はうっとうしいのでやめて欲しい。200円くらいの買い切りだと嬉しいが、無償アップデートを受けられる実用アプリなら500円くらいまでOKか(iMandalArt や FileMaker Go のような超絶アプリはこの限りではないが)。

モバイルアプリは本当に金の卵か?–70%のユーザがほとんどお金を使っていない

Webからモバイルアプリへの軸足のシフトが叫ばれるようになってから、もう何年にもなる。今では、モバイルオンリーで立ち上がるスタートアップも少なくない。しかし最近の調査によると、まだモバイルというプラットホームは、圧倒的に多くの人びとが相当額のお金を費消する場にはなっていない。むしろ、今日のモバイルアプリのユーザの多くが、それらのアプリの上で一銭もお金を使っていないのだ。

ABIが最近行った消費者調査によると、合衆国のモバイルアプリユーザのほぼ70%はアプリ上ないしアプリ内で“ほとんどお金を使っていない”。ギャンブルやゲームが昔からそうであるように、今日のモバイルアプリのマーケットも、whales(鯨)と呼ばれる金遣いの荒い人々に、売上の多くを依存している。ABIによると、アプリの全ユーザのわずか3%が、全消費額の20%を担保している。

しかし、モバイルユーザの大半がアプリ上でお金を使うことを嫌がっている、というわけではない。アプリユーザの2/3が、少なくとも一度はアプリ上で金を使ったことがあると答え、その月額は全平均で14ドルもある。しかし、平均は14ドルでもメジアンは7.5ドルだから、やはり鯨さんたちの力は大きい。少数の金遣いの荒い人たちが、市場の売り上げにおける不釣り合いな役割を演じている、と調査報告は述べている。

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