竹内まりや:UNIVERSITY STREET

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 風邪でぶっ倒れていた月曜日に届いたCDは竹内まりやのUNIVERSITY STREETだった。同年代の人間にはたまらなく懐かしい音源だろう。

 まだ山下達郎の名前はないし、大瀧詠一ファミリー(?)の名前も見えない初期の作品だ。ジャケットが発売当時の写真と同じなのかは確かめようがない(見たことがなかった)が、あの時代にしてもどうかと思えるようなセンスだ。レコード会社も位置づけができなかったんだろうか。アレンジも「あっれ〜」という感じだ(^^;

 しかし、この曲を聴くと、このアルバムが入ったカセットテープを兄からもらってしつこく聴いていた浪人時代を思い出す。テレビはなかったのでラジカセだけが娯楽だった。予備校が斡旋してくれた安下宿は京都市のど真ん中の中京区堀川御池の交差点から50メートルくらいの所だった。扇風機しかない暑い6畳一間。長屋の一角だ。

 レコードから録音したカセットテープを罪悪感もなく聴けたそんな時代の香りがする。

 と、書いてきたら先日読んだ文を思い出した。

背骨が多いのは私一人ではない「パームボンチ・メロウライフ」:微妙にメロウな日曜の午後

カセットはどこの家にもあってどれにつっこんでも聞こえた時代の方が豊かな気もしないでもないですねえ。

そんな事を考えながら数本目の煙草が終わった頃、なだらかにカーブした歩道の向こうから2台の折りたたみ自転車が見えてきて、かすかに音楽が聞こえてきました。

それは中学生くらいのカップルで二人並んでゆるゆる走ってくるのです。
まったくマナーがなってない。で、音楽というのは2人が歌っているのです。

一人のショートカットの女の子は左手を伸ばしその手の先には携帯電話が握られているのです。どうやら音楽はそこからも聞こえていたよう。それくらい静かなこの場所なのです。

「着うた」なのですね。私の携帯は対応していないのでよく知らないのですけど。曲名はしらないけれどオレンジ・レンジの妙に明るい歌でした。

ゆっくり私の前を通り過ぎやがて去っていきました。

妙に印象に残ったのです。それが。
とても楽しげな表情であったのですね。曇りのない表情で、2人の間にあるのが携帯電話の猛烈に小さなスピーカーから割れ気味の最低の音質のオレンジレンジ。利権まみれの着うたはそれでも素敵に聞こえました。

私の好きな音楽はそういうものだと思いました。
具体的になにがどうよかったのかわからないのですけど。マクドナルドがどんなに不味くてもあの味であの下品な内装でなければならないように。AMで聴いたRCサクセションがどんな良いシステムで今聴いてもあのときほどドキドキしないように。

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