TOEICテスト「超」必勝法

 昨日TOEICテスト「超」必勝法(ちくま文庫)を古本屋で見つけたので買ってみた。先日、図書館で読んだものだ。

 初めてのTOEIC受験で740取れたというが、元々十分以上の実力の持ち主だった。カバーに「英語科出身でもない。海外経験もゼロ。英会話学校に通ったことすらない著者が・・・」と書いてあるのが食わせ物だ。この人は、20年近く、英語の教材を作っていた人だ。

 この人も書いている

私が検定試験で高得点をマークできた理由は・・・
(1)基本文法を徹底的に研究したことがある。
(2)短期間とはいえ、仕事でやむなく外国人と接触しなければならなかった。
(3)英語の「抑揚」に目覚めた。
(4)英語の「音節」に目覚めた。

 これだけの下地をもった人と「英語科出身でもない。海外経験もゼロ。英会話学校に通ったことすらない著者」が同一人物とは思えないだろう。だから、入学試験以来英語の勉強などしたことのない一般企業のサラリーマンや、主婦が一回目のテストでろくに勉強もせずに740点取れたようなうたい文句は、不誠実の香りがぷんぷんと漂う。

 ただ、この本にも参考になる部分は多い。特に、「今のままの英語力で、いかにして最善の戦いに持ち込むか、という点に絞らせていただく。すなわち、『戦力』ではなく『戦術』についてだけ語らせていただく」というフレーズは気に入った。今俺がやっているトレーニングははっきりそれだ。今のトレーニングでは英語力は付かないと感じる。

 前にも書いたがせっかく本を買ったので、他にも、俺が気に入ったフレーズをここに抜き出す。

これは英語のテストである以前に、実は『情報処理能力』のテストなのだ。…解釈や解答より前に、『情報処理』の部分だけを片付けておかないとなるまい。何から何まで真っ正直に英語の読解力で対処しようとすれば、自ずと向こうのペースにはまってしまう。

 この「情報処理」という考え方はいただき。俺が感じていたテクニックの部分をうまく表現する言葉だと思った。

listeningについて
・「聞く態勢」がくずれたら自滅である。
・出だしが肝心。途中から聞こえたとしても、すでに五里霧中である。
・リズムが狂うと、建て直しは非常に困難になる。
readingについて
・長考は禁物。そもそも、文法や語法は考えても答えは出ない。(パート5、6)
・読解(パート7)は、読んでから解いていたのでは時間が足りなくなる。「解くために読む」という読み方が必要だ。

 この程度は、誰でも1回受ければ(練習の模擬テストを通しでやってもいい)、いやでも思い知らされる。次に詳細で参考となる部分。

 自分のペースを守る。
パート4では、問題文が読み上げられる前に「84~85まで・・・」という決まり文句が読み上げられるので、その瞬間に問題用紙の選択肢に線を引く。そして、「問85に答えなさい」などというアナウンスは無視しして、頭に残っている英文と選択肢でどんどん答えていくべき。線を入れれば、区切りを覚えておく必要がなく解答作業に没頭できる。

 俺は、時間が許す限り次の選択肢を読むことにしている。聞かれる内容を分かって問題文を聞くのと問題文を聞いてから答えを見るのとでは、問題文を聞くときの理解度が違ってくるから。まあ、そんな余裕は最初の2~3問までだが。

日本語に訳そうという意識が少しでも残っている限り、永久にTOEICの英語についていくことはできない。

 これは、俺にとっての課題だ。頭では分かっているが、日本語にならないと処理できないのだ。これは、トレーニングと本来の意味での英語力が付いていかないと無理だろう。少なくとも、何ヶ月とかいうスパンで身に付けられるものではない。

語彙力は不可欠
Thank youをいちいち訳さなくてもすむのは、この言葉がワーキング・メモリーに入っていて利用可能になっているからだ。
だから、自分が聞こうとする英文レベルの語彙を、いつも頭の中にストックしておく必要がある。

どんなに耳をよくしても、語彙を知らなければリスニングは空転する。

 やっぱりそうでしょう。この作者が短期間で高得点が取れたのは、このバックボーンがあったからなんだ。一般人はそうではない。むしろ、最終学歴入学時をピークとして下がっているというのが実情だ。日本の英語教育は、時間が足りないので、全然身についていないと思う。
 そして、この「ワーキング・メモリー」という言葉はキーワードだと思う。今の、俺のトレーニングはこれだ。これは、上の、「訳さずに理解する」にも通じると思う。

 また、「語彙を知らなければリスニングは空転する」も思い知らされる。俺は、英語を聞き取ることは比較的楽にできる(英会話のクラスで同等の得点を取っている人間の反応と比較して)。問題は、その語を知らないということだ。
「A5502Kのネ申コボー対策ファームウェア・アップデートに行ってきた」や「自分のブログにリンクなしトラックバックが来て怒った人がいた」と言ってもほとんどの人が理解できないのは、言葉が聞き取れないからではない。

 パート7についてはあまり参考になるところはなかった。質問文を先に読むことは誰でもやっていることだろう。この人のユニークな点は、質問文だけを全て読んで、キーワードをチェックしてしまうところだ。この人は同じ作業を連続でやったほうが効率がいいという考え方らしいが、俺は、「質問文を読む>文の該当箇所を探す>解答する」という流れでリズムを作っていきたいので、これは採用しないつもりだ。どちらがいいのかは個人差だろう。

 ただ、

(パート7で)読解するな

 は全面的に同意。長い目の文章でも関係となるのは、質問一つに付きワンフレーズだ。手紙文なんて、差出人とか受取人の名前が設問になっている場合も多い。「文を読むというより質問に関係した箇所を探す」という作業が大半だ。この考え方でも、正答率8割・40分でできるから考え直す必要はないと思っている。これ以上は、本当に英語力をつけないと無理だろう。

 なお、この本の前半は、こんな調子だが、中盤以降は英語ヲタ向けの名言とか、英語を学ぶ心構えや楽しみについて多く割いてある。どちらかというと、筆者はこっちをメインに書きたかったんじゃないだろうか。出版社としてそれでは困るので、「必勝法」とし、カバーにも「英語科出身でもない。海外経験もゼロ。英会話学校に通ったことすらない著者が・・・」などと、内容と反する、TOEIC高得点にあこがれる純真なTOEIC未受験者を欺くようなことを書いたんだろう。

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