ランニングの場合、自転車のように技術革新はシューズに集中する。
素材技術や加工技術、設計技術の進歩によって自由度が上がり多くのメーカーが色々な”思い付き”レベルのものを作っている。Newton running shoes のアクチュエーターラグもそうだろう。
on
Newton 凋落の原因の一つに挙げられているライバルメーカー。デザインが独特でおしゃれな印象が圧倒的。
ちくわを半分に切って並べたようなソールが特徴。そのちくわの素材と形状で衝撃吸収の強さをコントロールするという思想だ。
面白い。クッションの強さとプログレッシブ特性(弾力を加速度的に強くする)をコントロールできるだろう。そして、アイデアだと思ったのは、着地によるショックの吸収から地面を押す段階ではちくわが潰れていて力がダイレクトに地面に伝えられること。
ただし、幾つかの動画を見た限りでは屈曲抵抗はかなり低いので、カーボンバネのような意味での「反発力」は無いだろう。
かっこいいから試してみたいが、試しレベルで履くには価格が高い。
spira
https://en.enko-running-shoes.com/
フォーム材ではなく金属バネをクッション材に使ったシューズ。フォームと違ってへたらない。独特な履き心地を売りにしているが、走りにつながるのかよく分からない。
onのような効果を持たせることは可能かもしれないが、アウトソールに覆われたバネでは効果が薄いのではないだろうか。
ネタで履いてみたいとは思う。が、このシューズも Newton running shoes のような一時代前のデザインで積極的に履きたいと思えない。
enko
むき出しのバネで衝撃を吸収しようというストレートさが素晴らしい。嬉しい。楽しい。
また、このデザインはヒールストライクを軽減するのには効果があるかもしれないが、土踏まずより前で着地する場合には効果を十分に発揮しないのではないか。紹介動画を見てもヒールストライク走法のランナーのものしかない。
後、物理的な機構が複雑で金属パーツがあるので重量が重い。サスペンションのように強を設定できるのは面白い。どんな形式のクッション材であっても、吸収フェーズと踏み込みを力に伝えるフェーズのバランスがランナーに合っているかどうは重要だ。ランナーの走り方にもよるだろう。フォームが衝撃を受けて縮むことで力がダイレクトに地面に伝わる。フォームが厚いと吸収はいいが、踏み込んだ時にさらにフォームが縮んで力を失う。Nike の Challenging 2 のように個人別にフォームとバネの強さや形状を作るのが理想だが大量生産品では不可能だ。その点、enko のようなサスペンションなら走ってみて変化させることができる。
しかし、この外見は面白いので履いてみたいとは思うが、お金を払ってまではほしくない。