ヘルスケア IoTデータに群がる野獣共

 各種センサーから得られる情報を集めれば、これまで見えなかったものが見えるようになるかもしれない。

 オムロン、タニタ、EPSON などを使ってきて失望したのはデータをハードウェアを売るための販促サービスの一部としてしか考えていないことだ。下に引用したのは、公開され日本語化された記事の一部だ。きっと氷山の一角にすぎない。

 フィットネスクラブ、ヘルスケアサービス企業(団体)、医療機関、大学などの研究機関、製薬メーカー、医療保険、政府機関、デバイスメーカー、クラウドサービス、デバイスプラットフォーマー(Apple、Google)・・・どこが覇権を握るか。健康や保健サービスへの支出が国の財政に影響を及ぼすようになってきた今、個人の健康は社会資本とも言える。

ウェアラブルデヴァイスのデータから、深夜に地震が起こったときの人々の行動が明らかになった。 2017年2月24日
graph earthquake  深夜に地震が起こったときの人々の行動を正確にとらえた、意外なガジェットがあった。健康のために腕に装着するフィットネス・トラッカーだ。

 フィットネス・トラッカーのデータは、それなりの客観性が感じられるものだ。もちろん、装着している人たちに限られたデータだとはいえ、こうしたウェアラブル技術が今後さらに普及するようになれば、以前には得られなかったような、集合的な体験に対する「目」が、ますます得られるようになっていくだろう。

 今のところ、このデータでリードしているのは、Apple に見える。health kit を使って多くのデバイスから情報を収集できるプラットフォームに育ちつつある。Google fit は対応するサービスが少ないようだ。自分が使っている Withings の体重データを取れないし、Pebble の運動記録も取り込めない。

 ただし、これらは Apple や Google だけの責任ではなくデバイスメーカーの意向でもある。fitbit が health kit への対応を行わないという判断を下したのは、Instagram(fitbit) や Twitter がトラフィクを囲い込むために API を閉じたのと同じ理由だろう。既に戦いは始まっている。


ストレスを測れるウェアラブル機器が明らかにした「トランプショック」
breath censor Spireはウェアラブルな活動量計です。といってもフィットネス端末のようにカロリー消費や心拍数を測るのではなくて、心理状態をチェックして必要に応じてアドバイスしてくれるという変わり種。チェックに使うのは「呼吸」です。


trump shock
 先日の米大統領選挙の開票速報中の米国ユーザーにおけるストレスグラフです。サンプル数が3000と少ないですが、トランプ氏がオハイオ州とフロリダ州で勝った時、(非常に重要だとされる)ペンシルベニア州で勝った時、そして、トランプ氏の勝利が確定した時がストレスのピークになっています。

 既存の、加速度センサーと心拍センサーによるモニタリングでははなく、新しいモニタリング手法での参入だ。既存のウェアラブルデバイスに対する挑戦だ。

 興味深いが、喜んで興奮した場合でも呼吸は上がるのではないだろうか。だから、上の記事で取り上げられた事象についても、トランプ当選を喜んで興奮した人が含まれているのではないか。だとしたら「ショックを受けた人が多かった」とは言えないのではないだろうか。

 ただ、新しいモニタリング手法が出てくるのは面白い。

心臓発作防止プラットホームのAliveCorが製品をAI化、Omronなどから$30Mを調達 | TechCrunch Japan KardiaProは、リスクを抱える患者の体重、活動、血圧など複数の要素を調べて、それらのデータをAliceCorのAIに分析させ、医師が気づかないかもしれない兆候を見つける。そしてAliveCorのCEO Vic Gundotraが患者の“パーソナル・ハート・プロフィール”(personal heart profile)と呼ぶものを作り、そのデータを元に、医師が次の診療内容/方針を決めるための注意情報(アラート)を送る。

 重要なのは、Mayo Clinicという、数百万の患者を対象としている大手のヘルスケア企業とパートナーしたことだ。またOmronも、血圧計などのヘルスケア製品を世界中に提供している企業なので、貴重な情報が得られるだろう。

 いよいよ真打ちだ。医療サービスからフィットネスデバイスに殴り込みだ。データをAIに食わせるというアプローチは必ず訪れると思っていたが、もう始まっていた。

 一般人が心拍計を24時間付けて、その結果を報告するというのは過去には考えられなかった。健康に見えても爆弾を抱えている人がいるかもしれない。不調を訴える前にビッグデータとAIモニタリングにより予防策を打てるようになれば素晴らしい。

 ここに、omron の名前がある。プラットフォームのオーナーになることを諦めて IoT デバイスを作るだけの下請けになるのか・・・まあ、コンシューマーは諦めて医療関係に絞るというのも一つの考え方ではある。

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