ロードサイドの栄枯盛衰

自分の家の近くには住宅地が広がり夜間の人口はかなりある。典型的な郊外住宅地で、幹線国道が通っている。こういう環境では、国道の周辺に商業施設が並ぶ。特に多いのが飲食店だ。多様なジャンルの飲食店が覇を争って、生まれては消えていく。平均的な営業期間は10年に満たない。

 こういうところに住んでいると、新しくできた店がいつ撤退するかを当てるのが上手になる。場所と業態、飲食店の場合はジャンルと想定価格帯でほぼ決まる。組み合わせを間違えたら2年持たずに潰れる。近所の店の出店に関してだけならプロのコンサルタントより正確に当てる自信がある。ここしか知らないので商売にはならないがwww

 田舎を自転車で走っていると他にも感じることがある。コンビニの栄枯盛衰、ガソリンスタンドの淘汰などは社会の縮図のようでもある。関西圏ではコンビニといえばローソンだった。母体がダイエー(発祥が神戸)だったこともあるだろう。が、一時期ファミリーマートが伸びてきて今ではセブン・イレブン対その他といった図式になった。そのセブン・イレブンとて安定しているわけではなく、道路状況の変化やライバル店の出店によって閉店することも珍しくない。

 都会だと建て替えられるのかもしれないが、田舎のフランチャイズで建物持ち主が地元の地主だったりすると、転用される。まれに別のコンビになることもあるが、中古車屋やコインランドリー、不動産屋・・・様々な店舗として再利用される。しかし、建物の作りがコンビニ時代の面影を残していることが多く兵どもの夢の跡を思わせる。これも、継続的に見ていると数年で違う店や空き家になってしまう。

 次がガソリンスタンドだ。地方の道路では数キロおきにガソリンスタンドがあった。うちの近くは極端で数百メートルおきにガソリンスタンドがあった。ところが、ここ数年でガソリンスタンドの数が大幅に減った。また、大半のスタンドがセルフになった。フルサービスで残っている所はごくわずかだ。乗用車の燃費が良くなるに連れてガソリンの消費量が減ったのだろう。乗用車の平均の燃費は大幅に伸びている。燃費の良い車種への買い替えも一方方向で進んでいる。

 うちの場合もそうだ。前の Alfaromeo145 は 12km/l 程度だったが、Fit は 15km/l 以上だ。新車のエコカーだともっと伸びるだろう。これらの割合が増えれば増えるほどガソリンの消費量は減っていく。ガソリンスタンド小売のパイが減っているのだ。当然、供給過剰になり淘汰が進む。燃費の良い車への買い替えは進むからこの流れは止められない。

 また、エコカー指向と同時に自動車のコモディティ化の進行もこの流れに拍車をかけているだろう。自動車をステータスシンボルとして捉える層の比率はどんどん下がっている。地方では生活の足として自動車を持っている家庭は多いが、大半が5ドアだ。家族の足として考えるならこれが一番合理的だから。自動車に対して特別な思い入れが無ければ、経済的合理的な判断が優先される。それがコモデティ化だ。

 昔のテレビCMのコピーに「いつかはクラウン」というものがあった。「(今はカローラだけど)金に余裕ができたらクラウンに乗りたい」という願望があった時代だ。今、そのような感覚は、自分には、ない。クラウンを買う余裕があったとしてもクラウンは買わない。クラウンだからではなく数百万円もする自動車を欲しいと思わないのだ。

 ここから本題だが、先週末に実家に帰った時、国道沿いの喫茶店が改装工事をしているのを見た。そこは自分が高校生時代にあった喫茶店だった。田舎国道に不似合いな真っ白の建物で目立った。可愛い同級生がバイトをしているらしいという噂もあったし(結局入ったことはなかったが)。その後、廃業し荒れるままになっていた。

 廃業になった原因は道路の整備だ。昔は京都市から京都府や兵庫県北部に行くためには国道 9 号線しかなかった。道路自体も走りにくく、市内から出発してその喫茶店に付く頃には、2時間近くかかった(途中の亀岡市が慢性的に流れが悪い)。高速道路で亀岡市や細い峠をパスできるので1時間程度で到達する。さらに、道路の整備でここから15分くらいで福知山市内に着くようになった。ここで休む必要を感じないのだ。

 自動車の性能や道路の整備が道路沿いのビジネスに影響する。現在良い立地であってもバイパスが出来たり中央分離帯が整備されることで条件が悪化することもある。例の廃墟を改装して飲食店を作ろうとしているのかはまだ分からないが、もしそうだとすると苦戦は免れないだろう。継続して見守りたい。

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