Surface Pro 3 の 標的は Windows PC に決まってんだろ

 ここで書き連ねてきたことと一緒だ。興味深いのは、他の Windows ノート PC の反応だ。Mcrosoft は盛んに Macbook Air との比較を訴求しているが、消費者は Macbook Air とより他社の Windows マシンと比較するだろう。売り場に行けば分かる。自分がノートPC売り場の責任者なら Surface Pro 3 は Windows PC 売り場に並べる。Windows のデータやソフトウエア資産を持っているユーザがノートPCを買い換えようと売り場に来た時に比較対象とするのが Windows マシンだからだ。

 パソコンの普及率が低い時代なら、初めてパソコンを買うという人が多かったかもしれないが、現在売り場に来るのは、Windows XP を買い換える人たちだ。同様に、Mac のノートPCを買おうとしている人は売り場で Windows マシンと比較しない。もちろん、Macrosoft はよく知っているだろう。ただ、HP や Acer、Lenovo と比較することはできない。「Windows ハイブリッド PC の中で最軽量・最薄」とかいったキャンペーンは打てないのだろう。ここが Microsoft の辛いところだ。

 大多数の Windows XP 個人ユーザは Macbook Air と言われてもピンと来ないだろう。そこに訴求するキャンペーンが打てないのが Surface の弱点だ。Pro 3 は Windows PC として魅力的なマシンになったと思う。Windows パソコンの中で大きくシェア取れるポテンシャルを持っている。ノートPCのパイ自体が減少傾向(Windows XP 買い替え効果による好調は伝えられるが、一時的なものでしかないだろう)にある今、縮小するパイの奪い合いに Microsoft が参加することで、他のプラットフォームに逃げようとするメーカーを生みかねない。というか、今PC市場に残っているプレーヤーは撤退したプレーヤーのシェアを食って生き延びている状態だろう。Surface pro 3 がノートPC市場で存在感を増すためにはどこかの撤退を招くしかないだろう。次の脱落者がどこになるのか愉しみだ。
 

Surface Pro 3はマイクロソフトを救うか? 標的はiPadからMacBook Airへ : ギズモード・ジャパン
タブレットでの戦いを捨てて、薄軽ラップトップとしての勝負へ。

マイクロソフトがSurface Pro 3を発表しました。それはより薄く、より早く、すべてが前より改善しています。が、この発表の重要なポイントは、Surface Miniがなかったということです。それにより、マイクロソフトはついにiPadにはかなわないことを認めたのです。

でも同時に、MacBook Airには手が届くかもしれない、そんな見方もできるようになりました。

もうiPadは追わない

今日のSurface発表イベントの前には、より小さなSurfaceタブレットが出てくると予想されていて、それはアップルのiPad Miniに正面から対抗するものになるはずでした。もしマイクロソフトがiPadを倒そうとするなら、Surface Miniには意義がありました。敵が小さいタブレットを作ったんなら、我々だって作ってやるぜ、小さいキーボードも付けてね、と。望みのない戦争を戦うつもりなら、全面戦争したっていいわけです。

でも結局、Surface Miniは登場しませんでした。代わりに、Surface Megaとも言うべき、一回り大きな12インチタブレットが出てきました。それは、ちょっと太めのタブレットだった従来のSurfaceに代わり、ラップトップの世界に属するといってもいいものです。キーボードも大きくなり、タッチパッドも改善しました。価格は約1,000ドル(約10万円)です。

これはもう、「キーボードをくっつけられるiPad対抗タブレット」ではありません。むしろ、「キーボードを取り外せるMacBook Air対抗ラップトップ」と言ったほうがいいです。そしてその位置づけの変更は、大きな違いになります。

ちなみにBloombergによると、マイクロソフトはSurface Miniもしっかり準備していましたが、最後の段階で今日のプレゼンテーションから外したそうです。理由は、「競合と十分差別化できておらず、ヒットしないだろうから」とのこと。つまり、その領域はあきらめたということです。

Surface Miniをあきらめたことと、代わりにMacBook Air対抗のSurface Pro 3を投入したことで、マイクロソフトは小さいながらも「勝てる」ポジションに付けることができました。Surface Pro 3の方が、より軽く、薄く、ペンみたいなスタイラスで書き込むこともできます。また、ユーザーの期待値のマネジメントという意味でも有効です。12インチのSurface Proを持つと、それはもう大きなタブレットとは感じられません。むしろ、「ラップトップにしちゃえらく小さくて軽いな」と思うわけです。

Surfaceのねらいの変遷

この戦略変更は、もうだいぶ前にしてもいいものでした。初代Surfaceはタブレットプラスとして、マイクロソフトに勝利をもたらすつもり、でした。特にSurface RTは、機能を省いたOSと10.2インチディスプレイで、iOS搭載9.7インチディスプレイのiPadを直接ターゲットにしていました。キーボードカヴァーを(有料で)付ければ、未来のコンピューティングが完成するはずでした。「ラップトップにもなるタブレットがあるのに、なんでiPadを買うの?」そんなスタンスでした。ただ実際、そのコンセプトの素晴らしさと実物の出来栄えが全然違っていました。

大きく勝とうとするのは恥ずかしいことではないし、いつか誰かがiPadに代わるか、匹敵するタブレットを作ることでしょう。でもSurfaceにはそれができませんでした。パソコンのようにふるまうタブレットは、マイクロソフトのパノス・パネイ氏が指摘するように、タブレットを持つ人のうち96%の人がコンピューターを持っている今、あまり必要とされていませんでした。

それにiPadは、いまだに一番大きな競合機の2倍以上の売上を保っています。もしSurfaceがそのコンセプトを完ぺきに実現していたとしても、それに打ち勝つにはありえないほど長い道のりになったことでしょう。しかもSurfaceは実際、完ぺきとはほど遠い代物でした。

ただ、フルのWindowsを載せた初代Surface Proはちょっと違いました。もっと洗練されたSurface 2も含めて、スペック的には大きく改善されていました。が、まだまだ狙うところには届きませんでした。タブレットとしては高価すぎ、パソコンと比べれば小さすぎ、性能も低すぎでした。

でも、MacBook Airより薄くて軽い、でも本当に使えるラップトップなら、話は別です。さらに、タブレットにしたいときはキーボードも取り外せるんです。

長期的にパソコンがなくなるのか、タブレットが一時的なものなのか(ハイブリッド機も売れてはいますが)、誰にもわかりません。でもマイクロソフトにとって遠い未来のことより大事なのは、手遅れになる前に今すぐ、選ばれる存在に返り咲くことなんです。

iPadをいつまでもターゲットにしていたら、それは決して実現できない夢でした。でも重量級を少し落としたことで、彼らはようやく、勝てる相手を見つけたのかもしれません。

「Surface Pro 3 の 標的は Windows PC に決まってんだろ」への2件のフィードバック

  1. 普通の人なら、iPadとか画面が大きめなタブレット端末があれば大抵事足りることはわかっているので、他との差別化をしっかりやることでタブレット端末だけど紙っぽい使い勝手もあるよとすることで、既存概念のPCに目を向けさせず移行を促進させる狙いがあるような気がします。

    1. 確かに、Windows 8 のライバルが Windows 7 マシンである現在、Windows 8 への移行を後押しする狙いはあるかもしれませんね。

      そうなることで Windows PC 市場が活性化されればという建前かもしれませんが、Surface Pro のシェアがアップして最も影響をうけるのは Windows PC メーカーですね。Macbook も iPad も、おそらく Android も全然影響を受けないと思っています。

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