色々と残念:「一連の事件すべて自分」片山被告勾留

 地道な捜査陣の勝利という点は評価できる。しかし、地道な捜査が遠隔操作といったネットワーク犯罪に勝利したのでは全くない。この点では完敗だった。ネットワーク犯罪に警察が勝利したというためには、ネットワークの証拠から犯人の特定をしなければならなかったが、できなかった。日本の警察がネットワーク犯罪について完敗した事案として記録が残った。

 なぜか。片山容疑者の軽率な行動が無ければ捕まえられなかったし、裁判を行って衆人を納得させられる証拠を集めることができなかったからだ。それができていたらとっくの昔に有罪判決を勝ち取れていただろう。

 また、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」に描かれた犯罪心理の発露の事例として見ると興味深い。小説やテレビドラマ、マンガ、アニメでも悪者はおしゃべりで圧倒的に有利な状態で黙って事を成せば逆転されずに済んだだろうということがしょっちゅうある。「黙って、うしろから撃っておけば死なずに済んだのに」だ。主人公を絶体絶命のピンチに陥らせた上で逆転させたほうが盛り上がるという演出としか思えなかったが、片山被告の行動を思うと、あえてそういうことをすることで破滅すると分かっていてもしてしまう衝動があるのかもと思ってしまう。

「一連の事件すべて自分」片山被告勾留 NHKニュース5月20日 14時27分
パソコンの遠隔操作事件で、これまで無罪を主張してきた元会社員、片山祐輔被告が一転して「私が真犯人で、一連の事件はすべて自分の犯行だ」と認めました。
片山被告は保釈を取り消され20日午後、東京拘置所に勾留されました。

パソコンの遠隔操作事件では、インターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(32)が威力業務妨害などの罪に問われていて、ことし3月に保釈され裁判では一貫して無罪を主張してきました。
しかし、弁護団によりますと、19日夜になって片山被告が一転して一連の事件はすべて自分の犯行だと認めたということです。
また、今月16日に報道機関などに送られた自分が真犯人と主張するメールも片山被告が送ったことを認めたということです。

片山被告は19日午前10時20分すぎに弁護団と電話で話したあと連絡がとれなくなっていましたが、午後9時半に弁護士に「自分が犯人です」と電話で伝えてきたということです。
そして「死のうと思って山の中をさまよったり電車に飛び込もうとしたが踏みきれない」と自殺をほのめかしたことから弁護士が思いとどまるよう説得し、20日朝保護して東京地検に連絡したということです。
弁護団によりますと、片山被告は犯行を認めた理由について16日のメールの送信に使ったとみられる携帯電話をその前日、東京の荒川河川敷に埋める様子を警視庁の捜査員が目撃していたと報道されたことを知り「もはや言い逃れができないと思った」と説明しているということです。
片山被告は22日、裁判に出廷する予定になっていますが、弁護団が「これまでの無罪主張を撤回し、みずからの関与を洗いざらい話すべきだ」と伝えたところ片山被告は了承したということです。
東京地検は、裁判所が保釈の取り消しを認めたことから20日午前11時ごろ弁護士事務所にいた被告を拘束しました。
そして、午後1時20分ごろ身柄を東京拘置所に移して再び勾留しました。

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