TED 知覚・認知・ミスディレクションについて Apollo Robbins

 「脳はすすんでたまされたがるAmazon で買う)」にも取り上げられていたマジシャン Apollo Robbins のTEDでのプレゼンだ。脳内のフランクの例えが非常に分かりやすい。同じマジシャンでも先日読んだ「心を誘導する技術」の中辰哉とは大違いだ。

 ここから先は動画を観てから読んで下さい。

 観客の一人をステージにあげてお得意の手わざを披露しながら同時に客席にいる聴衆と動画を見ている人間全てを手玉に取ってしまった。

 ロビンスは前段で聴衆に対して何度も自分の記憶力を試すように促す。「スマートフォンの右下のアイコンを覚えていますか?」「はい(多数の手が上がる)」。「目をつぶって私の服装が思い出せますか?思い出せた人は手を挙げて」「はい(多数の手が上がる)」。実はこの時、既に聴衆全員を相手にしたマジックは始まっていたのだ。

 みんな自分の記憶力に自信を持って手をあげていた。そして、ステージに上った人があまりにも簡単(そう)にしてやられるのを見て「自分ならあんなふうにならない」と思った(人が多いのではないだろうか)。しかし、その後で、それがただの過信でしかないことを叩きつけられる。

 自分たちが騙されるはずがないと思っていたのに、聴衆の目前でロビンスはネクタイを取りシャツを替えていた。おそらく、簡単に取れるものを羽織っていただけだろうが、それにしても、その瞬間に気付いた人はほとんどいないだろう。自分はロビンスが指摘する前に気づいたが、その瞬間には全く気づかなかった。マジック終盤になって初めてネクタイをしていないことに気づいただけだった。本人が指摘しても、動画をリプレイするまではシャツも変わっていたことが分からなかった。数分前に着ていたシャツのことなんか完全に記憶になったのだ。

 これによって、客席全員もステージに上げられた人と同様にロビンスに完全にコントロールされていたことを知る。見事だ。

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