ISO認証機関の無責任体質

 前に、不二家の工場の写真がニュースで映った時に、玄関先にISO認証取得工場であるとの垂れ幕があったので、「おや」っと思っていた。

 この疑問は多くの人が感じたようだ。経済産業省でも臨時の審査を要請しているらしい。この制度自体が機能していないのだから、その延長上の再審査をしてもトカゲの尻尾切りにすぎない。明らかに品質管理体制に問題がある企業にお墨付きを与えた認証機関(ISO9001、14001の両規格を認証した審査登録機関のSGS、日本環境認証機構(JACO))の名前は大きく公表して、その機関が審査した企業は全て審査のやり直しが必要だろう。

 大体、素人が聞いて呆れるような品質管理を行っているのを見逃した機関に再調査させても意味があるのか?存在価値が疑われる。少なくとも不二家には再起を期待したいが、こんな機関にはつぶれて欲しい。

 中央青山監査法人の粉飾決算指南にしても、本来なら、監査していた企業全てに監査のやり直しをお求める必要があったはずだ。もちろん、そんな監査機関・審査機関にお墨付きを与えていた監督官庁にもペナルティがないのはおかしい。

このエントリはこれだけにとどまらず原因と対策についても述べられていて参考になった。

 ISO総研藤原のちょこっとコラム: 不二家やっちゃった。
「ISO9001に基づくシステムを構築していながら、この不祥事が起きたこと」
にも言及しなければなりません。そうなると、

 「ここを審査した審査機関は、何を監査していたのか?」

 「ISO9001って取得してもあんまり意味ないね」

と言う根本議論に発展することは、まず問題ないでしょう。

 ここのブログでは1月6日にこれを予言していたかのようなエントリを書かれていた。実は、この「形だけやっているが中身が全然伴わないと言う実例を良く知っている。会社法とか企業統治とかで企業が取り組んでいる企業統治だ。担当者を適当に決め集まって雑談するだけ。出てきたのは、「行動指針カードを全社員に配る」だったのには失笑した。全員机にしまいこんで忘れてしまった。どころか、その会議に出ている奴らがそんなことに興味がないのだ。やつらや経営者が求めているのは、何らかの基準を満たしているということでしかない。この体質はISOや個人情報保護法にも当てはまる。個人情報保護法で、文書に「知りえた情報は適切に取り扱います」と書いてあっても流出は全然収まらないのを見ればよくわかる。)

ISO総研藤原のちょこっとコラム: 審査に通ればISO9001を満足しているか?

ISO9001取得している企業の文書をみるのですが、審査で通っているにも関わらず、ISO9001に適合していないのでは?と思う節があるのです。

 もうひとつ。これは別のブログ。

酔っ払いのたわごと そんなもんでしょ†不二家のISO認証取得

 不二家でもISO9001が認証されているということに不思議は無い。
 経済産業省も寝ぼけたことを言うのなら、もっとISOの認証について強い指導と拘束力を発揮すべきだと思う。

 経験上審査の実態が甘いのは知っている人なら当然と思う。
 審査機関もあまり厳しいことを指摘すると次から別の審査機関に乗り換えられるため結構甘い。
 そういったシステム上の問題を経済産業省は放置しておいていまごろ寝ぼけたことを言っていると思う。

 ながくなるが「ジャーナリズム」様の記事。何の掘り下げも批判精神のかけらもない・・・

不二家ISO、経産省が臨時審査を要請…取り消しも

 大手菓子メーカー、不二家が認証を受けている品質・環境管理の国際規格「ISO」に関し、経済産業省が認証機関の関連団体に対して臨時の審査を要請していることが、13日分かった。

 不二家を巡っては、消費期限切れの原材料を使った洋菓子を製造・出荷したことが判明し、ずさんな品質管理が明らかになっている。

 審査結果によっては、ISO認証の一時停止や取り消しの可能性がある。「食の安全」への関心が高まり、食品メーカーの多くがISO認証を取得する中、不二家が認証の停止や失効に追い込まれれば、経営の打撃となる公算が大きい。

 経産省は、財団法人「日本適合性認定協会」を通じて、不二家の認証取得を担当した民間の認証機関に臨時審査を求めた。これを受け、認証機関が事実関係の調査に乗り出した。

 臨時審査の結果、問題があると判断すれば、〈1〉是正措置の要求〈2〉認証登録の一時停止〈3〉認証取り消し――のいずれかを決める。

 不二家は2001年から04年にかけ、国内5工場で環境管理規格「ISO14001」の認証を受けた。06年6月には、本社の品質保証部と資材部が品質管理規格「ISO9001」を取得している。

 協会は、消費期限切れの原材料を使った洋菓子を出荷していた時期が06年10~11月で、品質規格の取得直後である点を重視している。さらに、問題が判明して以降、埼玉工場で牛乳の在庫記録を残していなかったほか、札幌工場では原材料の仕入れ時期などを製造記録台帳に記載していないなど、品質管理のずさんさが相次ぎ明らかになっている。

 また、不二家は11日の会見で、「埼玉工場はISO認証を受けており、廃棄物が一定量を超えると、是正報告書を書かなくてはいけないため、(消費期限切れの牛乳を)捨てづらかった面もあったようだ」と釈明した。この点についても、協会は「ISOは、品質管理や環境への配慮を目的としているのに、体裁を整えることを優先しては本末転倒」と事態を重く見ている。

 過去には、三菱ふそうトラック・バスが大型車の欠陥・不具合を隠していた問題で、認証登録を失効したほか、神戸製鋼所やJFEスチールが工場の排出物のデータを改ざんし、6か月の登録停止となった事例がある。
(2007年1月13日14時41分 読売新聞)

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