「Now or Never」で攻めるソニー。MOBから脇役に昇格できるかどうか。

 Experia が好調なのは docomo のツートップで大幅値引きされたからで、端末が評価されたわけじゃないだろう(GALAXY には買ったが韓国製品の日本での不当な評価の低さは差し引く必要があるだろう)。iPhone が docomo から発売されツートップという下駄がなくなった今 Experia は iPhone じゃないスマホの一つになってしまうだろう。

 2013/12 決算は見るべきものが多い。今から楽しみだ。といっても、Experia の世界シェアはその他に埋もれて表示されない可能性があるがwww
 

「Now or Never(今でしょ)」で攻めるソニー (東洋経済オンライン) – Yahoo!ニュース

スマートフォンのXperiaZ、高級デジタルカメラのDSC-RX1など2007年から議論を重ねてきた”新しいソニーの戦い方”を盛り込んだ製品が、徐々に登場し始めている。
平井一夫社長兼CEOは「まだまだ始まったところに過ぎない」と語る。そして今後は、ますます顧客の間で感動を呼ぶような製品を連発していくという。「平井ソニー」が進める製品戦略の詳細を鈴木国正執行役EVPに聞いた。

■ ソニーの強みとは? 
 新しい環境への順応を見せ始めているソニーだが、果たしてお題目のように唱えられ続けている「ソニーの強み」は、本当に強みと言えるものなのだろうか。

 現時点で製品力を高める手段として実践されているのは、社内にある”ベスト・オブ・ソニー”を集めること。社内にある秘伝のタレを集めることで、ハードウェアのオリジナリティを高めていく勝負だ。まだ道半ばではあるが、サムスン電子、LGエレクトロニクスなどと同じAndroidプラットフォームを使いながらも、他社製品との差異化は実現し始めている。

 しかし、それだけではいずれ、ソニーに内在している価値も枯渇してしまうはず。次のステップについて、鈴木国正・執行役EVP氏はどう見ているのだろうか。

 同氏はソニーの強さを3つに分けて捉えているという。1つめは映像、オーディオ、デジタルイメージングの分野におけるオリジナリティの高さだ。

 「ソニー社内にある映像技術、オーディオ技術、デジタルイメージング技術を精査していくと、それぞれに面白いものがたくさんあり、各々が事業部の中で進化させている。それらを自分たち(経営層)自身が、それぞれの商品カテゴリを理解し、投資を行い、社内での人や価値の循環を手助けしなけし、投資をしていく」(鈴木氏)。
■ 五感はクラウド化できない
 これは平井社長が繰り返し発信している「五感に訴えることができる価値はクラウドやスマートフォンには転換することができない」というメッセージと重なる部分。高画質や高音質、質感や触感、動作感などは、簡単にマネできるものではないというのが、平井社長の主張だ。

 ただし、これまでは各分野においてユニークな価値を持っていたものの、それが社内で循環する仕組みがなかった。鈴木氏は「現在は各事業部が、それぞれに技術やノウハウを高めていきつつも、(エントリーユーザーがスマートフォンにいることを意識し)モバイル機器での応用やつながりを意識して製品を作るようになった点が異なるという。

 「ソニーのテレビやオーディオでのシェアはたかが知れてるという人もいるが、内在している価値とシェアは必ずしも一致していない。質の部分で勝負できるノウハウがあるからこそ、それを活かした戦略も展開できる」と鈴木氏は強調する。

 2つめの強みはサービスやアプリといったクラウドだという。ソニーにプレイステーションから派生したSEN(ソニー・エンターテインメント・ネットワーク)があることが強みなのだという。

 「各製品をソーシャルネットワークに対応させていくのは簡単だが、コンテンツサービスがそこに存在していることが重要。コンテンツサービスをネット上で提供しているが故に、ソーシャルでそれらをつなぐことで得られる価値も大きい」

 そして3つ目として挙げたのが、「絶対的な危機感」である。これはアップルやサムスンといったライバルに比して、ソニーという組織全体が変わらねばならない、という感覚をより強く感じているということだ。

 かつてインターネットと親和性が高いアプリは、パソコンであるVAIOが対応していくというのが既定の流れがあった。そのためVAIO関連製品の中だけであれば提案性が高くスムーズな連動も演出できていたとしても、それ以外の製品との連動はできなかった。

 しかし、今はエレクトロニクス部門全体が同じ意識を共有し、もっと迫力のある連携機能を提供できるようになっていると鈴木氏は言う。

 「たとえばNFC(近接通信)を用いて、あらゆる操作やデータ連係を可能にする。こうした簡単な操作で目的を提案できる心地良さの演出が行えるようになってきた。NFCはまだ第一歩にしか過ぎないが、それぞれの事業部内で完結するアイデアだけでなく、肌感覚でソニー製品がつながるとどんなことができるか、とみんなが考えるようになってきた。(無線LANでつながるデジタルカメラの)QXシリーズなど、クリエイティブなアイデアが出始めているのは、危機感が社内を一体化させているからだ」
■ 独自製品量産への課題
 筆者は、平井社長が率いるソニーのエレクトロニクス事業戦略について、肯定する部分を見いだしつつも、同時にいくつかの疑問も抱いてきた。

 まず、いくら危機感から一体運営を進めていくとはいえ、多くの利害が絡む巨大組織を変えるには多くの調整が必要になる。それをやりきれるのかどうか。

 たとえば、XperiaZが社内外で評価を高める中、そこに経営資源を集中させている。この施策を継続的なものとし、またスマートフォン開発に携わったエンジニアが古巣の中で新しい製品開発のアイデアへとつなげていくには、事業部間の利害関係整理や貢献者の評価といった部分にまで踏み込む必要がある。

 この点について鈴木氏は次のように説明する。「それこそが平井が社長になって経営を始めてから、もっとも大きく変化した部分。2012年4月からUX(ユーザーエクスペリエンス)商品戦略本部となったが、それ以前からも本部長クラスを月に1度は集め、さまざまな議論、アイディア出しを行ってきた。事業の現場に携わる本部長クラスの人間が、商品カテゴリを越えて結びつきを強めている。現場に近いからこそ、具体的かつ効果的なアイディアで商品の枠を越えた機能提案も行われるようになってきた」。

 実はこのUX商品戦略本部におけるコミュニケーションの中で、相互貢献に関するパフォーマンス評価やレビューなどを行っており、事業部間の利害についても、綿密に連絡を取りながら”貢献度の見える化”を行っているという。XperiaZの成功や、Z1の高評価を受けて、さらにこの活動は活発になってきたという。
■ 複数のOSを研究
 また、Androidに代わる基本ソフトへの取り組みなどに関しても、含みを持たせている。「スペインのテレフォニカと共同開発しているFirefox OSも、またSCEが取り組んでいるVitaOSの開発など、モバイル製品に使えるあらゆるOSに関して、ソニー製品で採用する可能性を否定しない」と鈴木氏は話した。

 ただし、iOSとAndroidが高い市場占有率を示している現状を無視しているわけではない。「あくまでも、より良いハードウェア、より良いアプリやサービスを作り、ユーザーにとってより良い製品を目指して磨き込むことが大前提。将来、自分たちでコントロールできるOSを持ちたいという思いはあるが、現時点ではアプリやサービスのレイヤを磨き込むことに集中している」(鈴木氏)

 何より社内の意識が変化し、より良い製品が生み出せる、これまでにないアイディアが生まれてくる社内環境ができはじめたと鈴木氏は感じているようだが、それでもまだ明確な道筋が見ない部分もある。

 それはスマートフォンで原体験を得た消費者を、各分野の製品へと受け渡す動線が、帆等に作れるのか? という部分だ。ソニーのスマートフォンでカメラを知った消費者が、ソニー製カメラを使ってくれるのか。これは映像やオーディオといった部分でも同じだろう。
■ やるなら今でしょ(Now or never)
 Xperiaに経営資源を集中させ、モバイル製品の力を高めていく流れを作ることはできた。今後はXperiaを軸足にしてソニー全体をどう高めて行くかだ。しかし、ここは戦略的に”動線”を作っていくよりも、製品を作っている現場のエンジニアひとりひとりが意識を共有し、顧客の感動を引き出せるかにかかっている。

 利害を超えて面白さを創出する。鈴木氏は「過去10数年を振り返って、今ほど社内がひとつになっている時期はない。成功しなければならないという意識と、『Now or never(今でしょ!)』という意識がしっかりと根付いている」と話す。

 本当にソニーは変わったのだろうか。あるいは変わり始めているのか。その一端はすでに顕在化しており、曙光はみえている。今年、ソニーを定年退職するベテランエンジニアが次のように話した。

 「出井時代、社内の技術・製品の評価してもらう機会は多かったが、伝わっているという手応えは今ひとつなかった。これが安藤、中鉢時代になると、自分たちが作っている、作ろうとする価値を伝える機会さえない暗黒時代だった。ストリンガーも一度巡回した程度。しかし今は、社内にある価値を見いだそういう、商品に対する経営陣の強い意志を感じる」

 製品(プロダクト)の会社を経営するには、利益を生み出す源泉である製品そのものへの理解とこだわりがなければならない。そのこだわりが生まれているということは、確かにソニーは変化しているのだろう。しかし、大きな潮流になるまでには、まだもう少し時間が掛かりそうだ。
本田 雅一

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