「便利は不便」又は工具不要の落とし穴

 駅で自転車に乗ろうとしたらライトが変な方向に向いているのに気づいた。真っ直ぐしようとしたら本体が簡単に動いた。上に引くとあっさりとホルダーから抜けた。ホルダーと本体を固定するネジがなくなっていた。このネジは手で締めるもので、取り付け作業したときに寒かったのと暗かったのとで十分なトルクを掛けられなかったのが原因。

 サイクルコンピューターやライト、バッグ類を取り付ける際に工具の要らないものが増えた。この傾向に苦言を呈したい。

 手では十分なトルクを掛けられない。ステムやケーブルが干渉しててがいい角度で使えないような場所では特にそうだ。また、構造上ダブルナットが使えない。物を固定するときに工具を使うのは必要だ。自転車の普通のパーツは、最近では、ヘキサゴンキャップドボルトで占めるのが主流だ(最近はドライバーの出番は殆ど無い)。ハンドルやステム、クランクや変速機もこれで止められて十分な固定力がある。こんな所に手締のナットを使う人間はいない。

 にも関わらず、なぜか、サイクルコンピュータやライトなどを固定するときに工具不要にするメーカーが後を絶たないというより、ここ数年買ったもの全てがそうだった。

 頻繁に脱着するものなら手締めのナットも便利な場合がある。しかし、ライトやサイクルコンピュータは違う。というより、どちらもホルダーと本体はワンタッチで着脱できる構造だ。だから、ホルダー部は自転車に強固に固定しておいても本体の着脱に不便はしないのだ。せっかく、このような複雑な構造で着脱できるようにしているのに、なんでホルダーを手で着脱できるようにする必要があるのか全く分からない。

 手締ナットが緩んで落とすことによる再購入を意図しているとしか思えない。もしそうでなくて、工具不要にすることをユーザに対するサービスと考えているなら、今すぐ考えなおして欲しい。手締のナットより普通の六角ナットのほうが軽いしスペースも取らない。工具を使って締めこんでも壊れない強度にだけしておいてくれれば満足だから。

 CATEYE はホルダーだけを別売しているのだから、工具止めのホルダーを選べるようにしてほしい。

 このように、一見便利に見えてたいして便利になっていないものは多い。スマートフォンもそうだ。スマートフォンは大きな可能性を与えてくれたし、実際にそれまではPCを持ち運ばなければできなかったことができるようになった。しかし、逆に不便になったことも多い。

 PDA でできていたことが未だに実現されていないのは残念だ。そして、技術的に可能なことでも、セキュリティ上の問題、著作権上の問題、Apple のこだわりといった制約から実現されていなかったりもするが、またの機会に考えたい。

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