「自炊代行」は著作権侵害か?

wssm07-91647_pho01 法律の専門家ではないからよくわからないが、自分には納得がいかない。依頼を受けて素材を受託してデータを作成し、両方を依頼者に返却すれば問題がないだろう。受託した素材またはデジタイズしたデータを横流しした場合と一緒にしてはいけない。この記事を読む限りではそこは問われていない。

 この裁判の原告団が「裁断された本がオークションにあった」ということを訴訟の際の記者会見で言っていたという記憶があるが、これもピントはずれだ。自炊代行業者が出品していたのならともかく、依頼者が出品していたら著作権侵害をしているのは依頼者だ。しかも、ここには未解決の権利問題がある。それは、古本問題だ。

 本を買った人が古本屋に本を売るのは現在では法的な問題はない。普通の所有権移転契約だ。じゃあ、その所有者が手で書き写したら?コピーした上で古本に出したら?そのコピーの方法がコピー機ではなくスキャナだったら?コピー機を使わず自分で裁断してスキャンした後だったら?自分で裁断するのが面倒なので誰かに頼んだら?自分で設備を持っていないので持っている誰かに頼んだら?どこから、誰の著作権侵害なのか?

「自炊代行」は著作権侵害 初の司法判断 東京地裁 – ITmedia ニュース
 顧客の依頼を受けて紙の本を電子書籍化する「自炊代行」サービスで著作権を侵害されたとして、作家の浅田次郎さんら7人が、東京都内の代行業者2社に、自分達の作品の複製差し止めなどを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。大須賀滋裁判長は業者側に複製差し止めと計140万円の賠償を命じた。

 著作権法は個人で利用するための複製を「私的複製」として認めており、複製の主体が業者か顧客かが争われた。自炊代行が私的複製にあたるかどうかの司法判断は初めて。

 訴えられていたのは、東京都港区の「サンドリーム」と葛飾区の「ドライバレッジジャパン」。判決によると2社は顧客から送付された書籍を裁断、スキャナーで電子ファイル化し、ダウンロードやDVDなどの形式で納品していた。

 大須賀裁判長は「電子ファイル化という、複製における中心的な行為を行っているのは業者」と指摘。「補助的な立場で電子化しているにすぎない」とする業者側の主張を退けた。

 2社は「原告らの作品のスキャンには対応していない」と主張したが、大須賀裁判長は依頼に応じて納品していたと認定、「原告らの著作権を侵害するおそれがある」と判断した。

 浅田さんらが別の4業者を訴えた訴訟も、東京地裁に係属している。

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