秋といえば岡山でしょう4 二日目は教養を高める日

試走

 まず、翌日の仕事の現場へのルート確認に出かけた。少しでも不安があればタクシーに同乗して行くつもりだったが、降水確率はゼロだし現地は田舎なので負担も少ないと思われたので、通勤ライドを兼ねたいと思ったのだ。片道20kmで高低差もほとんどないのでロードなら1時間で楽勝の距離だが、RX3で荷物を背負った状態でどれくらいかかるか読めない。また、込み入ったルートではないが分岐を探しながら走ったのではタイムロスにつながる。社会人として、しかも、指定した日に行わなければならない業務がある場合に遅れるのは許されない。

 試走のポイントは「どこで曲がるか」に尽きる。幹線道路を道なりに進むだけなら道に迷う心配はない。問題は、国道から県道や市道に折れなければならない場所だ。今回のルートでは2箇所。そこさえ間違わなければ方角さえ間違わなければ迷う要素はないし修正にかかるタイムロスもそう大きくはならない。分岐を確認して時間が読めればいいかと思っていたが、結局現地まで行った。道を確認したり遠回りをしたり、面白い建物の写真を撮ったりしながらでも1時間半で到着。最短ルートを迷うことなく走れば1時間前後では着けそうだということを確認し岡山市内に引き返した。帰りに再度分岐を確認しランドマークを頭に叩き込みながら戻った。岡山市街地から東に向かうときに高低差50m程度の岡があるが、それ以外はすべて平坦。8時に出発すれば余裕であることを確認した。

IMG_3591 土手を気持ちよく走っている時に偶然通りかかった巨石群。大きな岩はそれだけで信仰の対象になるようだ。ここにも祠と鳥居があった。

 市街地に戻ったら12時前くらいになっていた。ここから岡山城周辺を散策するつもりだったが、荷物を背負ったまま歩きまわるのは辛い(メッセンジャーバッグは自転車に乗っている時には肩に食い込まないが、歩くと肩に食い込んで辛い)。そこで、ホテルに電話しチェックインまでに荷物を預かってくれないか確認した。快諾されたのでホテルに向かい荷物を頼んだら、「もう部屋の用意ができております」とのことで精算して鍵を受け取った。
 
 荷物を預かってもらえるだけでも助かるが、部屋に入れると更に楽になる。荷物を置けるだけでなく、手足顔を洗えるだけで気分がリフレッシュされる。荷物についても、必要最小限なものだけを持ちだして引き返してくることもできる。15分くらいリフレッシュして再び外に出た。

オリエント博物館

IMG_3601 手始めは岡山県立オリエント博物館。「平山郁夫と古代メソポタミア文明展—平山郁夫シルクロード美術館名品選— 」開催中ということで観光マップの割引クーポンは使えず 1,000 円の入場料だった。

 くさび形文字が記録された粘土板の実物は面白かった。写真で見たのでは絶対に伝わらない小ささだった。小学生の頃NHKの「未来への遺産」というドキュメンタリーシリーズで観ていて、写真集も持っていて、もちろん歴史の教材でも試験でも散々見たことのあるくさび形文字だがあの大きさは知らなかった。粘土に型押するような解像度の低い記録方法だから大きな粘土板に書いてあるのだと思い込んでいた。しかし、実際はメモ帳のような大きさのものからあって、信じられないような密度で記述されていた。

 有名なハンムラビ法典の石柱のレプリカもあった。石柱をどのように使ったのか興味深い。恐らく、当時の識字率は高くなかっただろうから、市場に立てても意味は無かったのではないだろうか。それとも、神仏像のような王権の象徴として支配地に置かれたのだろうか・・・

 平山郁夫の手書きのスケッチやメソポタミアの生活を偲ぶような物品も多く面白かった。装飾品やローラー印章など、装飾的なものも多いのも面白かった。生活とは関係のない装飾物を作る情熱は、現代人に通じるものがある。というか数千年などというのは種の進化のレベル的には同時代なのかもしれない。だから、たった数千年前の文明が今と同じなのは当然なのかもしれない。

後楽園

IMG_3603 次は後楽園。オリエント博物館からは自転車で数分。観光地らしい賑わいを見せている。大きな人工的な庭園で、ブロックごとにテーマが決められている。梅や桜、蓮、紅葉などの季節ごとに楽しめるように考えられている。植物の変化に合わせて訪れる場所なのだろう。

 一箇所から何かを眺めて終わるような場所ではないし、一本道の順路があるわけではなく、みんながウロウロとランダムウォークしているようで面白かった。同じ人やグループとすれ違ったり平行に歩いたり。きれいな緑色の林があったが iPhone 4S のカメラでは近所の雑木林にしか見えないようなものにしかできなかったので諦めた。

 芝生では和服の結婚式衣装のカップルが写真を撮られていた。岡山城がバックに入る場所で撮るのが岡山風なのか。きっと、親戚友人知人の家に一月後くらいに挨拶状になって届くのだろう。良い青空で良かった。

岡山県立博物館

IMG_3608 後楽園のある島に隣接しているのが岡山県立博物館。ここもクーポンが使えた(250>200)。国宝の鎧や刀剣類があったが気付かなかった。鎧はともかく刀剣類が目に入っていたら見落とさないだろうから順路を間違えて通らなかったようだ。

 仏像は面白かったが、京都のどこだったかのような迫力のものは無い。とはいっても、「天」の像はいつ見ても面白い。輸入された概念をそのままなぞったのかもしれないが、当時の人間の妄想力を見るようで楽しい。オリエント文明に比べれば短い日本の文明で今と同じメンタリティを持っているのは当然なのかもしれない。

岡山城、烏城

IMG_3609 自体は新しく再建されたもので、コンクリート造りで内部にはエレベータも備えられた親切設計だ。なので、建物自体にあまり見るべきところはない。内部が博物館になっているので、そのスペースも勘案して設計されたのだろう。城の形をした博物館というのが正しいかもしれない。

414px-At_first_glance_he_looks_very_fiarce,_but_he_s_really_a_nice_person 今やっている特別展では江戸の文化が紹介されていて、歌川国芳の寄せ絵が展示されていた。澁澤龍彦のエッセイにアンチンボルトと並んで紹介されていたものだ。期待もしていないし、城の中にも全く書かれていなかったので驚いた。この写真は現場で撮ったものではなく Wikipedia のもの(現場は撮影禁止)。

 後、江戸時代のからくり人形で有名な、お茶運び人形のレプリカがあって実際に動かしてもらいお茶を受け取る役をさせてもらった。レプリカといってもバネを今の鋼で作ってること以外は全て同じな木作りだ。茶碗を受け取ることによって方向が変わるのかと思っていたが、腕はただのストッパーで方向転換は決められた距離で行われるということだった。その構造の説明も受けた。他にも水銀を使った宙返り人形やぜんまい仕掛け人形もあった。他に、大名籠や和服を試着して写真を撮れるコーナーなど、家族やグループで来ていたら楽しめそうなものもあった。

 因みに、特別展なのでクーポンは使えずに入場料は 800 円だった。

IMG_3619 夕食を食べる場所を探すのが面倒になり、ほか弁を買って城のベンチで食べることにした。4人がけの備え付けコンクリート造りのテーブルがいくつもあったので、その一つに陣取って城を正面に見ながら食べた。

 一帯が公園のようになっていて城以外は立ち入り自由で、犬の散歩やジョギングの人も多かった。生活の一部になっているようだ。外周は硬い土なので、23cには辛いが32c程度のサス付きクロスかMTBなら快適にライドできそうだ。 

林原美術館

IMG_3616 刀剣が充実しているらしいというので楽しみにしていたが、催し物を差し替えるための休館中だった。

切符

IMG_3625 今回は行かなかったが、他にも美術館や県立の大きな図書館もすぐそばにあった。

 バックの大きなモノクロの印刷物がクーポン。一日目の宿のフロントにあったものを手にしたもの。割引クーポンと地図が付いていて助かった。

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