備中国分寺
総社駅で荷物を回収し東方向に向かう。標識にが出ているのでそれに従っていたら自動車進入禁止の遊歩道が田んぼのど真ん中にあった。それに入ってしばらく走ると、田んぼの向こうのこんもり茂った林の中に五重塔が見えた。iPhoneで確認したらそれが備中国分寺だった。日常と非日常が混在する面白さは京都の町中のようだ。もちろん、地元の人にとっては全て含んだこの風景こそが日常なのだろう。
寺の由来とか縁起とかは知らない。興味がある人はWikipediaの備中国分寺についてをお読みいただきたい。
因みに、Wikipedia のページで西国街道が通っていることを知った。西国街道は古道で、自分が住んでいる西宮市では主要幹線道路とは違う生活道路のような所に道標が立っている。そんな自分の日常がこんなところでつながっていることは面白かった。現場で気づけばもっと興が乗っただろう。
寺の南は広く開けていて、ベンチでは男女がギターの練習をしていた。彼らにとっては見慣れた(見飽きた)大きな音でギターを引いてもいい場所を自分のようなよそ者は珍しく訪れる。ここでも、日常と非日常の交錯がある。寺の周りに観光客向けの施設などが存在しないのも好ましい。
吉備路自転車道
これまた全然知らずに入り込んだ遊歩道が吉備路自転車道だった。ゴミも落ちておらずよく整備された道で、田んぼの間を縫って走ていて楽しい。RX3に23cを履いている自分には振動が辛かった。もう少しボリュームのあるタイヤを履いているともっと楽しめただろう。レンタサイクルのママチャリなら凸凹は感じないかもしれない。
サス付きのクロスバイクに乗っている人が多いと岡山市を走っていて感じた。32cを履いたサス付きクロスバイクなら吉備路自転車道に最適かもしれない。岡山の市街地の歩道の凸凹や路面電車の軌道敷などは似たような感じなので、サス付きクロスバイク(それもなぜか Bianchi)が多いのも似たような理由かもしれない。
東は吉備津神社とあったので、道なりに走っていたが、どこかで分岐を見落としていたらしく、南方向にオーバーランしてしまっていた。「方向がおかしい」と気づいてiPhoneで地図を確認してルートを修正して吉備津神社に向かった。
吉備津神社
詳しくはWikipediaの吉備津神社か公式サイトをご覧頂きたい。
右の写真は国宝らしい。この寺は三千院を思い起こさせられた。簡素で古い建造物が中心だが人の手によって維持されている。それも観光地としてでなく、生活に密着した存在として日常の一部になっているという印象だった。境内に、子供を預かる施設があるらしく、子供の声が聞こえたり子供がほうきを持って回廊の落ち葉を掃いたりする姿があったりしたこと。自転車を止めているそばで、神社と全く関係のない話をする老人がいたりしたせいかもしれない。清水寺や金閣寺などの観光地は周囲も観光客向けの施設ばかりで生活の匂いは全くしない。
自分が一番気に入ったのは長い回廊だった。地元の小学生が竹箒で掃いていて、ゴミはもちろん枯れ葉も落ちていない。
敷地内の回廊の眼下に弓道場があった。高校生くらいの男女が弓を引いていたのも趣があった。弓をひく姿は凛として美しく張り詰めた空気は独特のものが有る。アーチェリーとは違う緊張感だ。弓をひく姿は後ろ姿が美しい。回廊の柱や樹木の枝と弓道場の屋根を舐めて中望遠で撮ったら最高の絵になっただろう。が、持っているのはiPhoneしかないし、勝手に人物の写真を撮っていい時代ではない。しかも、相手は女子高生。というわけで、写真はない。かろうじて、回廊を歩く男女の後ろ姿が絵になったので撮ってみた。
再び本殿。珍しい様式らしいが、一般的な様式というものを知らないのでなんの有り難みもない。豚に真珠とはこのことだろうが、自分の目で見て面白いと思ったことは社会的や歴史的な価値とは別問題で、国宝を回廊より面白く見られなかったことは恥ずかしくない。知識があれば得られる情報は増えるが、そのものから直接得られる感動を書き換えるのは本末転倒だ。「国宝だから美しい」とか「珍しい様式だから素晴らしい」のではないだろう。
自分は西門から入ったが、回りこんだら表玄関のような建築物があった。ここの朱色も緑に映えて美しい。「きつねのはなし」の舞台になっていそうだ(ここは稲荷じゃないから狐は関係ないが)。吉備津神社のある小山の東側に次の目的地の吉備津彦神社はある。自転車でも10分もかからない距離だ。
吉備津彦神社
規模という意味では今日最大かもしれない。門前の参道の雰囲気や観光バスでも入れる駐車場など、京都の観光寺院のような香りが感じられた。しかし、到着したのが17時くらいだったので人通りはほとんどなく沈んだ雰囲気を味わえた。
吉備津彦命という伝説上の人物を神体としたこんな大きな神社が近くにあるのは珍しい。その辺の事情はWikipediaの吉備津彦神社か公式サイトをお読みいただきたい。
宿泊
宿は岡山市にとってあるので、ここからは完全に移動モード。標識の「岡山市街地」を目印にひたすら幹線道路を走る。休日の夕方で自動車が多くて何の楽しみもない。困ったのは、自転車のライトが振動でスイッチが勝手に切れるようになってしまったこと。舗装の補修跡や歩道の段差を越える度にスイッチを入れなおさなければならなかった。GPSの謎の電源OFFといい、今回はトラブルも多い。
市街地に入ってからはiPhone頼みでホテルを目指した。ホテルの自動車立体駐車場の入口付近にバイクや自転車が3台置いてあったので、RX3を隙間に置こうとしていたら、駐車場のおじさんが来て「スタンドないの?」と聞いてきた。そして、先に停めてあったGIOSのクロスバイクを避けてくれて壁際に置かせてくれた。感謝!
チェックイン後、自転車でユニクロにズボンを買いに行ってココイチで夕食を食べて戻った。シャワーを浴びた後着ていた服を全てコインランドリーで洗濯。乾燥が終わるまでラウンジで道行く路面電車を眺めたり iPad でネットをして快適に過ごせた。他には誰もいなかったし、ホテルのWi-Fiも快適だった。