視聴率

 「テレビ番組を斬る」という podcast を愛聴している。これについては、以前ちんさんが上手に紹介されていたので、そちらへのリンクを置いておくので気になる人はどうぞ(テレビドラマ好きには必携のポッドキャストがあります。)。その、ブスの瞳に恋してるその5に気になるフレーズがあった:「(番組の評価基準が)視聴率しかないんです」。

 今でも視聴率はテレビの表示チャンネルのログを集計したものらしい。これでは、バラエティ系やスポーツの数字が水増しされるのは当然だ。リアルタイムで観たいスポーツや途中だけ観てもそれなりに楽しめるバラエティをテレビで流しながら、裏の番組を録画している家庭は多いだろう。自分にとって重要度の高い番組とそうでもない番組が重なったら重要度の高いほうを録画しそうでもないほうをリアルで観ている可能性も高い。しかも、この場合の「テレビ画面に表示されている」というのは積極的な視聴態度とは全く異なるもので、画面を見ている人間がいないケースすら珍しくない。こんなものを集計しても全然、視聴者の動向はつかめないはずだ。

 先日、NHKで「プラネット・アース」という特別番組をやっていた。全てHDDレコーダーに録画してまだ観ていない。その間に居間にあるテレビに何かが映っていたが記憶にはないし、そこで流れた広告も全く憶えていない。HDDレコーダーを導入してから、在宅している時間にやっている番組でも、重要度の高いものは録画して自分が観たいときに観るというタイムシフトが常態化した。そして、CMや思わせぶりな時間稼ぎの演出やCM後に繰り返される無駄なリプレイを全部スキップして短時間で「消費」するのだ。もう、テレビの前に座っていても、その時間に流されている番組を観ないし。テレビに映っている番組でも観てはいない(一人のときなら消すが子供が観ている可能性もあるので放置してある)。

 もし、俺の家庭に視聴率調査の機械を設置しても実際に視聴者として「観ている」番組の視聴率には全く貢献せずに、ほとんど観ていないどうでもいいような番組の視聴率を上げることになってしまうだろう。うちほどではないかもしれないが、多くの家庭で似たような状況が起こっているはずだ。そして、少なからず視聴率にノイズを混入しているだろう。

 視聴率調査のノイズの原因としては、他にも、複数視聴者や複数台数を家族で別々に観ているケースなど以前からあるものも残っているだろう。こんなにもいい加減な指標を元に、「この番組は世間で受け入れられている」とかいう判断を下すのは早計だろう。「低レベルの刺激が多いキャッチーな番組ばかりが受け入れられる」という番組製作者のため息の原因もこんなノイズのせいかもしれないし、「低レベルな番組ばかりを観ている日本人」といった指摘も実は当たっていないのかもしれない。(当たってるかもしれないが・・・)

 そんなことをふと思った。

蛇足:
 この点で、ネットのダウンロード回数というのは実数を把握できるのでノイズが少ない。

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