全世界のスマートフォンの営業利益シェア: トップはApple57%, 2位Samsung 40.8%

 Android 市場の厳しさがよく分かる記事だ。Apple を除いた 43 % のうち 40% をSamsung 一社が占めている。ということは、数多い Android 市場で利益が出ているのはほんの僅かでしかないということだ。Android メーカーにとって一番の脅威は Samsung だろう。

 この数字と日経や東洋経済が繰り返し書いている「Apple は iPhone 5 の売上が悪いので危ない説」とのつながりがわからない。まあ、利益は投下資本と売上との差なので、利益が少ないからといって事業をやめたほうがいいというわけではないが(特に成長市場では儲からないのが普通)、市場の成長が停滞したら淘汰されるのはシェアが少ない所からだ。つまり、日経や東洋経済が好調だと思いたい日本メーカーなどは事業継続すら難しくなる。

 日本のキャリアの巻き返しとかちゃんちゃらおかしい。iPhone にない機能を搭載すればなんて Apple にとってはどうでもいいだろう。市場シェアが1%以下で利益は1/100(損を出しているかもしれない)プレーヤーの巻き返しなど蚊が止まった程度だろう。これが現実だ。

 Apple の最も強大な敵はスマートフォンのコモディティ化と完成度の高い旧モデルだ。iPhone の新型の売れ行きを悪くするのは前モデルの出来の良さだ。昨今の Android シリーズの需要が大きいことに、低機能・低価格モデルと、Froyo、Gingerbread 搭載端末を購入したユーザの ICS モデルへの買い替えも大きいのではないだろうか。Android は ICS 以降大きく安定を増したし速度もかなり改善された(ハードの強化だけでなく、OS のマルチコア対応も大きいとおもわれる。根拠は XOOM を Honeycomb から ICS にした時に大きくレスポンスが上がったことによる)。ICS 世代が次回以降の機種変更をするかどうか、要素技術の世代交代が一段落した後で Android の売れ行きも巡航状態になるだろう。

全世界のスマートフォンの営業利益シェア: トップはApple57%, Android世界でトップはSamsung95% | TechCrunch Japan

2013Q1の数字を見るかぎり、Appleは依然として利益額が最大のスマートフォンメーカーであり、同時にそれは、利益が最大のモバイルプラットホームでもある*。Q1のスマートフォンの営業利益総額125億ドルの57%をAppleが占めている。これを報じたStrategy Analyticsによると、Android全体の利益額シェアは43%、額面で53億ドルとなる。同社のチーフアナリストNeil Mawstonが、本誌にそう語った。〔*: iOSプラットホームはデバイスのメーカーが複数化していない。〕

Q1のスマートフォンの売上に関しては、複数のアナリストハウスがさまざまな数字を上げているが、Strategy Analyticsが今回発表した数字は、それらと趣を異にしている。

たしかに、Androidはスマートフォンの売れ行きを支配している(Gartnerの先日の数字では、このGoogleのプラットホームが同じ三か月で台数ベースでは全売上の75%を占めている)。同じく台数ベースでは、SamsungがAppleとの差を広げ、スマートフォンの全売上の31%を占めている(Appleは18%)。しかしそれでも、利益では、高級ブランドを確立しているAppleを抜いてトップには立てない(これまでAppleが低価格機を出さなかったのも、ブランドイメージがその理由かもしれない)。

[表1]
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[表2]
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しかし話をAndroidに限定すると、営業利益におけるSamsungのシェアはとても大きい。同社の51億ドルの営業利益は、Android全体の営業利益の95%の相当し[表2]、またスマートフォン全体ではAppleの57%に次いで40.8%である[表1]。Nokia、BlackBerryなどのその他大勢は、全体でQ1の利益額が3億ドル、シェアは2.2%となる[表1]。

Samsungは昨年、一貫して成長を続けたが、そこには確実に利益も伴っていたということだ。1年前の同社のモバイル製品(スマートフォンとフィーチャーフォン計)の売上額は、わずかにAppleの半分にすぎなかったし、利益率も薄かった。

これらの数字は、今月初めに調査会社Canaccord Genuityが発表した数字とおおむね符合する(AllThingsDより)。違いは下位の部分のみで、Canaccord Genuityによると、上位二社以外のベンダは実質的には無に等しい。

たまたまGoogle I/Oが始まったばかりという時節だが、Strategy Analyticsの数字はAndroid世界におけるSamsungの、異常なほどの大きさを示している。同社の営業利益51億ドルはAndroid全域の利益の95%だから、かろうじてLGの2,5%を除けば、世界中のすべてのAndroidベンダが、利益を全部合わせても2.7%の“その他大勢”になってしまうのだ[表2]。

“効率的なサプライチェーンと無駄のない製品設計、そして切れ味の良いマーケティングが、Samsungの驚異的な高利益を支えている”、とStrategy AnalyticsのシニアアナリストWoody Ohは書いている。これと対照的に“LGはこの四半期に少額の利益を上げたが、規模が小さすぎるのでSamsungと互角に論ずることはできない”。

ではもっと小さなAndroid OEMは、どうしたらいいのだ。

Mawstonの考えでは、Androidから生み出している収益はSamsungの方がGoogleよりも大きい。モバイルの広告量もアプリの売上も、Samsungが上だろう。

“Androidプラットホームから上げている売上と利益は、SamsungがGoogleよりも大きいと思う”、と彼は書いている。GoogleのAndroid担当チーフSundar PichaiはI/Oのキーノートで、全世界のAndroidのアクチベーションが9億に達したと報告したが、しかしAndroidという車の運転席に座っているのは本当は誰なのか? 世界のスマートフォン市場を本当に牛耳っているのは?

“Samsungはその強力な市場支配力により、これからもAndroid世界の進むべき方向性に関し影響力を発揮し続けるだろう”、とMawstonは書いている。“たとえばAndroidの新しいアップデートなどは、他社に先がけてSamsungが要求することになるかもしれない”。ソフトウェアに関する要求がSamsungという一介のベンダから来た場合でも、これからのGoogleは、それに抵抗して、従来と同じく完全平等公平なモバイルプラットホームを維持し続けることが、難しくなるのかもしれない。

なお、Strategy Analyticsによると、これらの数字にはタブレットはいっさい含まれていない。

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