「越中おわら風の盆」

風の盆恋歌 NHKアーカイブスはNHKならではの作品が多く、その底力を見せてくれる。

 大分前に録画した風の盆恋歌という番組を覩た。銀塩フイルムにしか撮れない暗くて深みのある映像に惹かれたからだ。ドキュメンタリーかと思って録画ボタンを押して寝たのだった。

 後の説明によると、この番組は1988年だかに衛星放送の開始直後の頃に実験的に行われたものらしかった。そして、なんかの賞をとったらしかった。

 画像は、ひたすら盆踊りや街の情景を流し、バックで男女の会話と独白でドラマが演じられるというものだった。放映辞には、完全な生中継で、朝方の4時30分から5時30分に放映されたらしい。画像は、ほぼ真っ暗な中にちょうちんとカメラの前の暗い照明に浮き上がる踊り手くらいしか見えない状態から、すっかり明るくなり、町並みが現れ、遠くの山のシルエットが見え、朝焼けが見えはじめ、踊りの全容が現れるあたりまでが映し出された。ラジオドラマとリアルな画像を組み合わせる手法は面白かった。出演は二人の男女だけ。リアルタイムでこれだけのものを演じられるのは凄い。

 ただ、天邪鬼な俺なんで、いろいろ引っかかることが多かった。

 「衛星放送の機能を活かした企画性と芸術性を評価され・・・ギャラクシー賞を受賞しました」とアナウンサーが言っていたが、衛星放送のというのはおかしいだろう。生放送なんて地上波だってできたんだから。NHKが衛星放送を売り込む姿勢は一時のISDNを進めるNTTと良く似ている。全然、番組の内容とは関係ないが、一番引っかかったのがこれだった。

 祭りについて考えることがあったが、いつものように全然まとまらないのでいつかそのうち。

 なお、この番組には原作があったらしい。「風の盆恋歌」(高橋 治)というものがそれ。これについては、いろいろなソースで書かれているので興味があればあらすじは十分に分かるだろう。

 この内容についてもいろいろあるが、ネタばれにもなるし、好みの問題もあるので、追記にする。この作品を好きな人は読まないように。

 原作はたった20年ほど前の作品なのに、メンタリティが違いすぎる。全然共感できないのは、俺が以上なんだろうか。引っかかったことを列記すると、

・処女性にこだわることの不毛さ。まるで、2chのガキのメンタリティだ。
・肉体関係に対する強いこだわり。これは、翻せば精神性を否定することではないか>あなただけ今晩は
・残されたものへの無神経さ
・俺よりも若いはずの登場人物(女性の娘)の価値観が俺より古いこと
・死ぬことによる清算を潔さのように扱う感覚のアナクロさ。無責任さ。

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