kindle fire はamazon にとってトロイの木馬か三角木馬か?

 論調としては、前にここに書いたものと同じだろう。自分の金で買っていない最新のデジタルデバイスに囲まれて、それを使う事で収入を得ている人間と、自腹で生活費の一部を使って買う人間とでは評価の比重が違うのだ。

 一般人はデジタルデバイスをずっと使うわけではない。少々のことなら、「安いんやから」と我慢できるのだ。日に何時間も使う業務用パソコンや携帯電話とタブレットは違う。

 ただ、初期ロットが多くの家庭に入ると同時に不満を持つユーザ声も高まって来た。<イマココ>

 数が多い分不満の声も多く聞かれるだろう。これは、iPhoneの電池の持ちが悪いという批判が大きいかのように映るのとおなじだ。iPhoneより電池の持ちが悪いAndroidは多い。というより、AndroidでiPhoneより持ちの良い機種はほとんどないだろう。でも、それほど大きな問題にならないのは、一つの機種の台数が少ないからだ

 iPhone 4 のアンテナ問題のように収束し、Android 市場だけにとどまらずタブレット市場を制覇するのか、クリスマスシーズンだけに売れるシーズン商品に終わるのか、遠くから見守りたい。

Kindle Fireをけなしても無意味–それはAmazonコンテンツを売るためのトロイの木馬だから

高名な評論家たちの多くが、このところKindle Fireを激しくこき下ろしている。遅い、UXがお粗末、返品がとても多い、などなどと。なんと、あの温和なMarco Armentでさえ、”Instapaperを試すために必要だったが、それさえなければ返品していただろう”、と書いている。

世間は非情だね。

でも、別の文脈では、Kindle Fireは’鳴り物なしの’大成功だ。アナリストたちの推計では、今四半期の売上が500万台で、2011Q4におけるiPadの売上の半分近くに達する(Fireはこれまでの販売期間が短い)。クリスマス商戦が終わった時点ではiPadと肩を並べている、と予感するが、しかしいずれにせよ、Amazonは数字を発表しない。Marco Armentらが何をどう言おうと、Fireは店頭で驀進する。

Kindle FireはAmazonのトロイの木馬だ。タブレットの人気を見て、これいいなぁ、と思っていた大量の男たちや女たちの城門内に、まんまと入り込むための。しかもそれは基本的にリーダーだから、Angry Birdsが遊べないとか、Netflixの映りが悪いとか言ったところで、それらの批判はすべて見当外れだ。Amazonの目的はあくまでも、Amazonのコンテンツをダウンロードして見る、という経験と習慣を、ネット上のビデオやオーディオやeブックに慣れてきた一般大衆に植え付けることだ。

Kindle Fireは、だから、Marco Armentのような人を対象にしていない。Xyboardの529ドルは高い、iPadの499ドルは高い、ちょっと手が出ない、と感じていた一般大衆がメインのターゲットだ。これまでは、タブレットに関し、ほとんどのメーカーが低価格製品を無視してきた(VizioやViewsonicが例外として思い浮かぶが)。Amazonが、パワーユーザが馬鹿にするような製品を出したときこそ、ご用心、一般大衆がそれに殺到するのだ。言い換えると、Kindle Fireは、その前のNook Colorもそうだが、ぼくが(こんなのが出れば)母親に買ってあげたい、と待望していたタブレットだ。

Kindle Fireには、問題もある。たとえば、電源ボタンがひどい。でも、Amazonという敷地の中で本やその他のコンテンツを楽しみ、ときどきゲームやアプリをダウンロードする、という使い方なら、現状で十分だ。AndroidやiPadのパワーユーザは、Fireに’お呼びでない’高望みをしている。でもそれは無意味だ。Amazonは、Kindle Fireのパワーユーザバージョンを決して作らないだろう。Kindle FireはあくまでもAmazonの化身であり、その外部にあるもの、Tegraチップ、Ice Cream Sandwich、Honeycombなどなどは、Amazonの関心の外にある。

Amazonはこのクリスマス商戦でFireの在庫を売り切り、大儲けするだろう。来年はもうちょっと速くて薄いハードウェアになるかもしれない。しかし、ハードウェアマニアがよだれを垂らすような仕様には、絶対にならない。The Girl Who Kicked The Hornet’s Nest(邦訳が読めればそれでいい、という製品なのだから。

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