場当たり的な対応では・・・JR西日本

050622_1850~001 鉄道の技術基準は完成の域に入っているのかと思っていたがそうでもなかったらしい。先日の事故でも、事故直後にJRのコメントとして「130km/hまでは大丈夫な設計」というものがあった。後に否定されたものの、数日間はこの数字が一人歩きしていた。そして、そのコメントを否定した会見では結局新たな数字は示されないまま終わった。

 制限速度を決めるときに、カーブの半径・走る列車・線路のバンク(カントというらしいが)等から、基準値が割り出され、セフティ・マージンを加味して制限速度を決めているのだとばかり思っていた。ところが、実際には、「制限速度(70km/h)で大丈夫なことは経験的に分かっているが、どこまで大丈夫なのかは誰もわかってなかった」ということだ(と、感じた)。

 その結果、運転士達には、「70km/hて書いてあるけどちょっとくらい上回っても平気」といった認識が広がっていたのだろう、何の根拠もなく(もともとの70km/h事態に根拠が薄いのだからしかたがない)。しかも、認識は運転仕によって違っていたらしくもある。事故車両を運転した運転士がどのような認識だったかは分からないが、すくなくとも、少々の速度超過は大丈夫と思っていただろう。今にして思えば、速度超過は日常茶飯事だったのだろう。再開後の運転では、事故現場後の左カーブでも遠心力で外側に押し付けられる感じはなかった。俺は、大阪駅の降り口が右なので、いつも宝塚駅(右扉が開く最後の駅)で最後に乗り込みドア付近にいる。速度が速いときは乗客の遠心力をまともに食らって耐えている腕が震えそうになった。そんなときにはきっと70km/hどころではない速度が出ていたに違いない(高架の左カーブには補助レールがあるが)。

 制限速度を決める技術の確立とそれによる全路線の制限速度の見直し、基準を徹底させる教育こそが抜本的対策だろう。これらが徹底されれば、運転士の制限速度に対する認識も変わるはずだ。ATS-Pが本来の威力を発揮するのは、こうした技術に裏づけされた制限速度を守らせるときだろう。丼勘定的にきめられた70km/hという数字や、「事故が起きたから下げてみました」というためだけの60km/hという数字では運転士のフラストレーションがたまるだけでほとぼりが冷めたら同じようなことが起きるだろう。(ATS-Pの配備は効果的かもしれないが、それ以外のところは野放しということだろう。全体の安全性を高めるには上に書いたような対策が必要だ。)

 そして、それを行う(あるいは行わせる)のが国土交通省の仕事だろう。今回の事故の原因を社会の問題にしたりJRの体質のせい「だけ」にするのは短絡だ。

asahi.com: JR脱線事故受け、技術基準検討委を設置 国交省††社会

 JR宝塚線(福知山線)の脱線事故を受けて、国土交通省は21日、鉄道の安全に関する技術基準を見直す委員会を設置すると発表した。

 官民の鉄道技術の専門家13人が委員となり、家田仁・東京大大学院教授が座長になる。操縦不能に陥った車両を止める緊急停止装置の設置や車体の強度基準などを審議し、10月をめどに中間とりまとめをする。

 なお、制限速度について、ぱむとろさんが書かれていた「報道関係者へのデモンストレーション(PalmTrotter: 514.JR宝塚線再開に思う (2005/06/21))」でしかなかったことが分かった。事故当時にニュース番組に引っ張りだこだった「評論家」の皆さんやasahi.com: 宝塚線、法的な制限速度は下げず 再び引き上げる布石か††尼崎・列車脱線事故

 全線で運行を再開したJR宝塚線(福知山線)の新ダイヤについて、JR西日本は尼崎†宝塚駅間の直線の最高速度を時速120キロから95キロに、事故が起きたカーブは70キロから60キロに下げるとしている。だが、同社が近畿運輸局に提出した運行計画変更届出書には、同区間の許容速度は「変更なし」となっている。法的な制限速度は120キロのままだ。

 会見でJR西日本の徳岡研三専務は、最高速度引き上げの可能性について「再開後、遺族や利用者にいろんな感想があると思う。来春のダイヤ改定時に改めて検討したい」と答えた。

 写真は、22日の夕方に撮った大阪発福知山行き快速電車。これまでに乗ったことのない車両だった。どこかで使われていたもののお下がりらしい。速度を下げ、207系を使うのがもったいなくなって、他の線に回したんだろうか。相当にくたびれた車体で懐かしいガタゴトという振動を楽しめたが、空調の音と走行音、振動がひどかった。特に騒音はKOSS the PLUG をしていてもうるさいほどで、会話はほぼ不可能という状態だった。この車両、冬は隙間風で寒いだろうなぁ・・・

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