ボレロ

 ラヴェルのボレロをやっと iTune にとりこんだ。この、同じリズムの繰り返しにいろんな楽器が入れ替わりにリードをとるという発想が面白い。これは、レゲエのコンピレーションアルバムであるような感じだ。(レゲエの場合は、メロディや歌詞が全然別物だったりはするが。)

 このCDは公開のコンサートを収録したもので、静かなところでだと、観客のくしゃみの音や椅子の当たるような音も微かに聴こえる。これを聴いていると、楽団員や観客の緊張が伝わってくるような気がする。

 特に、前半部の一つの楽器を一人が演奏してメロディを奏でるところでは、どんなミスも許されない。今時のレコーディングとは桁違いのプレッシャーの中での一発テイク。ノリでごまかせるような余白は一切ない(まあ、集団で同じメロディを弾くパートなんかだと、一人くらい音が出てなくても観客にはわからないかもしれないが)。何日も練習したものを一発で決めなければならないのだ。

 逆に、全員の注目の中で、一人だけで演奏するのはたまらない快感かもしれない。少なくとも、一般人がなかなか経験できない非日常だろう。素直にうらやましい。

 しかし、この曲、通勤中の電車では厳しい。前半部でリズムを刻むリズム部隊の音がほとんど聴こえないから。

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