工作

 息子の卒業制作の課題は、ケーキのデコレーションのようなもので彩色し卵白で練って半流動状態にした砂糖を絞り袋で絞ったもので絵を描くというものだ(自分で選んだ)。

 色づくりに苦労しているので、昨日から手伝った。オリジナルの絵ではなく、ゴッホの「星月夜」。粒々で描くのでゴッホのタッチを表現するのに適していると、家族も思った。しかし、油絵の発色と砂糖の発色は根本的に違い、似た色にならない。一番面積が広い青の発色に苦労して、結局出来なかった。

 油絵は絵の具を重ねて塗ることで深みを持った色にする。しかし、それが出来ない。また、白い砂糖に食用絵の具を混ぜて作るので透明感のある色は作れない。薄い色が出来ないのだ。薄くしようとして白くすると薄くならずに白っぽくなる。ベースの砂糖が白で不透明なのだからどうしようもなかった。

 後、油絵ならパレットに沢山の色を置いて並行的にバランスを見て塗り進んでいくことができるが、砂糖絵では色を変えるのに一苦労する。絞り袋に入れ替えなければならない。その度に絞り袋と口金を洗い乾かさなければならない。3枚の絞り袋でローテーションしたが、彩色砂糖は長時間空気にさらされると固まってしまうので作業のたびに密閉して保管しなければならない。この作業上のオーバーヘッドがバカにならない時間になる。

 この二日間は自分が色替えと色の調合というバックエンドを担当することで作業効率を上げた。やっと、完成が見えてきた。

 しかし、色の調合は化学実験のようで面白かった。発色が違うのと素材の特性(うすめ液で硬さを調節できない、色を足すのが困難、発色が違う、重ねて色を変えることが出来ない・・・)により苦労したが、違う色の素材を混ぜて練るのは楽しかった。

 ひとつ悔やまられるのは、作業の工程の記録を写真に撮らなかったこと。色替えするたびにでもとっておいたら、作品のレベルはともかく、思い出深いものになっただろうに。

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