「iPhone 4S」の販売データを読む。勝者はどっちだ?

 意外に au が多いと感じた。月々のパケット料金の違いより回線の品質や繋がりやすさを優先する人が多いということか。au を使っていたユーザの中には ezweb.ne.jp を変えたくないという人もいるかもしれない。

 ただし、この au のシェアには「もし au が iPhone を扱わなかったらソフトバンクで買っていた」人達のシェアが少なからずある。同時に、「au から iPhone が発売されるから iPhone にした」という人もいて、こちらはソフトバンクからしか出ていなければiPhoneを買ってなかった人なので影響はない。両者の数がどの程度かによって判定すべきだが、この表からは分からない。

 少なくとも、「ソフトバンクモバイルが約20ポイントの差をつけて優勢だ」とは言い切れない。au は回線あたり 500 円は多く現金を回収しているということも忘れてはいけない。au はそれほど強くは iPhone を押し出していないが、au の業績において iPhone の効果は絶大だったはずだ。発売後10ヶ月たっても売れ行きがほとんど落ちずにランキング上位に残る機種なんて au は持ったことがないに違いない。

 これを機に、土管屋であることを認識して、経営資源をゴミ端末に浪費するのではなく回線への投資とユーザへの還元にまわしてほしいものだ。


 こちらのグラフも興味深い。初期にはソフトバンクの機種変更割引で iPhone ユーザが大挙機種変更したことがあるかもしれない(自分もこれ)。iPhoneを使い込んでいるユーザほどメモリの重要性への認識が高いため 64GB モデルの比率が高かったが、価格重視層が需要の割合を高めていくことで 16GB の比率が上がったのだろう。

 自分も、800円/月の差なので、64GBを買っておいたほうがいいとは思うが、多くのスマートフォンユーザが別に音楽プレーヤーを持っていることや、アプリを大量にインストールしているようなユーザは多くないということを考えると、16GB でも十分な人の割合は多いと思う。


「iPhone 4S」の販売データを徹底比較! 売れてるキャリア、容量は?
 量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、国内では2社が販売するアップルのスマートフォン「iPhone 4S」のキャリア別シェアは、2012年7月31日までの累計で、ソフトバンクモバイルが60.1%、KDDI(au)が39.9%。これまで何度かお伝えしたように、ソフトバンクモバイルが約20ポイントの差をつけて優勢だ。

 週次集計では、auがソフトバンクモバイルを上回ったこともあったが、月次集計では、ずっとソフトバンクモバイル、auの順は変わらず、2011年12月はソフトバンクモバイルが7割近い67.8%を占めた。12年3月以降は、auが40%台前半、ソフトバンクモバイルが50%後半で推移している。

 「iPhone 4S」の月間販売台数は、11年10月、12年3月、11年12月、11年11月、12年1月の順に多く、発売直後に大量に売れ、その後も高い水準で売れ続ける「初動+ロングセラー型」となっている。12年7月までの累計販売台数は、11年10月の6.7倍に達し、今年6月下旬には、前機種「iPhone 4」の累計販売台数を抜いた。「iPhone 4S」は、今のところ、国内で最も多く売れたスマートフォンだ。

<容量別シェア>初心者が多く購入? 16GBモデルが約半数を占める
 同じく2012年7月末までの累計での容量別シェアは、16GBが48.7%、32GBが35.7%、「iPhone 4S」から加わった64GBが15.5%で、両キャリアとも16GBが最も多く売れている。一番人気の16GBに限ると、ソフトバンクモバイル62.6%、au37.4%となり、ソフトバンクモバイルのシェアが若干高まる。

 発売直後の2011年10月の容量別シェアは、32GBが38.1%、16GBが31.5%、64GBが30.4%で、16GBと64GBが1.1ポイント差で拮抗していたが、翌11月になると、16GBが32GBを抜いてトップに立った。その後、16GBの構成比は徐々に拡大し、12年2月以降は常に5割を超え、直近の7月は61.1%と約6割を占めた。対して、64GBの構成比は月を追うごとに低下し、12年3月以降は10%未満にとどまっている。一方、32GBの構成比は11年10月~12年2月は30%台後半、それ以降は30%前半と、iPhone全体の販売台数が上下しても、ほぼ一定の水準を保っている。

ヘビーユーザー中心から一般人へ、広がり続けるiPhone購入者

 メモリカードスロットのないiPhoneは、内蔵メモリの容量が少ないと、使っているうちに音楽や動画などのデータの保存やアプリのインストールができなくなる可能性があるので、個人的には32GB、予算に余裕があれば64GBをオススメしたい。しかし、最も価格の安い16GBに人気が偏っていることから、「iPhone 4S」の購入者は、初めてiPhoneを手にする「iPhone初心者」も多いのではないかと推測する。また、対照的な16GBと64GBモデルの構成比の動きから、大容量モデルを買い求めるヘビーユーザー中心から一般人へと、購入者層が広がっていることがわかる。

 ソフトバンクモバイル版「iPhone 4S」のアドバンテージは、下りの最大通信速度など、機能面の差を除くと、auのモデルパターンより安い通信料金、2年間継続利用時のトータル費用の安さ、そして2008年7月に発売した国内初代モデル「iPhone 3G」から培ってきた豊富なショップスタッフの知識、イメージにあるだろう。

 16GBモデルなら、ソフトバンクモバイル、auとも、端末代は実質無料で、月々の基本使用料・通信料だけで利用できる。例えば、16GBモデルを一括払いで購入した場合、割引適用後の月額費用は、ソフトバンクモバイルが3785円から、auが4615円から(詳しくは<いまがiPhone 4Sをおトクに買うチャンス! 現在実施中のキャンペーンまとめ>を参照)。au版より安いソフトバンクモバイルの維持費は、iPhone初心者には魅力的に映るはずだ。1社独占販売ではなくなった「iPhone 4S」でも、ソフトバンクモバイルが「累計で6割」という高いシェアを獲得できた要因は、料金をはじめとするさまざまな強みが、新規購入者を含む、より多くのユーザーに評価されたからだろう。

 ちなみに、「iPhone 4S」と「iPhone 4」の2012年7月までの累計販売台数を合算すると、ソフトバンクモバイルのシェアは約8割、79.1%まで上昇する。2世代以上前の「iPhone 3GS」や「iPhone 3G」を含めれば、シェアはさらに高くなる。iPhoneシリーズ全体でみれば、すでに4年以上の実績をもつソフトバンクモバイルのシェアは圧倒的で、新参のauとの差はまだ大きい。

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