UIはモニタの大きさ毎に作るべき>iPad Miniアプリケーションを開発する際に考慮すべき3つのポイント

iPad mini に限らず、全てのアプリ開発の際に肝に銘じて欲しい。特に、「スマートフォン版を拡大して事足れりとしてしまっているのだ。そうした間に合わせの衝動にとらわれることなく、きちんとタブレット向けにデザイン」が重要だ。開発者は大変だと思うが、iOS 向けには3種類の UI が必要となったということだ(Android に比べたら1/10くらいだが)。

 このことはこのブログでしつこいほど書いてきたことだが、デバイスの大きさに合わせて UI を変えなければ良い UX は得られない。同じアプリ・データでもデバイスの大きさに合わせて操作の仕方が違うからだ。iPhone で便利だったボタンの配置は iPad xでは遠すぎる。逆に、iPhone では並べられなかったボタン類も iPad x や mini なら困らない。

 iPhone は片手で持って親指で操作することが多い、mini は片手で持って逆の手でタッチ操作をするのが主流だろう。iPad x は縦でも横でも両手で持つことが多いし、膝の上や机の上に固定して使うことも珍しくない(mini や iPhone ではめったにないだろう)。それぞれの持ち方によってコントロール類の配置は変えなければならない。

iPad Miniアプリケーションを開発する際に考慮すべき3つのポイント

編集部注:Boris ChanはXtreme Labsのプリンシパル。プロダクト開発およびイノベーション部門を率いている。氏のTwitterアカウントはこちら。

Appleが先日、ついにiPad miniをリリースした。小さいながらもiPadと同じ解像度を実現し、以前のアプリケーションがそのまま快適に動作するのが大きなウリのひとつだろう。但し、新たなデバイスが登場してくれば、それに応じて開発者が考慮しなくてはならない点がいろいろと出てくるものだ。iPad miniにて素晴らしいエクスペリエンスを提供するために考慮すべき3つのポイントを記してみようと思う。

1. 片手使い サイズが小さくなったことによりiPadも片手タブレットの世界に参入したことになる。すなわち、利用者がどのように片手でアプリケーションを操作するのかを考えながら、アプリケーションをデザインする必要があるのだ。言うまでもなく、片手で実行可能なジェスチャーによって簡単にコンテンツを操作することができるようにしておく必要がある。iPadではピンチ動作やズーム動作が大いに流行したものだが、iPad miniにおいてはこのジェスチャーについても再考する必要がある。タップやダブルタップ、スクロールの動作をいろいろと練りあげていくことになるのだろうと思う。Letterpressというワードゲームは片手でも簡単に操作することができ、良い参考例になるのではないかと思う。

またページ分けも減っていくのだろうと思う。iBooksの縦スクロールのように、ページからページへといくつも移る代わりに、長いスクロール動作を経ても同一ページ内にコンテンツをおさえるという方向性も出てくるだろう。但し、シンプルな動作でコンテンツ間を移動するのも素晴らしいインタフェースで、この面ではFlipboardの動作が非常に参考になるものと思う。

2. 標準はポートレイトモード 現在のところランドスケープモードを標準としているアプリケーションが多く存在する。iPad miniでは片手操作が多くなるので、ランドスケープモード優先の考え方は変わっていくと思われる。そして双方のモードで使いたいというニーズはさらに高まり、両方での動作をサポートする必要が高まっていくと考えている。一部のアプリケーションにあるように、ランドスケープでなければ使えない機能があるというものも敬遠されるようになることだろう。ポートレイトモードでも主要な機能はすべて使えるようになっていなければならない。また、とくに読書系アプリケーションでは、回転ロックの機能が必須ともなる。ちなみにiPad版をリリースしたPathが、ランドスケープモードとポートレイトモードの違いを十分に活用していると言えるだろう。

ところで、iPhone用アプリケーションを単純に大きくすることでiPad mini用とするのはやめるべきだ。Nexus 7でも、きちんとしたタブレットアプリケーションがないことが問題視されている。スマートフォン版を拡大して事足れりとしてしまっているのだ。そうした間に合わせの衝動にとらわれることなく、きちんとタブレット向けにデザインして、iPad miniでの利用者に素晴らしいエクスペリエンスの提供を心がけるべきだ。

3. 情報の識別容易性 iPad miniは外出先で利用されることも多くなるだろう。しかしそれだけを考えるのではなく、いろいろな利用シーンに応じたインタフェースを考えていく必要があるだろう。アンケート調査やレストランのメニューで使われるということも多くなると思う。開発者は、1台のデバイスがさまざまな用途に利用されることになり、ひとつひとつのシーンにおける最適なインタフェースというものを考えていく必要がある。

また、外出先で利用されることが多くなるということは、何か他のことをしながらデバイスからの情報を入手しようとするケースも増えてくるということだ。ナビゲーションや地図情報などの分野で、いろいろと面白いアプリケーションも生まれてくるだろう。サイズが小さくなったことで、ドライブ中の車の中などでも一層簡単に利用できるようになった。Wazeや、あるいはGoogleがこの分野で素晴らしいアプリケーションを展開している。Wazeには便利でわかりやすいマップビューが備わっており、Googleの音声検索機能もすばらしく使いやすい。

さらに、iPad miniのサイズを活かして、今後は室外でもさまざまな機能が利用されるようになってくると思う。カメラやビデオを使う人も多くなるだろうし、またタブレットで位置情報ツールを使うようになる人も増えていくだろう。iPad mini用のアプリケーションを開発しようとする人は、こうした面も考慮にいれておくべきだと思う。

まとめておこう。iPad miniがiPadと同じ解像度であることから、開発は容易であると考えがちだ。しかしiPad miniには独特のユースケースがあることを考慮にいれておくべきだ。その上で、iPad miniユーザーが使いたくなるようなデザインを十分に考えるべきなのだ。

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