期待のデバイスの明暗を分けたもの──なぜ3Dが失敗しタッチは成功するのか

 タッチ操作対応UIに賭けるMicrosoftの思惑とユーザーの評価 - TechTargetジャパン システム運用管理とか、「Windows 8のUI、ユーザビリティを抑圧」:UI専門家が批判 – CNET Japanといった見方もある。マイノリティ・レポートでバーチャルなモニタとジェスチャーでコンピュータを操作していたが、絶対にあんなふうにはならないと感じた。だって、一日10時間以上作業をするような事務屋としては、腕を前に上げっぱなしなんてあり得ない。椅子の肘掛けに肘を置いてノートPCのパームレストに手首を固定しているのが一番楽だ。この状態で操作できるインターフェースでなければ乗り換えられない。また、集団で仕事をする現場で音声入力もあり得ない。

 タッチインターフェースはタブレットやスマートフォンでは残るだろうが、PCの、ましてデスクトップでは使いものにならないし誰も使わない。Windows 8 は Windows XP,Vista,7 の後継としてそれなりの台数が出るが、タッチインターフェースが成功したからでも Windows 8 のユーザーインターフェイスが使いやすいからでもなく、XP のサポートが切れるからに過ぎない。

期待のデバイスの明暗を分けたもの──なぜ3Dが失敗しタッチは成功するのか - TechTargetジャパン IT戦略

 ここ数年、3DはPCの「次の大物」ともてはやされてきた。しかし、一部のゲーマーやマニアたちを除き、いまだ広く普及したとはいい難い。今、タッチスクリーンが新しい「次の大物」と叫ばれている。だが今回はどうやら本物らしい。

 3Dは家庭にトップダウンから、つまり大画面テレビの映画から入った。しかし、タッチ機能はボトムアップから入り込もうとしている。高感度タッチスクリーンを搭載した最新式のスマートフォンがコンシューマーをタッチに向かわせた。

 スマートフォンがタブレットに影響を及ぼし、各メーカーはタッチスクリーン型のノートPC、オールインワンのデバイス、モニターを製造するに至っている。

 タッチスクリーン型のノートPCやオールインワンは決して新しいものではないというのは事実だ。しかし、これまで最も売れた製品(恐らく、米Hewlett-PackardのTouchSmartシリーズのデスクトップとノートPC)が、メインストリームレベルで成功したとはいい難い。同じことは3Dについてもいえるだろう。

 ところがタッチスクリーンには3Dには存在しなかったエースがいる。Windows 8だ。Windows 8は基本的にタッチおよびマルチタッチをサポートする。タッチサポートは、新しいModern(以前Metroと呼ばれていた)UIの基礎部分に組み込まれており、従来型のデスクトップにも関連している。

 Windows 8のタッチは機能するだろう。十分使えるレベルだ。ついに来たのだ。そう、タッチはこれまで見たこともない方法で、ユーザーエクスペリエンスを拡張し、強化している。3Dの場合、単純にそうはならなかった。

 3Dは映画をより一層没入型のものにした。幾つかのゲームも、かなり没入できる仕上がりになった。ただし、それらの多くは後から追加的に3D化されたものであり、映画、テレビ、ビデオゲームを問わず、3Dを念頭に一から作られたものは少なかった。その理由は簡単だ。非常にコストが掛かるからである。

 一方のタッチは、そういった意味ではコストが掛からない。マウスを利用するゲームやアプリケーションでもタッチ操作を利用できる。またタッチ操作を前提に開発されたタイトルも文字通り数百、数千種類ある。

 その点で、3Dは全く太刀打ちできない。なぜか。

 3Dのの問題は、これもコスト絡みだが、消費者側にもコストが掛かることだ。3Dを楽しむのは安上がりではない。毎秒120フレームの表示が可能の特殊なモニターが必要となる。そして、利用者それぞれが高価で特殊な眼鏡をかけなければならない。また最新のGPUなど、パワフルなハードウェアも要求される。今のところ、3Dは表示画像をフレームごとに2つのセットに分解するため、実質的にゲームの見た目のスムーズさが半減する。例えば、もし毎秒45フレームで3Dをプレイしたければ、グラフィックスカードは毎秒90フレームの表示が可能なものでなければならないのだ。

 新型のディスプレー以外、タッチには余計なものは必要ない。システムのパフォーマンスを大きく低下させることもなければ、特殊な眼鏡を要求することもない。新しい対応スクリーンはこれまで以上に反応が速く、進化している。Windows 8を搭載した新しいノートPCやオールインワン製品は、ほとんどが10本全部の指のマルチタッチエクスペリエンスをサポートする。なかなかの優れものだ。

 こうしたマシンも、しばらくはコストが1つの要因になるだろう。しかし3Dとは異なり、それらのタッチディスプレーは、急成長するモバイルテクノロジー分野からの恩恵を受け、時間とともにどんどん安価になってシステムに組み込まれていくだろう。

 既にハードルはもう十分低くなっている。ソニーの全く新しい「VAIO Tap 20」など、安価なマシンも出回ってきた。3D対応のオールインワンをその価格帯で探すのは難しい。ノートブックでも同様の状況になりつつある。タッチスクリーン対応のノートブックやUltrabookも、驚くほど安価な製品が市場に登場している。

 タッチスクリーン技術は間違いなく、コンピューティングの未来だ。日常的に使うようになると、従来型の画面には戻れない。もし対応しないディスプレーがあったら、タッチ操作に応答しないことに気付くまで、見境なく指をたたき、突っつき回す自分にあきれることだろう。今やLeap Motionなどの専業ベンダーがどのような形態であれ、あらゆるモニター、ノートPC、デスクトップにタッチ機能を組み込んでいる。

 コンピュータの世界では、結局、3Dに居場所はなく、成長することもない。遠い将来、この技術がもっと安価に手に入るようになれば、復活することがあるかもしれない。だが、そうした未来は遠いかなただ。タッチは今ここにあり、もうすぐあらゆるところに存在するようになる。そしてWindows 8アプリケーションの最初の一群が楽しいものであれば、その先には明るい未来があるだろう。

「期待のデバイスの明暗を分けたもの──なぜ3Dが失敗しタッチは成功するのか」への1件のフィードバック

  1. タッチパネルPCは成功したとは言えませんね。
    今読むと恥ずかしい記事です。

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