Windows 8は大きな船かもしれないが運命共同体と思っているのは船長だけ。

Windows 8 がどんな船かは知らないが、「沈むも生きるも共に」などという覚悟なのは船長だけだろう。少なくともタブレット市場では、メーカーにとって Android の代替物でしか無い。Android 端末をやめて Windows 8 に賭けるなどというメーカーは皆無だろう。Windows 8 というオプションを得て Google との関係を対等にできれば御の字という感じではないだろうか。

 また、PC 市場においての最大のライバルは Mac OS X ではない。Windows 7 だ。これは、XP に敗れた Vista を暗示させる。Windows 7 が出て間もなく、7 への移行すら済んでいない企業ユーザは多い。今年導入したパソコンのリースが切れるのは5年後だ。企業内のアプリの互換性や教育の統一という点からも相当期間 Windows 7 が企業では使われることが予想される。パソコンメーカーがつい最近まで XP モデルを出し続けていたように Windows 7 搭載モデルは Windows 8 のシェアの広がりを食い止めるに違いない。

 しかも、まだ Windows 8 端末が市場に出る前に自らハードウェアを発表してしまった。リファレンスモデルとして市場の最低ラインを示すためなのか、市場を牽引して Android や iOS 端末に対する Windows 8 の強襲揚陸艦の役割を担うつもりか分からない。陸に上がって援軍の様子を振り返ったら誰もついてこなくて沖合で様子見を決め込んでいたといったことにならなければいいが。というか、なっても自分は全然困らないがwww

 Windows 8 タブレットが iPad と Android 陣営に割って入れるかどうかは全く分からない。形勢が不利と見るとMSの孤軍奮闘になるし、旗色がいいとわかったら雪崩を打ったようにメーカーがひしめくことになるだろう。しかし、iPad とは無関係だ。パイの広がりとの相対関係で iPad はシェアを落とすかもしれないが、売上は下がらないだろう。少なくとも 2012 年は。

MS も2012年の年末商戦でiPadと互角になれるとは思っていないだろう

Windows 8とは大きな船だ。マイクロソフト以外にも多くの製造メーカーが乗り込んだこの船、沈むも生きるも共に…。 : ギズモード・ジャパン

6月の初めに行われたコンピューターの祭典Computex。イベントに参加してきた米Giz カイル記者が感じたこととは? 米Gizが見るWindows 8とは? どうぞ!

Computex、たくさんの企業が最新端末や未来のヴィジョンを展示していた。面白いもの、超ギークなもの、そしてハテナ満載のもの。どれをとっても楽しい祭典だったことは間違いないのだが、目が行ったのはWindows 8の立ち位置。Windows 8は、マイクロソフトが1人で打ち出すギャンブルではなかったのだ。Windows 8とは、多くの製造メーカーも一緒に乗り込んだ船なのだ。

Windows 8が素晴らしいタッチインターフェースであることは、誰もがすでに納得しているだろう。すでにWindows PhoneのMetroシステムはかなり気に入っている。しかし、タブレット端末やラップトップとなると、これは全く違う新しいものとして見なくてはならないし、これこそWindows 8が統一しようとしている大きなプラットフォームであると言える。AsusのTaichiや、LenovoのYoga、こういった最新端末は、ユーザーがWindows 8を絶対気に入るというマイクロソフトの絶大な自信のもとに、OEMパートナー企業が作りだしたものだ。しかし、これはマイクロソフトの自信であって、なんら保証されたものではない。

Windows 8のパソコン上におけるMetroインターフェースへの意見は、二分化している。二分化というか、もうぶっちゃけ賛成派と反対派でぶつかり合う戦争状態にすらなりつつある。それほど意見が割れているのだ。

今までを振り返ってみても、Windowsにおける脅威の大成功プロダクトというのは特にない。Windows 7はXPを理想に近づけたものだし、Windows XPは95を理想に近づけたものだし、さらにそのWindows 95もWindows 3.1を理想化させたものだ。ずっとこんな調子である。大成功プロダクトというよりは、アップグレード成功の積み重ねと言えるだろう。が、Windows 8は違う。Windowsのアップグレードのアップグレードのアップグレードではないのだ。タブレット界に足を踏み入れ戦うための入り口となるものであり、アップルすらもまだ考えつかないモバイル端末/パソコン統合へ切り込むするどい刃となるのだ。巨大な野望なのである。

Windows 8におけるマイクロソフト、そしてハードウェアパートナー企業の勝利の意味の重さを大げさなほどに重い。両者ともに、ラプトップ、タブレット端末市場で、アップルに負け続けてきているからだ。Windows 8は、アップルがまだつま先しか足を踏み入れていない海へ頭からだいぶすることができる、そんな可能性を持っているのだ。アップルのiOSとMac OSの統合が進んでいる。現在アップルの全てのプロダクトは、iOSの父であるスコット・フォーストール氏の影響を受けているだろう。しかし、まだ完全にというわけではない。アップルはモバイル/デスクトップ端末間の統合を進めつつも、まだ大きな改革には至っていない。

Windows 8はその大きな1歩となることができる。アップルと違うのは、このステップで変化そして利益を得るのはマイクロソフト自身だけではないというとこ。ソフトウェアの上に王国を築いたマイクロソフトは、Windows 8戦争において、タブレット端末/ラップトップ統合への最高司令官の役を担うことになるのである。そしてハードウェアを担うAcer、Samsung、Asus、Lenovoが戦場へと出て行くのだ。

全てのWinパソコンハード製造企業は、この戦争においてマイクロソフトと運命を共にすることになる。もちろん、商品ラインナップが全部Windows 8になるわけではない。ある程度選択肢は残るだろう。例えば、AsusのウルトラブックZenbook U31XAはWindows 7搭載で出荷される予定である。しかし、Windows 7は今までと同じ様に、アップルとのツライ競争を強いられるのだ。ならば、チャンスにかけてみようじゃないか。タブレット端末がラップトップになる、全く新しいコンピューター時代なのだから。長い長い時間を経て、今初めて、やっとこさWin製造メーカーは今までとは基本から違うユニークでワクワクするものを世に送り出すことができるのだ。ただ、まだわからないのは、それをユーザーが買うかどうかだが…。

つまり、まとめるとWindows 8が売れなければ大変なことになるということだ。マイクロソフトはとんでもない重荷を追うことになるだろう。ハード製造企業との間にも醜い壁が生まれるかもしれない。そうなれば我々も遅かれ早かれ、目にすることになるだろうが…。

だからこそ、スティーブ・バルマー氏は、Windows 8の早期導入を押しまくっていたのだ。バルマー氏がWindows 8搭載マシンを発売初日に5億売れる予想なんて言い間違えてしまったのもわかる気がする。(だって、Windows 7なんて発売から18ヶ月で3億5000万台しか売れてないし、Vistaなんて1億8000万台だし。)多くの人々を乗せたこの船のことが、とにかく心配なのだ。心配で心配でしょうがないのだ。落ち着いてください、きっと買いますから、と言ってあげたいが、とにかく心配なのだ。

マイクロソフトの1番の大失敗と言えば、Vistaがある。基本の基本からめちゃくちゃハチャメチャだったせいで、多くのユーザーをWindowsから遠ざけることとなってしまった。パソコンにあまり詳しくないお母さん・お父さん世代は特にだ。(もうパソコン直しにこないから、Vistaにはあれほど触るなと言ってたのに…。)

Windows 8はVistaではない。まるで正反対の代物である。ユーザーに優しくウェルカムなOSだ。マイクロソフトが賭けにでるWindows 8。もし失敗すればマイクロソフトだけでなく同じ船に乗り込んだ多くの製造メーカーも道連れである。WIndows 8は、実にたくさんの人と大きな荷物を乗せた船なのだ。生きる時も死ぬ時も共に…。

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