モバイル広告は改善の余地有り

 Facebook の一番不満点はうっとうしい広告とおせっかいな友人の友人の提示だ。「リンクしたい友人が自分で探すからほっといてくれ」と思う。PCの画面なら見ないようにすることも可能だが、iPhoneの画面に並んだりしたら使いたくなくなるだろう。今の広告メディアとしての Facebook がモバイルと相性が悪いというのには納得だ(Google や mixi も同様だろう)。

モバイル ― FacebookもGoogleも、それと相性が悪い、しかしそれなしでは生きられない

今週Facebookは、前代未聞ともいえるの行動を起こした。IPOロードショウのまっ最中、同社はアナリストから問われてきた質問に答える形でS1申請書を修正した。問題の変更箇所には、Facebookがある〈傾向〉を認める意向が示されている。その傾向とは、現四半期におけるARPU(ユーザーあたり平均売上)の減少だ。この傾向は、Facebookによると、モバイルプラットフォーム利用の増加および、同社がモバイルプラットフォームでデスクトップと同じ方法あるいは同じ水準で収益を上げる能力を持たないことに起因している。

 こちらでは、モバイルプラットフォームで利益を上げるための手段を提案している。これらが採用されることで、関心のない「えっ、私の年収低すぎ」とか「これで2億円儲けた」が出なくなるのならありがたい。

 広告の効率を上げる手段として提案したいのは教育機能だ。こんな広告見たくないというのを拒否するボタンを付けてくれたら、消去法で自分の見ている画面に表示されても嫌悪感を持たなくていい広告が表示できるようになる(そんなものがあればだが)。

Facebookがモバイルプラットフォームを収益の柱にする方法を3つ考えた

Facebookが収益性を高めるためにディスプレイ広告や検索、モバイルなどについてやれることはたくさんあるが、ここでは月間5億ユーザー以上いるというモバイル端末経由のアクティブユーザーからの収益を増やすためにすぐにできることを3つ考えてみよう。

1. モバイル向けニュースフィード上のスポンサードストーリーの表示を増やす:スポンサードストーリーはニュースフィード上でユーザーが目にするニュース形式のコンテンツだ。コンテンツが選択的に表示されるので、見た人の大半は広告だと気づかない。効果を得やすい手法だ。いくつものサイト内でスポンサードストーリーを展開してきたわたしの会社での経験では、通常の広告と比べてスポンサードストーリーのクリックスルー率は17%高く、コンバージョン率は38%高い。

スポンサードストーリーが導入された当初は、右側の列にだけ表示されていた。その後ニュースフィードがWeb(PC)版で開始された。その後マーケター向けのイベントfMCでモバイル向けにスポンサードストーリーを開始すると発表し、4月26日に開始している。だが、表示頻度は高くはない。Facebookはユーザー体験に影響するかどうかを見ながら進めているようだ。そのさじ加減を変えるのは簡単だし、スポンサードストーリーの表示を増やせば収益性は高まる。

2.位置情報を使う:少し前にFacebookがGrouponに似たDealsという商品を一部市場で開始したことがあった。いくつか理由があってこれはあっという間に終わったが、その後ふたたびOffers(オファー)という商品を立ち上げた。これはページオーナーは誰でも無償で作れるクーポンで、Web上ではユーザーのニュースフィードスペースに表示される。このサービスが真価を発揮するのは、モバイル上で展開され、ユーザーがいる場所の付近にある店舗のクーポンがニュースフードに流れるようになったときだ。クーポンを作る際には課金されないが、位置情報を使った表示を始めれば、広告主は対費用効果をみて、タダで得られる効果以上のものを求めて純広告やスポンサードストーリーを買うようになるだろう。さらに、ブランドオーナーはファン獲得を測る非常に明確なROIを得ることができる。少なくとも店舗をかまえる事業者にとっては、ファンベース獲得の投資効果はわかりやすくなる。広告も増えるだろう。

3. モバイル端末に特化したターゲティングを行う:Facebookにアクセスできるモバイル端末は何種類もある。広告主はAndroidやiPhone、BlackBerry、Windows Phoneから対象を選べる。だが、プラットフォームはユーザーがそのうちのどれかからFacebookにやってきたということでしかない。Webや他の端末からもアクセスできる。Facebookがちょっと手を入れてiPhone経由でFacebookにアクセスするユーザーに特化した広告の出し方ができるようになれば、大きなチャンスが生まれるだろう。特にモバイル広告の需要が高いのはアプリで、そのなかでもゲームは主要分野だ。FacebookがiPhoneやAndroid、BlackBerryの端末種別に特化したターゲティングサービスを開始すれば、アプリ提供者はインストールサイトへの誘導策としてFacebookに広告を出せるようになる。現在Facebookはモバイル広告をスポンサードストーリーに限定したいようだが、その理由はユーザー体験の水準を維持するためであったり、ユーザー離れを防ぎたいからであったりさまざまだ。Facebookが広告でユーザーをFacebookの外に誘導することを好ましく思うとは考えにくいが、そこに広がるチャンスは大きく、収益的にも大きな可能性を秘めている。

 これらは、送り手と受け手のマッチングという意味でアンケートの精度を上げる挑戦と似ている。同時に、アプリ開発者の広告ビジネスモデルとも関係していて興味深い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です