ゾルバ゙ = カムポス・モンテシノス <> 豊川悦治

 オリンピック前に地上波で放送されたオリンピック盛り上げ番組の一つを今頃観た。こういうのを残して置けるのがHDDレコーダーのいいところだろう。

 「その男ゾルバ」という文学作品と映画をイケメソ男優が旅するというものだ。イケメソの男優が荷物も持たずにかっこつけて歩くのだ。観光客との差を訴えるのかもしれないが、現実から遊離してしまっている。なんでオート3輪の荷台に乗らなければならないのか。ほかの場所では、2CVやバイクが当然のように用意してあるのに、そこでだけ「タクシーの奪い合いに敗れた」なんて、安物の演出にしか見えない。というより、安物の演出そのものだ。

 そういう演出こそがそこで語られるゾルバという人物と相容れない。ゾルバは人生の達人であり、リアルな苦しみや喜びを知っている人物だろう。そして、コーディネーターと通訳つきで用意された「出会い」とは程遠いはずだ。

 こういう演出にはいつまでもうんざりする。そこで語られる感想を誰が語っているのか全く分からなくなってしまう。

 ギリシア人にギリシア語で話しかけられて英語で答えるっておかしいし・・・

 それはそうと、この魅力的な人間と同じような登場人物を思い出した。こちらも俺にとって、理想的な「人」だ。それは、夢野久作の「水棲人(インコラ・パルストリス)」の登場人物カムポス・モンテシノスだ。

 この人物や旅については別に考えたい。

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