音楽を聴くために払った金は誰のもの?

アメリカ大学院留学日記

値段は税別で$12.88。ちなみに一緒に買ったEVANESCENCEのCDは$13.88でした。やっぱアメリカはCD安いですね。というより日本が高すぎるという話ですが。gaiaさんの情報によると、Appleの「iTune Music Store」だと、全曲で$9.99。日本の音楽業界は今のうち何とか手を打たないと、廃れていくのが目に見えてる気がします。

 で知った。アメリカのCD、オンラインストアの価格。日本のような統制のない価格なので、新人を売り込むための戦略価格なのかもしれないが、そうだとしたら、アメリカの音楽業界がダンピング提訴しないのが不思議なくらいだ(^^;

ITmediaモバイル:「携帯はiPodを超える」†auが狙う音楽配信ビジネス

KDDIは11月下旬から、1曲フルの着うた配信サービスを開始すると発表した。携帯は、音楽再生プレイヤーと競合する存在へと進化したようだ。

 ちょっと、記事の認識がおかしい。ケータイは以前から音楽再生プレーヤーだった。それらの機種は、特定の増設機器やメモリカード(MS)を使っていたために、大きな追加投資が必要で、後継機が出ることなく消えていった。2004秋モデルではdocomoがチャレンジしているが来年の春のモデルに引き継がれることはなく、こっそりと消えるだろう。つまり、着うたロングが新しいのは音楽プレーヤーとして使えることではなく、ダウンロードサービスでPC作業が不要になったということでしかない。

 野次馬の俺としては、この300円/曲という価格が引っかかって仕方がない。ITMSと比較にならないくらい制限の多い音楽ファイルを300円もかけてケータイ電話に取り込みたいとは俺は思わない。レンタルCDをMDにコピーして聴くという「カジュアルコピー派」が着うたのヘビーユーザだと俺の直感が言っているが、この直感(偏見)が当たっているなら、このサービスは着うたのような成功は望めないだろう。

 カジュアルコピー派はすでにある程度の音楽ライブラリを持っている。登下校・出退勤時にMDを使っている人が大半だろう。そして、そのMDの多くがオリジナルCDを持っていないもの(レンタルや友人所有)に違いない。そうなったら、好きな新曲が出たときにケータイでしか聴けないようなものをダウンロードするだろうか。電車の中でヘッドフォンを付け替えるだろうか?

 まあ、こんな話題を提供してヲタの脳を活性化してくれたauには感謝したい。それはともかくとして、相変わらずの消費者の聴く権利とそのために支払ったアーティストへの対価については納得がいかないことだらけだ。

 「オンライン配信になると、物理メディアや流通にかかるコストが減って安価に消費者に提供できる」というのはどこにいったのか。メディア製造・流通業者がメディアも使わないし流通も行わないのに権利を主張し、そこに新たにキャリアとサービス業者の利権が加わって、CDを販売するときとおなじ金額しかアーティストには行かないのに、消費者の払う金額が増えているとしか思えない。

 また、このファイルフォーマットには既得権益保護機構が含まれていて、メモリカードにコピーできるが、同じ電話番号の端末でしか再生できないらしい。つまり、CDを買ったら最初に再生したプレーヤーでしか再生できないようになっているというのと同じだ。著作権がレコード会社の主張するように「アーティストの権利を保護するため」のものなら、プレーヤーを制限しユーザーの権利を侵害するのはおかしい。どんなプレーヤーから聴こうが、アーティストの権利など侵害しないからだ。楽曲データを購入した時点で、著作権上はユーザーの「聴く権利」を購入したはずだ。その曲を何回聴こうが、何でいつ聴こうがアーティストに迷惑はかからないはずだ。なのに、間に入ったヤツが、アーティストの権利をかさに来て機器に制限を加えるというのは納得がいかない。レコード会社が一方的に決めた利用権が著作権の目指すものと全然違うことを再認識させられる。

 そういえば、ユーザーの権利侵害の主導的メーカーAVEXがCDもどきを止めるらしい。というより、CCCDを使うかどうかをディスクごとに決められるようにするらしい。去年から発売したCDもどきは真っ当なディスクに変えてもらえるんだろうか。まあ、おれはAVEXのディスクは持っていないから関係ないがな。東芝EMIにつてはアナウンスは見当たらない。恥ずかしがらずに、非を悔い改め、クソディスクを真っ当なディスクに交換して欲しい。

ITmedia
対談 小寺信良×津田大介(1)――「CCCDはみんながやめたいと思っていた」

小寺:“できること”としては、退化ですね。音楽の時もそうだったんですけれど、いろんなことを禁止していくと、そのメディアは死ぬんですよ。DATがまさにそうで、デジタル録音不可となったとたんに息の根を止められちゃいました。

 DATが失敗したのをヲチしていた野次馬として嬉しいフレーズだ。心して思い出して欲しい。

小寺:僕に一つ提案があるんです。もっと、個人認証技術を進めるべきだと思うんです。要するに、このコンテンツが誰の物であるかを明確にできれば、その人が持ち出す限りはOKであるという、そうした考えで世界を変えていかないと。誰がコンテンツを触るかに関係なく、回数だけで制限するというと、なんだか、もう、訳の分からない制限になっていっちゃうじゃないですか。

 何でダメなの?というか、俺が録画した物をなんで俺の携帯で見ちゃダメなの? そんなの、全部個人認証を行って、コンテンツに対してメタデータをつけてやれば解決する。本人が見ていると確実に分かれば、別になんの問題もないわけですよ。

 これは俺が繰り返し書いている「ユーザーの権利」を守る一つの方法だろう。ただ、そんな風にコントロールされて、何を聴いたのか筒抜けになるようなサービスを欲するかどうかはまた別問題として立ちはだかるだろうが・・・

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