戦争はなかった:小松左京

一瞬、妖精の国の住人さんかと思ってしまうタイトルだが、中身はSFというより社会批判中心の短編集。表題の作品もあったことをなかったことにしようとする人間の愚かさと、そこで覚醒した人間の苦悩を描いたもの。

 特に面白かったのは、タイムスリップ物の「釈迦の掌」と「生きている穴」か。「運命劇場」はトゥルーマンショーを思わせる。こういう被監視感は普遍的な物か、変身願望の表出か。

 この本は絶版になっているらしく、古本でないと入手はできない。ブックオフで100円で見つけたら買っておこう。

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