刑事コロンボ

 テレビでやっていた物を観た。

 残念ながら、ピーターフォークがプロデューサーになったシリーズは駄作ばかりだ。つまらないオーバーアクトというか、過剰演出が多すぎる。

 謎解きシーンには証人と立ち会いの警官だけでいい。昨日の作品では、目撃証人はいなかったのだから、立ち会い警官だけで十分だった。

 それと、犯人を特定するのは簡単な作業だったはずだ。公然の恋人がいて、その恋人は被害者が犯人のゴーストライター(音楽作品のだが)をしていたことを証言できた。そして、死体にあった鍵束に部屋の鍵がないなんて、誰だって真っ先に犯人を疑うだろう。むしろ、恋人の事情聴取をしていないことが不思議だ。

 それに、指揮台がおかしな方向に倒れていたことに気づく捜査員がいないことは考えられない。

 また、何十年も使ったことのないエレベータを動かした跡があるなんて、素人でも一目瞭然だ。さらに、コロンボはそのエレベーターを見に行ったときに、何の証拠保全もせずにずかずかと入っていった。指揮棒もそこで見つかったのに、捜査員に証拠写真も取らせていない。

 昔のシリーズでも、証拠物を見つけたときに写真も撮らずに持ち歩くことがあったが(それでは、裁判で証拠として採用されない)、そんなレベルのものではなかった。

 犯人を決めて捜査するのは常套手段だが、なぜそうしたかの根拠が示されなかったのもダメ。

 まったく、ダメダメで、アレじゃ、裁判で犯人が無実を主張したときに有罪に持ち込むことは不可能だろう。

 吹き替えも、昔の吹き替えをやっていた人が亡くなっているために違う人がやっているが、元の名調子を意識しすぎて過剰になってしまっている。このようなシリーズを観るのは哀しい。また、こんな作品を観た若い人(子供)が、俺たちが刑事コロンボに対する反応を勘違いしてしまう。「俺たちの観たコロンボはこんなんじゃない」と叫びたい気分になる。

 だから、子供たちには見せなかった。

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