問題は定額制じゃなくて・・・

 携帯の定額制についてITマーケティングのプロが書かれた【波多野blog】 No.68 「携帯電話料金と消費」について、突っ込みながら考えた。

昨年の音楽CD市場における音楽ソフト利用の実態調査が記事として掲載されている。若年層の市場シェアは1998年から5年連続で減少し、逆に中高年層は99年以降上昇していると報じている。また、その理由として若年層の携帯電話への消費の影響が中古CDへと向かわせ、新品CDを購入する中高年が市場シェアを上昇させているとしている。

 ここは、実態調査の分析の引用であり、調査の中身が分からないので断定的なことは言えないが、一つだけ。シェアの増減はトレードオフなので、一方が減って一方が上昇したというのは意味がない。パイ全体の増減とそれぞれの増減が示されなければ意味がない。シェアとはあくまで比率でしかないのだから。

 文字制限のあるメディアならともかく、「なるほど」と思える引用をして欲しい。この統計を分析したブログではなく導入として軽く触れるだけだったとしても、プロが書くのならもう少しあってしかるべきだと思う。

これらの傾向は若年層に限らず、若年層のいる世帯における家族すべての携帯電話に消費する金額は家計に大きく食い込んでいるであろう。

ブロードバンド料金が世界で一番安くなった国は携帯電話にかかる料金も安くならないと、他の産業を駆逐しかねない。パケット料金の定額制やNTT 固定電話発信:携帯電話着信通話の料金も安くなり始めている。

 「家計に食い込んでいる」には賛同するが、下の文には納得できない。「他の産業を駆逐」することが否定的に語られなければならない理由が分からない。消費性向は変わる。その引き金が技術だったり法律だったり、社会構造だったりするだろう。それらを何で、携帯キャリアが引き受けなければならないのか分からない。

 若年層のCD売上が落ちたのは事実だろう(上の引用では分からないが)。しかし、それは国民経済全体の停滞や可処分所得の減少による影響も抜きにしては語れないだろう。携帯電話の家計への負担増を引き受けている親の世代のCDシェアが増大(増減率が若年層より増分に振っていたということでしかないが)していることはどう関連付けるんだろう。CD流通業者はCDコピーをCD売上減少の原因としているが、こちらも問題がある。

 若年層の消費に対する志向が変わったのだ。そのきっかけとして携帯電話が入ってきたこともあるだろう。同時に、景気後退による就職率の低下や親世代の賃金収入の減少もあるだろう。しかし、それだけが原因ではない。ライフスタイルが変わったのだ。それを見落としてはいけない。

 「可処分所得が増えても古本や中古CDで構わないし高価な服も要らない」と感じている消費者が多くなってきているんじゃないだろうか(俺の感性と若年層を一緒にしてはいけないが・・・)。

携帯電話自体の料金も定額制になることが今後必要であろうと思われる。電気やガスと同じように日常生活のインフラとなっているからには、他商品の価格との消費や料金バランスが求められよう。まずはパケット定額制がどれくらい、他の消費に影響するのかが興味深い。

 電気やガス、水道のインフラには定額のものなんかない。全て従量制だ。影響を感じないのは昔からあったからだけなのだ。どんなに割高(他の国と比較して)で可処分所得を圧迫する電気代(通信料より高い家庭が大半だろう)だって、値上げしなければ痛みなど感じないのだ。また、インフラとして、生活必需品として認知されるようになれば、こんな勘違い名エントリが書かれる心配も無い。

 ついでに書くなら、携帯キャリアより、医療・年金の掛金のほうが家計圧迫率は高いはずだ。無職の若者にもかかる年金は携帯使用料より高い。これは、数年前から始まった無能無策な政府の場当たり的対応によるものだ。こいういう家計圧迫条件の増加を抜きにして携帯電話だけを槍玉に挙げてもあかんやろ。

 とまあ、思いつきで突っ込んだが、定額と低価格は同義ではないことを意識しなければならない。どんないいサービスでも、固定料金が高ければ普及などしない。ADSLが普及したのは、Y!BBが低価格攻勢をかけたからだ(この点だけではY!BBを高く評価している)。それまでだって、専用線サービスはあったが普及はしなかった(3万/月)。

 fomaによる定額サービスもWINも「他の消費に影響する」ことはないだろう。絶対額が高すぎるから。

 それと、見落としてはいけないのは、パケット料金が下がることでオンラインサービスへの支出が増える可能性があるということだ。今でも、「docomoの請求が2万」というヘビーユーザーはにコンテンツ料金も含んでいるのではないだろうか。だとしたら、パケット料金が下がってもCDの売上にはつながらない。

A5502K:これはもう、イメージ通りの写真といっていい。雰囲気も色合いも肉眼の印象そのままだ。こういう絵が何十枚に一枚でもあれば、A5502Kにして良かったと思える。

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