目からうろこ、この年で:人間がどれくらい真空に耐えられるのか

 SFものの番組を観ているときに「科学的に考えてありえない描写」に過剰に反応してしまう。宇宙空間で爆音をとどろかせて発射されるビーム砲とか、一度も地球に来たことがないのに地球上で平気に活動できる人物とか、保存液のカプセルに閉じ込められて育ったはずなのに、元気に動き回れたりといったことだ。その中でも、俺は人間は真空中に投げ出されたら数秒後に死ぬと思っていた。体液が沸騰すると思っていたから。

 ところが、違うらしいことを下のページで知った。この年になっても知らんことばかりだな。俺は。しかし、素人の疑問なんだが、血圧は身体の隅々まで同じ圧力がかかっているのか?肺の毛細血管や手足の末端部なんかは血圧低いそうだけどなあ。あと、消化器官内や膀胱の中の水分は体内なんで沸騰しないだけの圧力がかかってるんだろうか・・・楽しいなあ。こういうこと考えるのって。

2001年に考える『2001年宇宙の旅』
第2回 真空中のボーマン
 NASAは、人は真空に長くとも1~2分さらされれば、死んでしまうと答えている。ただし、どこまで持つかは、正確にはわかっていない。

 また、血液も沸騰はしない。なぜなら、体温を37度Cとして、そのときの水の蒸気圧は47mmHgだからだ。つまり、気圧がこれ以下なら水は沸騰するけど、血液の場合は血圧(正常血圧の人で拡張期85mmHg、収縮期130mmHg)がかかっているから沸騰しようがないのだ。

 また、体がフーセンのように破裂することもない。なぜなら、皮膚はかなり丈夫だし、それほど大きな力もかからないからだ。
 真空にさらされたとき、何が体を膨らませようとするのかというと、それは呼吸していた空気じゃない。肺と消化管などに多少空気はあるけど、肺の空気は吐き出さればなくなるし、消化管のガスはさほど多くないから、ほとんど無視できる。すると残るのは、血液などの体液が沸騰して気体になったときの圧力しかない。それは結局、体液の蒸気圧と真空との圧力差だから、47mmHgでしかない。 だから、真空に投げ出されたとき、すぐに体が破裂する心配はないわけだ。

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