的外れ開発と市場調査会社の「調査」

ビタミンX: 携帯で風呂や冷暖房をリモート操作 東ガスが来春からというエントリから、リビング+:携帯で風呂や冷暖房をリモート操作 東ガスが来春からという記事を読んだ。

 こういうサービスを見ていつも思うのは、使う人間の視点がないということだ。ネット電子レンジ、ネット冷蔵庫とか・・・使いにくいって。使い物になるのは、ビデオ予約、エアコン、鍵くらいじゃないのか。

 風呂を自動的に沸かすためには、出かける前に掃除をしてフタと栓をしておかなくてはならない。風呂上りに必ず浴槽の掃除を済ませるような家庭なら問題はないかもしれないが、俺の家のように、お湯を張る前に洗うという生活パターンでは使い物にならない。実験レベルで試す分には楽しいが、日常的に受け入れられるかどうかは別だ。

 だって、どこの家でも「買ってみたものの、不便で使わなくなったもの」がいっぱいあるだろう。画期的健康器具はもちろん、あっという間にXXができる調理器具とか、中途半端なデジタル機器とか(これはヲタだけか)。使うのは便利だったり効果があったりしても、片づけが面倒だったり収納が不便だったりしたら使われなくなってしまう。

 企業の研究室やPC上で企画している人間には、こういう生活感覚が足りないと思う。もちろん、調査会社を使って情報収集をしてはいるが、それらの調査の多くが、俺がしつこく書いているように、結果を導くための調査でしかない。衛星デジタル放送、FOMA、地上デジタル放送・・・・地上デジタルの結果はこれからだが、衛星デジタルやFOMAの普及が事前調査の数分の一でしかなかった。

 これと同じミスをメーカーは繰り返している。調査機関はメーカーの都合のよい結果を導き出す調査票を作っている。こんなものは、希望的観測を補強するだけだ。「外から、携帯電話で家の給湯設備をコントロールして、家に帰ったらすぐに風呂の準備ができていればいいと思いますか?」と聞かれて「そうおもう」にマークしない人間がいるか?こんな設問をしておいて、「携帯電話で給湯をコントロールことに対する需要が盛り上がっている」というのが調査会社だ。そして、その結果をプレゼンで「調査の結果、携帯電話での給湯コントロール開発を進めたい」と言っているのだろう。メーカーの開発部門の中の人は。

 しかし、売り出してみてからわかる。そんなことのために何十万も払う人間は一握りでしかないことを。先のアンケートで「そうおもう」にマークした人間の大半がそんなものを買いはしない。外から帰ってすぐに風呂に入りたいシチュエーションなんか年に数回しかないということに気付くから。そして、その機能のために必要な費用を知ったら絶対やめるね。

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