谷崎潤一郎の作品集。種村季弘が編集したもの。
じつは、谷崎の本を読むのはこれが初めてだ。長い小説なんて大嫌いで、短編ばっかり読んできたから。内容については俺が語るべきことは何もないだろう。
ただ、比較的ボリュームもあり、旧仮名遣いもありで時間がかかりそうだったが、意外と時間がかからなかった。文自体を読むことにストレスがかからないからだろうか。これが「文豪」の実力ということなのだろうか。
しかし、このおっさんの色と食い物に対する執着は危ないほどだ。「美食倶楽部」は途中の食事のシーンを書きたかっただけ。「白昼鬼語」「友田と松永の話」「青塚氏の話」は女を描きたかっただけのような気がするほどだ。