キャリア各社は 3G 回線網の混雑を緩和するために、無線LANにバイパスしようと躍起だ。携帯電話網の基地局と端末間を無線LANにして、ルーター以降は個人や店が持っている有線にタダ乗してパケットを分散させようという考えだ。まあ、ルーターを置いている側は固定料金だし（ソフトバンクのADSL提供の場合には無料だから余計に）無線にぶら下がっているような端末の流すパケットは余裕でこなせるだろうから。
では、積極的に公衆無線LANを使っているかといえば、否だ。というより、使いたくても使えない。使えるのはマクドナルドやソフトバンクショップ、Coco壱番屋、ショッピングモールの一角程度だけだ。市街地を移動しているときにFONに勝手につながることがあるが、実用的な速度で繋がらないので却って迷惑な事のほうが多い。なので、電池消耗を緩和するためにも自宅を出たときには、マクドナルドなど SBM の無線LANが使えると分かっている場所に滞在するとき以外には、無線LANはオフにしている。
公衆無線LANの速度・安定性問題についてブレーンストーミング（iMandalArtの出番だ）
１：ルーター・端末間（携帯電話の基地局・端末間置き換え）
801.11g の通信方法の有効距離は短い。ノイズの多い環境や障害物がある所では、実用的な速度でつながるのは10m程度ではないだろうか。公衆無線LANが繋がらないというのは、主にこの到達距離の短さに起因しているのではないだろうか。困るのは、接続できているのに電波強度が弱くデータ通信がうまくいかないときだ。自動接続で知らないうちにつながっていて、3Gでも時間がかからないようなデータのダウンロード（テキストベースのニュースやTwitter）がタイムアウトする場合がある。そうなって初めて「ちっ、Wi-Fiでつながってる。設定するのを忘れてた」と、無線LANをオフにしなければならない。公衆無線LANについての否定的な感想はこれにあるんじゃないだろうか。
同じ周波数帯を使う他の無線機器の数。同じチャネルを使っているルーターが近くにあるのは、通信速度の低下につながる。都心部の商店街などでは発生するのではないだろうか。JR福知山線の車内でも駅の近くでは多数のルーターが認識される。都心のオフィス街だとこれをはるかに上回るだろう。そんな中で、店の中にあるルーターから漏れる電波を拾ってもマトモに使えるはずがない。各キャリアがパケットをWi-Fi網に流そうと躍起になってルーターを増やせば増やすほど使えなくなるという皮肉な状況が都会では起こっているのかもしれない。
地方の場合には全く逆。Wi-Fi のエリアは点でしかないので、ファストフード店等に入った時の待ち時間で使えたらラッキーというものでしか無く、当然 3G 回線網の負荷を分散することなど到底ムリ。まあ、そんな田舎の基地局は速度も遅いしネットワークに負荷をかけるほどのパケットが流れるわけもないのでキャリアにとってどうでもいいのかもしれない。
２：基地局問題
同じルーターにつながる端末の数はルーターの仕様で上限が決まっている。症状ははっきりしないが、アカウントのあるサービスの強い電波を掴んだのにIPアドレスがもらえないような場合がこれではないのかと思っている。期待するだけ落胆も多いパターンだろう。
ニンテンドーDS は lite 以前のモデルが802.11にしか対応していない。このため、NDS のスポットとして公開しているような施設（マクドナルド等）のルーターはこのモードで動作している可能性がある。端末側は上位互換なので通信は行えるが、当然速度は低い状態でしか繋がらないだろう（本当にそんな古いルーターを使っているスポットがあるかどうかはわからないが）。
３：WAN回線
ルーターと端末間の通信に比べれば有線回線は安定しているので、ルーターのWAN回線の事業者が誰なのかは大きな影響はないと思う。仮に同じ理論上限速度であっても有線のほうが実効速度は速い。無線には制御情報も多く含まれているのでパケットとしてネットワークに流れるのは2/3程度のはずだ（教えてエロイ人）。
高性能なルーターと良い電波状態で高速の端末を複数つないだようなケースでは、WANの太さが足りなくなるケースは起こりうるが、その遅延がルーター・基地局間で起こっているのかISPのゲートウェイで起こっているのかバックボーンなのか、相手のサーバの回線なのか、サーバなのかは分からないだろう。
どこかの podcast で、「光回線を使った公衆無線LANサービスが始まるので期待ができる」と言っていたが、公衆無線LANの不満な点の殆どがルーター・端末間の通信環境によるものと思われるので、光回線をルーターにつないだって結果は一緒じゃないかと思う。