ハードトレーニング

 毎年この時期にいやでも耳につくのがキャンプ報道。普通のニュースとセットでやっているので困る。スタープレーヤーを追いかけてみこしを担ぐ他愛のないものなら失笑すればいいが、気になるものがある。

 それは、無駄なハードトレーニング。宿泊場所からグランドまでランニングとか神社の石段を駆け上がるとか1000スイングのフリーバッティングとか200球もの投げ込みといったものだ。どこそこ流特訓とかいう長時間トレーニングを伝統のようにやっているチームもあるらしい。

 どれも、ほとんど効果がないどころか害があると思う。プロの専門家が自分の判断でやっているんだから、それで体を傷めても自業自得でかまわないが、悪影響をばら撒くから困るのだ。

 ランニングをするなら、目的を明確にしないと疲れるだけだ。スイングにしても投球練習にしても回数こなして何を強化するのかわからない。筋肉を強化するならだらだらと弱い負荷で振っても効果はない。スイングにしても投球にしてもバランスの悪い回転運動なので、やりすぎは体に負担をかける。筋肉を強化するならバランスよく鍛えないと故障のものとだ。

 それを、何も考えてない脳みそ筋肉みたいな監督やコーチが何十年も前に自分がやらされたことを押し付けているのだろう。

 そして、それを見たアマチュアの指導者が成長期の子供に無駄で危険なハードトレーニングをさせてしまう。これが良くないのだ。ただでさえ新しいトレーニング法について知識のない指導者が、ひいきのチームや選手がハードなトレーニングをしているのを見ると、全面的に取り入れてしまったりする。本来は、体の成長を最優先すべき人間が、熱中症で子供が倒れるようなトレーニングをさせてしまうのだ。しかも、まったく悪気がないからタチが悪い。というより、熱意を持って子供を苛んでしまうのだ(多くのアマチュアスポーツの指導者はほとんど無償で自分の時間を使って指導していて、その情熱には頭が下がるほどだ)。これは大変不幸なことだ。子供にとっても指導者にとってもだ。

 プロ野球の監督やコーチはもっと新しいトレーニング方法を研究してもらいたい。そして、できれば、もっと食べ物にも気を配って、アスリートや子供がまねしても恥ずかしくないような食生活を送ってほしい。そうすることは、自分のパフォーマンスや選手寿命にも大きくかかわってくるはずだ。

追記:2月23日の朝のニュースでメジャーリーグに行った松坂投手が、「メジャーリーグの練習は少ないので物足りない」と、残って投げ込みをしたということが取り上げられていた。元プロ野球選手のコメンテーターは「彼は投げ込んでスタミナを作っていくタイプですからね」としたり顔でうなずいていた。

 待てよ。スタミナってなんだ?心肺能力とか筋持久力のことか?だとしたら、シーズンオフの間に個人でしっかりやっておくべきことだろう。筋肉や関節に負担をかけるような運動を長時間反復するようなことで基礎トレーニングの代わりにするのは大間違いだろう。

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