届けたい相手に届かないジレンマ

 ランキン・タクシーとピーター・バラカンの対談のビデオを観た。プロテストソングについて語っていた。こういうメッセージのある音楽は日本にはすごく少ない。日本で歌われる曲のほとんどは恋愛を題材にしている。「ロック」と呼ばれているジャンル(Rockじゃない)でもそうだ。

 そんな中、レゲエDJによって社会を歌うのがランキン・タクシーだ。前向きにまっすぐ、青臭く歌う。リスペクト!

 それとは別に、心に引っかかる言葉があった。「聴いてくれるのは、同じ志を持っているような人ばかりだ。そこで、互いに『分かる、分かる』と言っていても広がらない。何にも考えていない人に伝えることは難しい」(ランキン・タクシー)

 この問題は全ての社会問題に共通のジレンマだろう。環境問題、戦争、いじめ、骨髄移植のドナー不足、日本の政治・・・多くの人間が自分で考えて判断できれば解決できることは多いはずだ。しかし、そうしない人間の方がはるかに多い。

 環境問題をとっても、二酸化炭素の排出を減らそうという問題意識を持っている人間同士で情報交換して節約しても、それよりはるかに多い考えていない人間の無駄遣いによって簡単に打ち消されてしまう。元々車に乗らないような人間が自転車通勤にしても、無駄にでかい車に一人で乗ってコンビニの駐車場でエンジンかけっぱなしにしているような人間の無駄遣い数分でチャラなのだ。

 ただ、問題意識と行動については乖離がある。日々の生活に埋没してその中で得られるささやかな欲求を満足させることで大きなことに目をつぶる生活をしていることは否めない。この件については、いつか考えたい。

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