2014年の経済展望

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエライさんの講演会。2014 年の日本経済がどうなるか示してくれるらしいのでありがたく拝聴してきた(無料)。

 マネーサプライを増やしてもGDP増大に繋がらないという式は納得できた。リチャード・クーのレポートとも通ずる考え方だと感じた。しかし、リチャード・クーのそれがバブル崩壊後の BS 毀損が原因とし説得力のある論を展開しているのに比較して、深みがなかった。

 税率をあげれば税収が増えて全てがうまく行くという説にも違和感があった。橋本内閣が5%に消費税率を上げた時に税収が大幅に減って財政赤字が増え、不況からの回復を遅らせたことを忘れたのだろうか。消費税率が上がれば、家計の収入がその分増えない限り、購買力は下がる。これまで民間の売り上げになっていた分が税収になる。企業の売り上げは下がるのだ。企業の売り上げが下がるということは企業の収益が悪化する。賃金は引き下げられ失業率も上がる。この中で、どこの企業が給料を上げたり雇用を増やせるのだろう。ただでさえ過剰設備の負担に喘いでいるのに。

 後、リチャード・クーが繰り返し訴えている、緩和から引き締めにかかる際の手綱の締め方だ。国債の金利が上がらなかった理由として為替のリスクがあって海外の機関投資家が手を出しにくいといっていた。が、国内の資金需要が回復したときの回答にはならない。長期国債の金利が上がれば資金調達が困難になる。この辺りの話が全然出てこない。

 あと、「この危機を脱するためには売り上げを伸ばすことだ」というのは、負けている試合で「ホームランを打てば勝てる」というのに等しい。銀行にそんなことを言われなくても日々考えている。そんなことができるのならとっくにやってる。銀行屋にはそうはみえないかしれないが。

 さらに、労働者の所得が減っていることについて、平均が下がったのは給与水準が下がったのではなく、派遣労働者の比率が増えたことと言っていた。これは一面では正解だろう。しかし、リストラや派遣労働者活用とかいって実質賃金の切り下げを行っている企業を礼賛した銀行屋やマスコミには責任はないのか。リストラした企業の株価を上げるような市場には責任はないのか(もちろん、市場は平等に開かれて入るが、実際のプレーヤは金融屋ばかりだろう。そいつらに資金供給しているのは銀行屋で先棒を担いでいるのがマスコミだ)。

 因みに、銀行屋はサラ金もやっていて、サラ金に借金が流れるように(そっちのほうが金利が高いからね)本業では貸さないのだろう。バブルの原因を作った世代の銀行屋のお花畑談義は、就業時間でなければ、時間の無駄以外の何物でもなかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です