9月1日は「防災の日」だったらしく、ニュース番組では各地で行われた防災訓練の様子が流れていた。他にも、リスクマネジメントとか危機管理とかいうお題目で企業がいろいろな取り組みをしている。しかし、どれもこれも大地震とかには役に立ちそうがない。

 災害のダメージは加速度的に増大する。震度によってダメージを受けることが比例するのではなく、震度が5~6を越えたあたりに突然全てが停止する。全てが止まり大混乱になると考えておくべきだ。なのに、「消防車が来れないときにヘリコプターを使って・・・」とか、「交通機関が止まったときにネットで安否確認ができるシステム」などといっても無意味だ。ヘリが来れる条件が整っているのか?病院は受け入れられるのか?交通機関が麻痺するような状態のときに回線が生きているのか?基地局がダメージを受けていたらアウトだろう。端末の電池にも基地局の非常電源にも制約がある。被災地の中にいる人間にできることは少ない。被災地の外との連絡・サポートをどうするかが最も困難かつ重要な課題だろう。

 前にも書いたが、被災した地元の自治体が救助や復旧なんて無理だ。もっと大きな行政との連携に専念すべきだろう。彼らも被災者である可能性が高いのだから。

 後、気になったのが、どこかの企業でやっていた、通勤難民対策。交通手段が麻痺したときに無理に帰宅させないという考え方だ。そして、家族との安否確認のためにインターネットを活用するというものだった。大企業で強固な建築物に多数の社員がいる場合は有効かもしれない。食料と水の調達さえできれば下手に外に出るよりは安全だろう。しかし、問題は多い。ネットの活用については上に書いたのでもういいが、仮にネット(家族と会社の両方)が無事で連絡がついたとして、「否」だったときにどうするんだろう。「家事で家族が逃げ遅れた」とか「子供が病院に担ぎ込んだけど、病院もけが人がいっぱいで機能していない」とかいう情報を受け取ったときに、安全なビルで待機してられるのか・・・もちろん、何も分からないより、大半の人が無事で一部の人の家族が被災していることがはっきりすれば、サポートも集中できるから、確認できないことよりははるかにいいことは間違いないが。「否」だったときのサポート対策も考えて初めて対策だろう。

 そんな中、某企業では危機管理委員会の元に緊急連絡網の整備をしているらしい。ところが、組織図に電話番号を添付しただけの役に立たない屑を作っているようだ。電話が通じなかったらどうするかということに対する何等対策がない。もちろん、一企業で対策など打てないが、そうなったときの行動指針を作ることはできる。それを作って全社員に周知徹底させることくらいしか、インフラ企業や公僕は別として、できない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です