Docomo、iPhoneの取り扱い開始するも流出止まらず

 これは意外だった。iPhnoe 5s 待のユーザが Android の購買をストップしたことは間違いないだろう。そして、docomo の流通が iPhone 発売の怒涛に対して準備不足だったのではないだろうか。docomo のショップ店員はこれまで iPhone の発売日には、閑散とした店内で他キャリアの店舗に人が並んだり売り切れたりするのを眺め、仕事といえばMNPの解約事務手続きだけだったのだろう。それが、勤務して初めてというような契約者に驚いたのではないだろうか。docomo ショップや docomo 本体も必要な数を見積もれなかったのではないだろうか。

 しかも、発売後すぐに、回線速度を比較した記事が出て、これまで機種が違うために比べられなかった「docomo って意外に速くない」という情報が明らかになったのも、MNP 退出に拍車をかけたのだろう。これまで、docomo が回線品質が一番高く速いだろうから iPhone が docomo で出るのを待っていたユーザにとっては愛想を尽かすきっかけとなったのは想像に難くない。

 ただ、この記事にもあるように、巻き返すのは時間の問題だろう。販売網という意味では未だにダントツなのだし、回線品質についても技術的に他社に劣っていないのだから。問題は、dナントカとか i モードとかに固執する姿勢だ。キャリアメールもキャリア依存のアプリも要らない。腹をくくって土管屋として立派な土管作りに励んで欲しい。

 「これまでのデバイスを、馴れたキャリアで使い続けて数週間待つことよりも、すぐに他のキャリアで使い始めたいという気持ちになってしまうものなのだ。」とまでは思わない。日本のキャリアの回線数争いの弊害を勘案すべきだ。どこのキャリアも機種変更でiPhoneを買うより他社にMNPで新規契約したほうが経済的合理性が高いのだ。だから、iPhone を待っていた docomo ユーザはdocomoの価格プランを見て、「機種変更で iPhone にするより他社にMNPしたほうが安い」と思って大挙転出してしまったのだろう。

 同じことは au や softbank でもあるので、両社から docomo に流れる数も徐々に増えていくはずだ。

NTT Docomo、ついにiPhoneの取り扱いも開始するも(在庫不足もあり)加入者流出が止まらず | TechCrunch Japan
日本の通信キャリアであるNTT Docomoは、9月に加入者が大幅に減少したことを発表した。NTT Docomoは、これまで日本のメジャーキャリアの中では唯一iPhoneを提供していなかった。しかし今回のiPhone 5sおよびiPhone 5cにあわせて、9月からのiPhoneの提供を開始した。iPhoneを求める利用者の流出を防ぐ狙いもあったはずだが、どうやら奏功しなかった形だ。NTT Docomoは、むしろiPhoneこそが顧客流出の原因になった可能性があるとしている。つまりiPhoneの取り扱いを決定したことで顧客層の心に火がついたものの、販売店では品薄が続き、それにより待ちきれなくなった顧客が流出してしまった面もあるようだ。

ロイターのレポートによれば、DocomoはiPhoneの在庫不足により66,800名の加入者を失ってしまうことになったそうだ。ライバルのKDDIやSoftbankと明暗がわかれてしまったかっこうだ。両者ともに新しいiPhoneの登場を受けて、加入者数を伸ばしているのだ。こうした状況をみてDocomoは、両者については十分なiPhoneを供給されていたのではないかとしている。

スタートダッシュには完全に失敗したように見えるDocomoの状態ではあるが、しかし結局のところはiPhoneを扱うことにしたのは成功と出るのではないだろうか。アメリカの状況を見てみても、当初はiPhoneの販売を独占していたAT&Tのライバルたちが、利用者を取り戻し始めたのはしばらくたってからのことだった。在庫については、あるいは今回の初期販売台数については、既存取り扱い2社に対して優先割り当てがあったのかもしれない。あるいはDocomo側の見積もりに甘さがあったのかもしれない。iPhoneの吸引力を理解するにも、やはりそれなりの時間がかかることだろう。

ともかく、この日本の動きを見て、世界の携帯キャリアは、iPhoneの「力」を再認識することになったのではないだろうか。iPhoneを使うためにキャリアを乗り換え、そして手に入れられるとわかっていても、待ちきれなくなってしまう。これまでのデバイスを、馴れたキャリアで使い続けて数週間待つことよりも、すぐに他のキャリアで使い始めたいという気持ちになってしまうものなのだ。各国のキャリアは自社サービスの「土管化」(dumb pipe)を危惧している。しかし、日本のマーケットを見ると、まさにそうした事態になりつつあることがよくわかる。

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