Web2.0 サービス比較

 様々なチャレンジャーが群雄割拠してフォローしきれないのがweb2.0サービスだ。去年のSNSサービスを思い出す(SNSサービスをweb2.0という定義もあるようだが、入り口のSNSは単なるコミュニティポータルでしかない)。が、web2.0がRSSやネット技術を使ってメタデータを収集・再利用するものなら、一時データの質と量が最終的に最終データの品質を左右するだろう。ということは、遠からず淘汰がおこり、SNSがmixiに収束したように、一部の一般的なサービスと特化したサイトだけが残るようになるのかもしれない。

 日本語ブログの「集合知」を集めたはずの各サービスだが、上位にあるキーワードやタグはサービスによってバラバラだ。試しに(4月30日23時頃)多くのサイトでトップ付近にある、「現在関心を持たれている言葉」やキーワード、タグを集めてみた。web2.0がメタデータサイトならメタメタデータを分析するこのエントリはweb3.0だね(^^;

 データ収集の方法や方針で特色が有るのが面白い。しかし、一般的な「集合知」にはほど遠いことが分かる。

テクノラティ:

web2.0_techno-1  この中では一番最初からメタデータベース収集に着手していたサイト。
 トップページの検索ワードランク。キーワードの「功名が辻」と「W-ZERO3」、タグの「叶美香」と「蛯原由里」がこのところ常にトップ5入りしている。とても、一般的な「知」とはいえないリストだ。

web2_techno-1 同じテクノラティでも、タグ検索は少し違ってくる。自分でエントリに組み込んだタグを集めたリストなので、固有名詞は少ない。庭の手入れをしたことについてエントリを起こしても、その時の植物の種類をいちいちあげることはせずに、「ガーデニング」とか「庭の手入れ」といった言葉をタグにするだろうから。
 また、問題なのは、エントリにタグを入れるような奇特なブロッガーたちの少数意見しかないということ。数で質を圧倒するというメタデータベースでは数が少ないのは致命的だろう。
 このリストでは、特定の話題ではなく、自動車とか映画とかについて書かれたブログのリストを見たいような時には良さそうだが、「知」は感じられない。

feedpath

web2_feedpath 企業向けグループウェアで有名なサイボウズが立ち上げたのがこのサイト。かなり後発なので、技術的にはいろいろ有るらしいが、そんなことには興味はない。最初は使い物にならないくらい遅かったが、4月に入ってから少しましになってきた。しかし、今でもクライアントサイトのRSSリーダーの代わりにはならない。
 このサイトの面白いところは、別人のエントリに対してタグ付けができるということが。ここがfeedpathと大きく違う所だ。自分が読んでいるブログを登録し、そのエントリに対して自分なりのタグをつけることで作者が意識していなかったようなところでリンクされたりするようになる。ある意味おせっかい機能だが、管理者の負担を減らし、みんなでデータベースを充実させることができるのは面白い。
 このサイトがweb2.0を積極的にPRに使っているせいか、いつも上位に「web2.0」が入っていること。「サイボウズ」もよく見るのもここ独特だ。サイボウズを利用しているリーマンが多いのだろうか。「ガルブレイス」がランクしているのもここだけ。
 気になるのは、「ショートボード」と「ロングボード」のランク入り。こんなコアな単語が一般的に語られるとは考えられない。少数のコアな人間がたまたま連続で使っただけだろう。そんなものが簡単に上位に入るのでは、簡単に操作ができてしまうだろう。操作するメリットが有るかどうかは別として、ノイズにはなるはずだ。

kizasi.jp

web2_kizasi 口コミサイトとして、レンタルブログユーザをターゲットにしたと思われるサイト。一般レンタルブログのRSSリストか何かからデータを取得しているらしいが、数には触れられていないが、ランクの入れ替わりの極端さから考えてあまりサンプル数が多いとは思えない。
 右は、上位のkizasi語(ブログで語られているコトバの中からkizasiが収集し、ひとかたまりの意味のあるコトバとして扱っているもの)。
 日記系のブログが多いのか、「ゴールデンウィーク」が上位独占だ(表記揺れをまとめたら確実にトップだろう)。テクノラティやfeedpathのように意識的にカテゴライズしようとして付けていないために、日記の頻出語が上位に上がっているだけだ。

BuzzTuens

web2_buzz-1 前に、面白そうと書いたサービスだ。このリストは上位の検索ワードだが、社会的な関心が感じさせるワードが多い。一般的なワードの中にコアな固有名詞が混じっているのも特徴だ。アポリーネールなんてサンプル数の多い統計だったら上がってこないと思うんだが・・・

web2_buzz-2 こちらは、BuzzTunesのメインページの週刊コンテンツランキング(4月23日版)。検索ワードとは全く異なり、漫画、映画、ゲームばっかりだ。
 各コンテンツのページにある、肯定的意見と否定的意見との振り分けがこのサイトの特徴だが、まだうまく機能していないようだ。

テレビブログ

web2_tvblog 最後はテレビに特化したサイト。テレビ番組だけがリストされるのは当然。また、日本のテレビで視聴率がいいのは娯楽番組ばかりなのだからそれについてのエントリが上位にくるのも当然だろう。英会話番組とかを観てもブログに書くことなんかはないから視聴率の差以上に差があるのは仕方がないだろう。事件や社会問題については各局の複数のニュース番組で放映されるからばらけてしまうだろうし。
 ドラマの評判とかをチェックするのには面白いかもしれないが、数が少なすぎて統計的に優位な順位になっていない(1位が12件で10位が7件だから)。

 他にも、myblogjapan改めドリコムRSSというのもある。また、違うアプローチのサイトは多く有るだろうが、今回は俺のfirefoxのブックマークに有る分だけ比較してみた。どこも、一般的な集合知を表現するには至っていないように感じた。

 それ以前に、RSSフィードを活用したweb2.0には致命的な欠陥が有る。ブログを書かない人たちの「知」をひろい集めることができなきことだ。身の回りの人間がSNS仲間でやメッセ仲間でほとんどがブロッガーというような環境にいると、個人のパソコンのない家庭なんて考えられないだろうが、半分くらいの家庭はそうなのだ。常時接続高速回線となるとそのまた半分くらいしかない。そういう人たちの意見をブロッガーのエントリが反映しているとは思えないからだ。

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