人間として劣化した経営者達

 人として劣化した経営者なのか、人として劣化した人間しか経営者になれない組織なのか、人として劣化したようにみえるだけでたまたま困難に遭遇した経営者なのかは分からない。今、赤字を出さずにいる企業の経営者も、これらの企業のような環境に追い込まれたらこれらの恥知らずと同じ行動をとるかもしれない。自分は経営者になることもここにあげつらわれている企業に入ることもないから、恥知らずなことをしなくても済むが、その立場になった時に居間のような倫理観を持って行動できるかは分からない。

 少なくとも、自ら進んでこれらの屑と同じような行動(スケールは全然違うがWW)は取らないように自戒を込めてクリップしておく。

人間として劣化した経営者が後を絶たない電機業界の悲劇  | 井上久男「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]
 2年連続で計1兆5,000億円近くの最終赤字を計上して経営再建中のパナソニックが2012年度に退任した取締役4人に退職慰労金を計18億5,500万円支払っていたことが分かった。

 慰労金を支給されたのは、創業家の松下正治名誉会長(2012年7月に死去)に社長・会長を務めた中村邦夫現相談役、中村派の重鎮である坂本俊弘・元副社長、森孝博・元副社長だ。パナソニックは2006年に役員の退職慰労金制度を廃止したが、4人は制度廃止前から役員だったため、特別に支給された。それぞれにいくら支払われたかは非開示だが、取締役在任期間が長い松下氏への支給額が最も多いものと見られる。

 パナソニックは、中村氏が社長・会長時代、プラズマへの過剰投資や三洋電機買収などの合理性を欠いた経営判断ミスと、それらが間違っていたと分かった後もミスを糊塗したため、「傷口」を拡大させていった。中村氏はパナソニック失墜の戦犯中の戦犯なのである。

 本来ならば、相談役も返上しなければならない立場にあるはずだ。しかし、氏は役職を返上していないばかりか、退職慰労金まで受け取っていたとは、空いた口が塞がらない。中村氏と中村体制を支えた坂本氏、森氏の頭の中には「経営責任」という概念が全くないようだ。

 パナソニックでは多くの社員が「追い出し部屋」に追いやられて希望退職を余儀なくされた。再就職に困っている人もいることだろう。社員を路頭に迷わせておきながら、自分だけは多額の慰労金を懐に入れるとは・・・。はっきり言おう、中村氏は卑しい経営者だ。一部社員からは「相談役を早く返上せよ」との意見も出始めている。

「松下電器(当時)はスーパー正直な会社だ」—中村氏はかつて、筆者にこう語った。本当に正直な会社の経営者だったならば、慰労金は辞退するはずだし、そもそも相談役という役職は受けず、蟄居謹慎するはずだ。大赤字を出して税金も払えず社会に迷惑をかけているのだから。

誰でもトップが務まるような業界団体など必要ない

 パナソニックだけではない。ソニーやシャープの経営者も「経営責任」という感覚をもっていないようだ。

 2005年にソニーの社長に就任、最後は代表執行役副会長を務めた中鉢良治氏は、ソニーの役員を辞任すると2013年4月に独立行政法人・産業技術総合研究所(産総研)の理事長に就任した。6月の株主総会で社長も取締役も退任して会長に就くシャープの奥田隆司社長も5月22日、業界団体である一般社団法人・情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)会長に就任したばかりだ。

 シャープは2年連続の大赤字決算を5月14日に発表、その際に社長退任も同時に発表されたが、わずか8日後に業界団体のトップ就任とは何かおかしい。昨年もパナソニックの大坪文雄会長が社団法人日本電機工業会(JEMA)会長に就いた。

 パナソニックもソニーもシャープもリストラ続きで多くの社員を希望退職に追いやっているのというのに、その要因を作った経営者たちがぬくぬくと名誉職や業界団体トップに就くこと自体、非常識ではないか。はっきり言って恥も外聞もない人事だ。業界団体のトップは大手企業が輪番で担当しているようなケースもあるが、それにしても世間的には納得のいかない人事ではないだろうか。

 産総研は公的組織で、補助金を受けている。社団法人も公益を担っており、税制優遇などの措置を受けている。企業経営を失敗した能力の低い経営者たちがこうした国家の支援を受ける組織のトップに収まって、本当に公益を担うことができるのかと疑ってしまう。国民を馬鹿にした人事だ。あるいは、誰でもトップが務まるような業界団体など、この際、再編するか廃止するかしてもいいのではないか。

 経済産業省や総務省など、電機業界を監督する中央官庁もだらしない。特に産総研は経済産業省所管の独立行政法人であり、人事権は事実上同省が掌握しているはずだ。ソニーの「ダメ経営者」をトップに起用すること自体、全くセンスがないし、何も考えていない人事と言わざを得ない。

 経産省と電機業界はどっぷり癒着していて、そもそも監督責任など果たせていないのだから、役人に期待しても仕方がないかもしれない。経産省の電機業界に対する諸施策はことごとく失敗している。

 半導体メーカーのエルピーダメモリーの支援では、多額の税金を投入しておきながら同社は倒産。しかも同省のキャリア官僚がエルピーダ株の売買に関するインサイダー取引容疑で逮捕されている。同省が企画した家電エコポイント制度でも、多額の補助金を投入したにもかかわらず、需要の先食いを起こしただけであった。雇用創出には全くと言っていいほど貢献せず、制度終了と同時に家電が売れなくなり、メーカー各社は大リストラを始めた。

 こんな具合だから監督官庁に期待するのも無理な話だろう。結局は、経営者が自分の胸に手を当てて出処進退を潔くするしかない。経営者が人間として劣化しているために、社員の首を大量に切っても、平気で退職慰労金をもらったり、名誉職に就いたりする人物が後を絶たないのである。

 電機業界だけではなく電気業界も似たようなものだ。というか、日本の経営者なんてこんな人間ばかりだろう。というより、こんな人間しか経営者になれない組織が日本の大企業だ。

<九州電力>「やらせメール」辞任の前社長、子会社に天下り (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

 九州電力前社長で、玄海原子力発電所再稼働をめぐる「やらせメール」問題で辞任した眞部利應(まなべ・としお)顧問(68)が、九電子会社で電気通信事業を手がける九州通信ネットワーク(QTNet、福岡市)の取締役会長に就任することが分かった。九電の社長経験者が、子会社の役員に移るのは異例。

【「原発が再稼働すれば何てことない」】九電相談役が発言撤回 佐賀の施設への寄付金滞り

 21日にあるQTNetの株主総会と取締役会を経て正式決定する予定。QTNet側から「前社長の経験や人脈を生かしてほしい」と要請があったという。九電顧問も引き続き兼務するが、報酬を受け取らない非常勤となる。

 眞部氏は2011年7月に発覚した「やらせメール」問題を受け、12年3月末に社長を事実上引責辞任した。一方で九電は、今春実施した電気料金値上げの際、申請時に原価として算入した顧問・相談役計3人の年間報酬総額8900万円が国から認められず、値上げ幅が圧縮された経緯がある。【寺田剛】

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