国内生産はやめて海外進出すべき (`・ω・´)キリッ(日経)

GIANT RX3 年間620万台かぁ・・・これなら東北大震災の時、一ヶ月くらいで 1,000 台の特別仕様車を作って送ってくれたのも驚くに値しないのかもしれない。突発的な1000台と需要予測が1000台上下するのとは全く違うので、ラインには負荷がかかったはずだとは思うが。あらためて感謝。

 GIANT の興隆と同時期に日本の自転車メーカーの多くが撤退した。しかし、日本メーカーが努力を怠ったとかガラパゴス化して本気で物を作ろうとしなかったとかいうのは間違いだろう。自転車は労働力の割合が高く材料の比率は低い。だから、賃金が低い国の価格競争力が圧倒的だったのだ。しかも、円高による輸出競争力の低下と海外製品の流入が直撃したのだ(GIANT もその一つだ)。

 同時に、GIANT は生産設備への投資も怠っていなかった。高級機種でしか採用されていなかった技術を次々と普及価格帯の自転車に採用していったことも忘れられない。今自分が通勤用に使っている RX3 は三次元成形による複雑な形状のフレームを使っているが5万円台だ。今は、カーボンの低価格化が急速に進み15万円以下でフルカーボンの完成車が買えるようになった。

 この記事を書いた記者には未だ「古い常識」が残っている。少なくとも自転車については日本のメーカーは GIANT の開発力に屈してしまった。今、グランツールで使われるTTマシンはどこのメーカーも同じような形状をしているが、その形を最初に提示したのは GIANT だった。このような世界のトレンドをリードするものを日本のメーカーは全く作れていない。この現実から目をそらして「技術力では負けていない」といっても負け犬の遠吠えだ。経営者が「Japana as No.1」時代のお花畑の発想で策を練ってもダメだ。

 なお、最後の方の自転車と関係のない話については単なる一般論で、たまたまうまくいっている事例を礼賛しただけ。トラブルや技術の流出などで窮地に陥ったりしたら、「海外への技術移転のリスクを考えなかった」とかいって叩くんだろう。いつもの日経スタイルだwww

 「アジア勢と手を携える」てって、海外移転あるいは外注ということじゃない。「GIANT を見習って頑張る」という記事かと思えば、「GIANTに任せろ」という記事だった。

台湾の自転車王、過去の常識打ち破る(アジア跳ぶ) :日本経済新聞.
2013/5/14 3:30

 「台湾を『自転車の島』にしよう」。3月に台北市で開かれた国際自転車展示会。世界最大の自転車メーカー、台湾・巨大機械工業(ジャイアント)の劉金標董事長(78)は聴衆に呼びかけた。2012年に過去最高の620万台を生産し、世界有数の高級ブランドを築いた自負がにじむ。

 ジャイアントは米大手からの受託生産で成長したが、1980年代に低コストの中国勢に注文を奪われた。苦境に陥った劉が仕掛けたのが自社ブランドの展開だ。あえて激戦の欧州市場を選び、入念な市場調査を実施。一流デザイナーの採用や超軽量の炭素繊維の導入を進め、高級ブランドイメージを浸透させた。

 苦労を重ねたが、成果は如実に表れた。台湾の自転車の平均輸出単価は12年に約418米ドルと10年前の約3.3倍に上昇。「単なる乗り物にとどまらない価値を付ければ、消費者はお金を払う」と劉は話す。

伝統事業と決別

 高い技術力を誇ってきた日本のモノづくりが揺らいでいる。中国や韓国など低コストのアジア勢が台頭。液晶テレビの不振にあえぐシャープはその象徴だ。さらに下請けから脱し、世界に打って出るジャイアントのような勢力が後に続く。

 アジア勢との競合で守勢に立ったオランダ・フィリップスの決断は早かった。12年4月、不振のテレビ事業をテレビ受託生産大手の台湾・冠捷科技(TPVテクノロジー)に全面移管。成長のため伝統の事業と決別し、医療機器などの事業に経営資源を集中した。

 パナソニックやシャープなど日本の家電各社はテレビ生産のあり方を今も悩む。すでにソニーや日立製作所などからテレビ生産を受託するTPVの最高経営責任者(CEO)、宣建生(69)は「コスト競争力が高い私たちに生産を任せてほしい」と秋波を送る。

 自前主義を貫き、世界を席巻できた時代は過ぎた。日米欧アジアの製造業の国際競争力比較調査で、日本は10年以降最下位に沈む。アジアを舞台に日本勢に求められるもの。それは常識にとらわれない変革だ。

 インドネシア、韓国、上海――。進出先で圧倒的なシェアを占め、現地企業と間違われる隠れたニッポンブランドがある。給湯器やコンロなどガス機器国内最大手の「リンナイ」だ。

「現地に任せる」

 リンナイは海外展開で「ニッポン」にこだわらない道を選んだ。現地のパートナー企業とほぼ折半出資で合弁会社を設立。先進技術を惜しげもなく相手企業に開示する。「日本企業は何でも日本流にこだわる。現地のプロに任せるべきだ」。過去最高益を更新し続ける実績が、社長の内藤弘康(58)の自信を深める。

 「技術はいつか追いつかれる」。金型技術に詳しい東京大学名誉教授の中川威雄(74)は指摘する。過去の常識や成功体験を捨て去り、時に伸び盛りのアジア勢と手を携える。その先に日本のモノづくりの進化が見えてくる。
(敬称略)

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