増える一方の集金装置

携帯電話で改札スルリ「モバイルスイカ」JR東がスタート – CNET Japan

 JR東日本は二十八日、携帯電話を改札機にかざすだけで電車に乗れる「モバイルスイカ」サービスを始めた。決済機能付き携帯電話「おサイフケータイ」で、乗車券や定期券の購入、自動販売機や飲食店の支払いができる。

 次々と増える集金装置の決定版となるのか「お財布ケータイ」。企業にとってはケータイによる課金は振り込ませることよりはるかに楽だし、毎月基本料金の引き落としによって使用者の確認ができるので安心なんだろう。ケータイを止めるというのがかなり強い督促手段にもなるだろうし。

 ユーザーとしては、どの程度そのサービスが自分の生活を快適にするのか、そして、それによるリスク(現金を使わないことによる使いすぎや端末を落としたときの危険性や手間)が十分に見合うものか考える必要があるだろう。

 という一般論とは別に、決済機能付きケータイ端末を持つ気がないJR西日本通勤者として若干の危惧を感じる。それは、改札機の読み取りミスだ。icocaが導入されてから改札のミスが明らかに多くなった。そのせいで、改札の時間あたりに捌ける人数が減っている。結果として、改札機の数は変わらないのに改札機前での混雑が以前よりひどくなっている。icocaを使っていない人間にとって、これはとばっちりのサービスダウンでしかない。コントロールの行き届かない他社製端末がこれに拍車をかけるんじゃないだろうか。

 もう一つ気になるのは、従来の磁気記録型の定期券の読み取り速度も遅くなったように感じることだ。以前は、読み取りスロットに入れたら一瞬で取り出しスロットに出ていた。早足で歩いてちょうどのタイミングだった。今では、足早に歩くと定期が出るのを待たなければならない。枯れ切った磁気記録型の読み取り装置の処理速度が遅くなることは考えにくい。磁気記録型の速度を落とすことで、磁気記録からICカードへの移行を誘導しているのではというのは穿ちすぎか。もし、新しいサービスを導入することで従来の処理速度が遅くなったというのなら、「確立された技術レベルを維持できないような企業が人身を預かるインフラを担当するのはやめろ」といいたい。

 自分の売りたいサービスの優位性を際立たせるために既存サービスのサービスレベルを落とすのは独占企業のやり方だ。福知山線では急行が走っていたが、今は特急しかない。停車駅の数をはほとんど変わっていない。変わったのはユーザが払うオプション料金が急行料金から特急料金になったことだけだ。

 設備投資をしたサービスを普及させたいのは分かるが、従来サービスのサービスレベルを落とすのではなく、明確な利便性を持たせた新サービスの提供によって行って欲しい。こういう姑息な姿勢こそが、修正すべきJRの体質だろう。

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