アスベスト禍

 アスベストによる死亡者が出ている(既に出ていた訳だが)ことが話題になっている。俺がつとめている会社のビルは築後25年くらい経っているので、当然アスベストは使いまくりだ。

 フロアはパネルが貼ってあるので大丈夫そうだが、空調からの吹き出している可能性は否定できない。最も危険なのは、空調機が入っている場所。ここは非常階段のブロックにあって普通は人が出入りする必要はない。しかし、倉庫代わりに使っていて古い書類や、いらないものを山積みにしている。そこは、鉄筋に吹き付けたアスベストがむき出しになっている。

 当然、アスベスト報道で疑問を持った他部署の人間が相談に来た。俺は、「総務課長に話してみるから、できるだけ入らないようにしろ」とだけいっておいた。そして、課長に対応が必要ではないかというメールを書いた。

 返事は、「それについては、私もビル管理会社に当たっていて、返事をもらった。剥離していないから大丈夫だそうです。労基署に確認したら、『問題がないのなら特に出入り禁止や除去の必要はない』と言ってましたので大丈夫です」というものだった。

 さて、久しぶりに問題です。このナニな上司の発言の問題点。最低二つ。

1.ビルメンテナンス会社の「安全です」という発言(口頭)をそのまま受けてしまっていて、その根拠を確かめることをしていない。
管理責任のある会社が問題を見て見ぬ振りをしたのが現在の原因なのに、それに対して何の疑問も持っていない。

2. アスベストは数十年後に発症するタイプの病気だ。今、問題がないことは何の根拠にもならないのに、危機意識がない。

3.安全かどうか証明できていないのに、立ち入り禁止措置も取っていない。危険かもしれない場所は、安全が確認されるまでは立ち入り禁止にするのが基本だろ。ましてそれが、そこを使わなければ生活や業務の遂行に必要のない箇所ならなおさらだ。後で、安全と分かったからといって、誰も傷つくことはない。安全措置をとるために誰かが危険に晒されるわけではない。

4.今とれる措置をとろうとしない鈍感さは致命的。危機管理の基本は、「間違ったとき(予想外の自体が発生したとき)に安全方向に行動することだ」。自動車でいうなら、トラブルがあったら車を止めるようにすることだ。故障して止まっても、暴走するより何万倍もいいのだ。

5.打つ手を打たなかった責任者には遡ってでも追求するという世論が高まっている。会社は、今、アスベストに対する危険の認識をしたのだから、これからの行動について、手抜きは許されない。もし、俺が発症したら、今勤めている会社とナニな上司、ビルの管理会社を訴えるつもりだ。そのために、危険について対応を迫る俺のメールと返事は永久保管するつもりだ。

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