久しぶりのJR通勤

 事故以後も宝塚までは乗っていたので、厳密には「宝塚・大阪間」という意味だ。

 宝塚駅で快速に乗り換えるときに一両目に乗ってみた。最前列は鉄ちゃんが陣取って運転に眼を光らせていたので2番目の乗降口付近に立った。運転席には運転士の他に2人乗っていたように見えた。うちの一人は黄色いヘルメットを被った保安要員の制服だった。

 乗客は以前と全く変わらない様子で電車に乗り込んだ。通常の小規模な事故や故障による遅延の翌日とは明らかに違う静かさだった。ホッとする感情だけでなく複雑な思いがあるのだろう。が、事故現場に差し掛かったときは進行方向左を伺う人がいた。俺のいた位置からはよくは見えなかったが、マスコミのカメラが並んでいることだけ見えた。

 現場付近はかなり低い速度で通過した。繰り返しになるが、今、徐行運転をすることに何の意味があるのか分からない。徐行運転の速度でないと危険なのなら制限速度を下げるべきだ。制限速度で十分安全なのなら、ほとぼりが冷めるまでの徐行運転など無意味だ。子供が先生に怒られたときに、先生の怒りが収まるまで殊勝にしているのと同じで、元に戻ることが予想されるからだ。

 電車は以前よりストレートの最高速度も下がった。北伊丹や塚口の通過速度で良く分かる。その速度差は、多分制限速度を下げたことによるものより大きかったのだろう。多少所要時間が増えたのかもしれないが、全く無問題。最高速度を下げられたことで時間に対する許容範囲が低くなって、運転士にはお気の毒としか言いようがない。安全のために取った措置が逆に安全性を削ることにつながるマネジメントの発想をどうにかしないと必ず再発する。マスコミ様も全然分かっていないことが下の記事で一目瞭然。JR西日本や国土交通省がこのようなアフォなマスコミの指摘をかわすだけの対策しかとらない(取れない)のが事故の遠因だ。

asahi.com: 「利用者戻るか」JR西不安 宝塚線運転再開††社会

 事故前、JR宝塚線の1日当たりの利用者は約15万人。不通の間、並走する阪急電鉄宝塚線に約12万人が流れ、他はバスなどを利用したとみられる。「以前の利用者を取り戻せるかどうかわからない」とJR西日本の幹部は語る。

 新ダイヤでは宝塚―尼崎駅間の平均所要時間(上り快速)が、朝の通勤時間帯で事故前の18分16秒から20分に、昼間は16分34秒から18分15秒に変更された。最速電車を利用しても宝塚―大阪間の所要時間は24分で事故前より1分程度延びた。

 だから、利用者は戻るよ。戻るも戻らないも選択肢なんかないだろう。通勤・通学に一番便利な経路を選んでいたはずだ。JR西の対策が甘いからといって何十分も余分にかかる経路に換える人間がいるとは思えない。しかも、振替の時はJRの定期で代替路線に乗れたが、今日からは自分で(しかもJRの定期をもっているのにだ)払って乗らなければならない。そんなことを、普通の生活感覚を持った人間がするかどうか考えてみろ。

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